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「卵子の数は決まっている」の定説を揺るがす新発見―不妊治療に革命も(HOT WIRED) -↑とは別の研究?
http://www.asyura2.com/0401/health8/msg/247.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 3 月 12 日 19:39:50:eWn45SEFYZ1R.
 

(回答先: 出生後も卵胞形成=マウスで確認、幹細胞も発見−ほ乳類の常識覆る・米(時事通信) − 「これまで以上の高齢出産が可能に」 投稿者 シジミ 日時 2004 年 3 月 11 日 23:10:03)

http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20040312308.html

Kristen Philipkoski


2004年3月10日 10:53am PT  長年にわたり、女性の卵細胞は出生時に一生分の数が決まっているといるものと信じられてきた。しかし、新たな研究成果により、この定説に疑問が投げかけられている。定説が覆された場合、不妊治療に革命的な変化をもたらすかもしれない。

 今回の研究は、女性でも、男性と同じように出生後に生殖細胞を補充できる可能性を提示している。『ネイチャー』誌の3月11日号に掲載されるこの研究は、マウスを対象に行なわれたもの。マウスは、ヒトに関する生物学的研究のモデルとしてしばしば使われる。ヒトでもこれと同じ結果が得られた場合、半世紀にわたって生殖科学の研究者たちに支持されてきた学説が覆ることになる。

 今回の研究結果を受けて、化学療法や放射線治療といったガン治療に由来する不妊の治療、さらには女性の加齢に伴う受胎能力の減退に対しても、新しいアプローチが一挙に登場するかもしれない。

 「もし今回発見された細胞が実際にヒトにも存在し、卵子が成人女性でもずっと作られ続けているとしたら、卵巣の発達と老化に関するすべての定説を一から書き換え、分析し直す必要が出てくる」と論文の筆頭執筆者で、マサチューセッツ総合病院の『ビンセント生殖生物学センター』に所属する生殖医療の専門家、ジョナサン・ティリー博士は述べる。

 今回の研究では、メスのマウスが「生殖幹細胞」を持つことが明らかになった。メスの場合、この細胞は生涯にわたって新しい卵細胞を生み出すことになる。一方、オスの場合は新しい精子を作り出す。すべての哺乳類のオスがこの細胞を持っていることは知られてきたが、長年支持されてきた学説では、メスには生殖幹細胞がないとされており、女性の年齢が高くなると卵細胞が老化し、胚を形成できなくなるのも、そのためだと考えられてきた。

 しかし、ティリー博士の研究は、メスのマウスにも生殖幹細胞(写真)があり、新しい卵子を成長させる(写真)ことを突き止めた。同じことがヒトにも当てはまるのではないかとティリー博士は考えている。もしそうなら、こうした生殖幹細胞が、従来の不妊治療研究で注目されてきた卵巣や卵子に代わって、新たな焦点となるだろう。

 「卵巣の機能停止を遅らせる手段として、もし本当に予備の卵胞を利用できるとしたら、生殖医療の分野では25年以上前に体外受精が登場して以来の大きな前進になるかもしれない」と米国生殖医学会(ASRM)のマリアン・デイムウッド会長は語った。

 生殖幹細胞を分離して冷凍しておくことも可能になると考えられている。そうすれば、化学療法や放射線治療をこれから受けようとしている女性、あるいは比較的高齢で出産を遅らせたい女性が、冷凍しておいた幹細胞をあとで利用できるようになる。

 また、ティリー博士は、この細胞が更年期対策にも革命を起こすかもしれないと述べている。全身のほてり、睡眠障害、気分の著しい変化といった更年期障害の症状に対しては、かなり前からホルモン補充療法が推奨されてきた。しかし、卵巣(卵巣からの排卵が止まると、更年期障害が起こる)は実際には他にもさまざまな種類のホルモンを作り出しているにもかかわらず、ホルモン補充療法ではエストロゲンとプロゲスチンという2種類のホルモンしか補充しない。生殖幹細胞は、生殖に関係する複数のホルモンの代替物を作り出し、更年期対策により有効な手段となる可能性がある。

 現時点では、生殖幹細胞の保存方法は完成されていないが、オスの生殖幹細胞を冷凍する技術では一定の成果をあがっており、この技術がそのままメスの細胞にも適用できることだろう。

 ヒトの女性にも生殖幹細胞が存在することを証明するために、ティリー博士をはじめとする研究者は現在、マウスの生殖幹細胞を分離し、この細胞に特有の遺伝子的特徴を解明しようと取り組んでいる。ヒトの細胞にも同じ特徴が発見されれば、ヒトの女性も生殖幹細胞を持つことが証明される。

 女性が生涯を通じて持つ卵子の数が出生時にすでに決まっているという説は、1921年に初めて提唱された。この説は1951年に行なわれた画期的な研究によって裏づけられ、以後は女性の生殖に関する研究の根幹を成す学説となってきた。ティリー博士は、今回の研究報告を読んで、多くの生殖学研究者たちがこれまで疑問に思われてきた研究結果の謎を解き明かそうと、過去の研究ファイルを見直すことだろうと述べている。

 また、この研究に刺激されて、新しい研究も急増するだろうと、生殖学者のアラン・スプラドリング博士は述べる。博士はハワード・ヒューズ医学研究所で研究を行なっているほか、『ワシントンカーネギー協会』(通称カーネギー協会)の発生学科(メリーランド州ボルチモア)の責任者でもあり、ティリー博士の研究に対する論評を『ネイチャー』誌に寄せた。

 スプラドリング博士はこの論評の中で、「マウスに生殖細胞系の幹細胞が発見されたことで、この細胞を支える細胞レベル、分子レベルのメカニズムを解明することが、多くの科学者の使命になるだろう」と述べている。


[日本語版:湯田賢司/長谷 睦]


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