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http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040307/mng_____tokuho__000.shtml
特報 バイオテロ法 本格施行へ
米国で暮らす家族のために日本の味の仕送りを−。そんな心遣いがこの夏から難しくなる。米国でバイオテロ法が本格施行されるためだ。同法は海外から米国へ食品を送る際、送り主に米政府機関への事前通知などを義務付ける。だが、手続きは煩雑で英語のみ。素人には至難の業だ。個人のみならず、一部の事業者も当惑気味で「新たな非関税障壁」と指摘する声すら上がっている。 (田原拓治)
バイオテロ法の正式名称は「二〇〇二年公衆衛生安全保障・バイオテロリズム法」。昨年十二月十二日に施行され、その後、八カ月間の「教育的」猶予期間が置かれた。本格施行はことし八月十二日からだ。
同法の柱は(1)個人が米国に食料、飼料(ペットフードを含む)、飲料品、栄養補助食品を送る場合の米食品医薬品局(FDA)への事前通知(2)業者が輸出する場合、製品の製造、加工、包装、保管の各施設のFDAへの事前登録−が義務付けられる点だ。食品を狙ったテロから米国民を守ることが目的で、事件発生の際は登録されている経路から原因を究明する。
しかし、この新法は米国で暮らす数十万人(日本の在米公館に在留届を出した三カ月以上の長期滞在者だけで約三十一万人)の日本人をも直撃する。日本から衣類などを送る際、段ボール箱のすき間に詰めるお菓子などにまで法の網がかかるためだ。
八月十二日以降は事前通知の手続き後、FDAから与えられる許可番号抜きには、食品入りの荷を送ることはできない。仮にこっそり送って分かった場合、荷は廃棄か返送され、返送料は送り主の負担になる。
試しにどのように事前通知できるかを試みた。まずはインターネットで英語のFDAのホームページを開き、個人情報の項目を埋めてアカウント(口座)を得る。手続きの第一段階で、これは何とかできた。
その後、荷の情報などを記す事前通知のページを開き、空欄に輸送方式、いつ荷が着くのか、相手先の住所などを埋めていく。試しに送る品に「キャンデー」を想定した。だが、ここで難問に直面した。キャンデーの種類を特定しなくてはならないのだ。
リスト上には「硬い」「棒状」「チョコレート付き」など諸特徴の組み合わせがあるが、選択肢は細分化されており、何と百七十種類の中から選ばねばならなかった。その後、十三種類の包装の形態、十四種類の製造プロセスについても特定しなくてはならない。この段階で、記者は登録を断念した。
パソコンを扱え、インターネットができる状態にあり、かつ英語に堪能であること。これが事前通知のための最低条件といえる。
■日本郵政公社は… 個別の事前説明物理的に不可能
食品を含んだ小包の数という統計はないが、米国向けに年間約二千万通の郵便を扱う日本郵政公社は同法をどうみているのか。
国際郵便事業部の担当者は「米国の法律なのでコメントする立場にはないが、正直、わずらわしい」と話す。同公社では、各郵便局の窓口や公社のホームページで同法についての案内を始めている。
この担当者は「荷を相手に届けられる状態に整えるまではお客さまの責任。郵便はそれを運ぶのが業務」と前置きした上で「心苦しいが、荷の中身も違うお客さま一人ひとりにどう事前通知できるかを説明することは物理的には不可能」と戸惑いの表情を見せた。
運輸大手の日本通運(本社・東京)では昨年暮れの同法施行と同時に、米国向けの食品の受け付けを停止した。担当者は「従来、日本料理店への総菜などの需要はあった。だが、大口需要はなく、自社にとっては大きな打撃にはなっていない」と話す。大半の在米日系宅配業者も、すでに個人による米国向け食品の扱いを停止している状態だ。
一方、米国に市場を持つ食品メーカーも輸出の際、複雑な施設登録を義務付けられる。農水省貿易関税課は「現在まであまり苦情は寄せられていない」としているが、実態はどうか。
しょうゆで知られるキッコーマン(本社・千葉県野田市)の担当者は「当社では一九七二年から現地法人が工場を稼働させており、特定の商品を除いて輸出面での影響はない」と話す。
水産物加工の大手、日本水産(本社・東京)も「缶詰の場合、七〇年代までは米国向けのシェアが大きかったが、九〇年代以降は事実上の非関税障壁で米資本が入った会社でないと輸出できなくなった」とバイオテロ法以前の問題と語った。
ただ、米国向けが総輸出量の三分の一を占めるという国内酒造の最大手、白鶴酒造(本社・神戸市)営業企画部の担当者は「FDAには指示通り、当社の施設、品質管理や輸出の担当者の名前などを克明に報告している」と説明する。
「新法によるコスト増などの問題はない。しかし、手続きの不備があると輸出できなくなるので、担当者の精神的な負担や労働時間の増加につながっている」
この問題に詳しい財団法人・食品産業センター(東京)調査役の吉越勝晴氏は「一つの社で同じ施設を使っていても、商品ごとに施設登録する手間は膨大だ」と指摘する。
吉越氏は「大手の影響は少ないにしても、米国向けのお茶やのり、みそ、酢などは中小零細企業が担っている。彼らへの影響は過小評価できない」とみる。
「一つの商品を複数の商社を使って流している場合もある。同法では米国内に単一の代理人をたてるように指示しているが、代理人をどの商社の現地事務所に任せるのか、それで他の商社による経路を追跡できるのかなど問題点は多い」
独立行政法人・日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、各地の出先機関である貿易情報センターには、中小企業などから登録方法や注意点についての問い合わせが寄せられているという。
さらに吉越氏は「これは新たな非関税障壁ではないか」と憤る。昨年十一月にFDAで各国政府関係者を集めた説明会が開かれたが、同氏は「直撃を受ける東南アジア諸国や中国からは強い反発があった。BSE(牛海綿状脳症)問題でも分かる通り、他国には強気な米国の姿勢があらわになった」と批判する。
施設登録は各国合わせて数百万件、事前通知は一日に約二万五千件にも上る。現実には、FDAがこれだけの件数を丹念にチェックできるとは考えられない。
郵政公社では「米政府には昨年末、外務省を窓口に言語の問題や手続きを簡便にするよう要請をした」と説明する。とはいえ、現在まで米国側に対応変更の兆しはみえない。
コメント:現実には、米国内で発生した「バイオテロ」である炭そ菌事件で使われたのは、米国内の陸軍研究所で作られた菌とDNAが一致したのではなかったか?この論法なら、炭そ菌事件も解決せず、かつ西ナイル熱も大流行し、狂牛病(BSE)問題も検査・予防方法が不十分な米国産食品およびその原材料についても日本側は厳格な検査を実行できるわけだ(日本の食料自給率を高めるよい口実ができる)。