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対中ビジネスが活気を呈する中で、中国脅威論が急速に退潮している。特に、対中輸出が好調を続けており、「中国特需」が日本経済の回復を牽引する力になってきた。
日本側の統計によると、2003年の日中貿易総額は1,324億ドルと、5年連続で史上最高の水準を更新している。そのうち、対中輸出が43.6%増の572億ドル、対中輸入は21.9%増の752億ドルに達している。堅調な対中貿易と対照的に、日本の対米貿易は、輸出が2.6%減、輸入が1.7%増と低迷している。これを反映して、対中輸入は2002年以降対米輸入を上回るようになり、2003年には全体の19.7%(対米は15.4%)に達している。一方、輸出面では、対中シェアは12.2%と、米国の24.6%にはまだ及ばないものの、中国に香港と台湾を合わせた対「中華圏」向け輸出が初めて対米を上回るようになった(図)。
対中輸出を牽引しているのは、一般機械、電機機器、輸送用機器である(表)。中でも、半導体等電子部品(45.6%増)、音響映像機器の部分品(113.9%増)、通信機(54.7%増)、映像機器(114.9%増)などと、建設機械や事務用機械などの産業機械の増加が目立っている。また、中国国内の自動車生産の拡大を背景に、自動車部品(104.9%増)、自動車(30.1%増)、主として自動車生産向けの鉄鋼・化学製品が輸出を牽引し、大幅続伸となった。
日本の対中輸出拡大の背景には中国の好景気があるが、中でも、中国の輸出と投資の拡大と日本企業の対中進出の増加が、機械類を得意とする日本企業にとって、特に有利な輸出環境になっている。
まず、中国の輸出は2003年には34.6%と、1979年以来の高い伸びを示している。中国の貿易は、加工貿易が中心になっているため、輸出が増えると、それに合わせて中間財の輸入も増える。中国の公式統計によると、輸出の55.2%、輸入の39.5%が加工貿易に分類されている(いずれも2003年の数字)。
また、中国の好景気を支えているのは、消費よりも投資である。2003年における全産業の固定投資は26.7%、工業部門に限ると39.0%も拡大している。中でも、鉄鋼(96.6%)、アルミ(92.9%)、セメント(121.9%)、自動車(87.2%)、繊維(80.4%)、石炭(52.3%)といった産業における固定投資が高い伸びを示している(中国国家統計局、「2003年国民経済と社会発展統計」)。
さらに、日本企業の対中直接投資も拡大している。中国はWTO加盟を経て、投資環境が改善し、国内市場へのアクセスも容易になったことを反映して、2003年の対中投資が前年比20.5%増の50.5億ドルという史上最高の水準に達している(実行ベース、中国側の統計による)。工場を建設する段階においては、多くの生産設備が日本から持ち込まれる上、生産の段階に入ってからも、部品など多くの中間財を日本からの輸入に頼っている。
日本企業にとって、拡大し続ける中国の市場をアクセスするためには、大きく分けて、中国で「現地生産し、現地販売する」と「日本で生産し、中国向けに輸出する」という二つの選択肢がある。生産コストなど、他の条件が一定であれば、後者が前者よりリスクが低い上、国内に多くの雇用機会を創出することができる。今回の対中輸出ブームが端的に示しているように、機械をはじめとする技術集約型産業において、日本は依然として国際競争力を有しており、国内で生産し、中国に輸出しても利益を得ることは十分可能である。貿易を通じて双方の比較優位が発揮できれば、日本にとって、中国の躍進は決して脅威にならず、むしろウィン・ウィン・ゲームなのである。
図 日本の最大の輸出市場となった中華圏
(出所)財務省通関統計より作成
※ グラフはサイトでご確認を。
表 日本の商品別対中輸出額(2003年)
(出所)日本貿易振興機構「2003年の日中貿易」
※ 表はサイトでご確認を。
(関連記事:2004年2月24日 「実事求是」欄掲載 「日本の景気回復に寄与する中国要因」:http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/040224ssqs.htm
2003年7月25日 「実事求是」欄掲載 「『現地生産・現地販売』は唯一の対中ビジネスモデルではない」 :http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/030725ssqs.htm)
2004年3月1日掲載
http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/040301ssqs.htm