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増える“株式公開買い付け”による企業買収
株式公開買い付け(TOB)による企業買収が件数、金額ともに大きく伸びている。24日には、米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(SPJSF)が、東証2部、名証2部の毛織物染色大手ソトーに対する敵対的な株式公開買い付けの結果を発表した。
TOBが増えた背景には、株価が割安と見られる日本企業が多いことに加え、企業間の株式持ち合い解消が進んできたことなどが挙げられる。
SPJSFによるソトー買収では、買い付けに応じた株数が11万5000株と、予定していた約320万株を大幅に下回った。買い付け締め切り日である23日の終値が1902円と、買い付け価格を大幅に上回り、株主が売却に応じなかったためで、ソトーに対する敵対的TOBは不成立に終わった。
◆失敗でも「成果あり」◆
SPJSFは昨年末から今年にかけて、東証2部上場の化学メーカー、ユシロ化学工業にもTOBを仕掛け、同社が2004年3月期の配当額を当初予定の19円から200円に引き上げたことで、TOBを断念した。両ケースともTOB自体は不成功に終わったが、SPJSFは配当金の大幅増額などの実利を得ており、「株主価値を高めることができ、一定の成果を得られた」としている。
民間調査会社レコフによると、国内の企業買収は2002年の1752件が昨年は1728件とほぼ横ばいだったのに対し、TOB方式による買収は16件から25件に増えた。米投資ファンドによるあおぞら銀行の買収や、東芝タンガロイ経営陣による自社向けTOBなどの大型案件が相次ぎ、公表されている買収金額の比較では、約965億円から7535億円に急増している。
買収側は、企業の株価が、その企業の持つ資産価値よりも低く評価されている点に目をつけて買収対象を絞る。
◆変わる株主意識◆
新光総合研究所の推計では、東証1部に上場する約1500社のうち約4割の企業が「株価純資産倍率(PBR)」が1倍以下にとどまっている。PBRは、その企業の株価が1株当たり純資産の何倍あるかを示しており、1倍以下だと株を買い占めてから会社の全資産を売り払っても利益が出る。「成長性はなくても業績が安定し、潤沢な資産を持つ企業は魅力的な投資対象」(準大手証券)となる。
株主側の意識の変化も大きい。バブル崩壊や時価会計制度の導入などで、企業はここ数年「株式を持つリスク」に直面し、買収から企業を防ぐ狙いもあって発達した株式の持ち合いは急速に縮小している。「投資の一環として銘柄を選別する動きが強まっている」(大和総研)ため、株主に魅力ある資本政策を取らない企業は安定株主を確保しにくくなっている。
ソトーやユシロ化学の場合、潤沢な内部留保を使った増配でTOBを乗り切った。ただ、買収対象になった企業にとって、「情報開示の強化や企業価値を再構築するきっかけにできれば、資金の効率的な運用や信頼を高めるチャンス」(新光総合研究所の小原雅史クオンツアナリスト)でもあり、企業経営を見直す契機と受け止める見方もある。
(2004/2/24/23:23 読売新聞 無断転載禁止)