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孫社長の野望実現は遠のくのか
顧客情報流出事件で“孫帝国”に3つの危機
ヤフーBB、苦情電話殺到
史上最悪の顧客情報流出事件に見舞われたヤフーBB。同サービスを運営するソフトバンク(孫正義社長)も、悲願の黒字化、会員600万人のシナリオの見直しを迫られる恐れが出てきた。『孫帝国』が崩壊しかねない3つの重大危機が待ち受ける。
【加入者数】
孫社長は今月12日の決算説明会で、3月末に加入者数400万人、来年9月末に600万人まで拡大路線を続けると表明したが、加入者は不祥事にどう反応するのか。
「最初からあまり信頼性を期待しているわけではない」と皮肉たっぷりなのは準大手証券のアナリスト。「普通の商品なら不買運動もできるが、ADSLは他社への乗り換えも1カ月程度かかる。簡単には解約しないのでは」と付け加える。
だが、新規加入獲得への影響は大きい。これまでも街頭でモデムを配布する「パラソル部隊」の勧誘が批判の対象となったが、イメージダウンは比較にならない。
「悪影響が1カ月程度で済めばよいが、長引けば来年9月の600万人達成が厳しくなる」(前出のアナリスト)
説明会の時点で孫社長も事件の事実を知っていたはずだが、大勢に影響ないと判断したのか。
【巨額賠償】
個人情報問題に詳しい藤田康幸弁護士は「今後、実害が出てくるようなケースがあり、被害者をまとめることができれば集団訴訟ということもありうる」と指摘する。
京都府宇治市の住民基本台帳データが流出、プライバシー侵害で市民3人が市を訴えた訴訟では、市が住民に1人1万5000円を支払う判決が出た。
仮に460万人から同様の訴訟を起こされたと試算すれば、賠償額は690億円になる。
訴訟にならないケースでも、カード会員の顧客情報が流出したローソンは、115万人の会員全員にわび状と500円分の商品券を送り、約6億円の費用がかかった。
仮に、ソフトバンクが料金やサービスの一時的に値下げをした場合、なにしろ対象は460万人。1人500円でも23億円だ。業績への悪影響は必至だ。
【株価】
ソフトバンクの株価は、問題が発覚した24日、25日と続落し、下落幅は2日間で10%に達した。
雪印乳業など不祥事をきっかけに株価が急落するケースは多い。不祥事銘柄を自動的に売却するルールの機関投資家も増えているが、今回はやや様相が異なるようだ。
「ソフトバンク株はネット経由の個人投資家の短期売買が中心。人気もあり、下がれば買う人も出てくる。正直いってどう動くか分からない」(前出のアナリスト)
ブロードバンドを世に広めた貢献は大きい一方、今回の件では被害者ながら、情報管理の甘さもスケールが大きい。事件では「社内協力者」の存在も指摘され、同社への風当たりは強まるばかり。株価同様、企業の評価も乱高下を繰り返しており、『孫帝国』大ピンチなのである。
ZAKZAK 2004/02/26
http://www.zakzak.co.jp/top/top0226_1_16.html