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日本の景気回復は輸出頼み、回復の持続性に疑問=FT紙 --- 実際に起きているのは労働者の賃金の低下である。
2004年2月25日 水曜日
◆日本の景気回復は輸出頼み、回復の持続性に疑問=FT紙
[東京 24日 ロイター] 24日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は、日本経済は回復したかのように見えるが景気回復の持続性には疑問がある、とする社説を掲載した。
FT紙は、日本の2003年第4・四半期の国内総生産(GDP)は年率7%を記録し、経済が回復基調に入ったとみられているとしながらも、景気回復を支えているのは、輸出の伸びとそれに伴う投資の増加であり、輸出主導による景気回復だと指摘。そういう意味では、日本経済の構造は変化を遂げたというよりも、ほとんど変わっていないとしている。
同紙によると、現在の景気回復局面で大きな役割をしめているのが、アジアの大国である中国。先月の日本の貿易黒字は、5070億円(47億ドル)と前年同月から5倍以上に拡大した。うち、中国向け輸出が前年同期から33.8%増加し、長い間日本にとって脅威とみられてきた中国は今や日本経済の救世主になりつつある。
こうした輸出主導の景気回復が持続可能かどうかをめぐって、根本的に大きく異なる2つの見方がある、という。(ロイター)
[2月24日13時11分更新]
◆<GDP>本当?年率7%高成長
この20年間、日本経済は年度を通じて7%という成長スピードを経験したことがない。バブル経済にわいた88年度の6.7%が最高で、実感的にはピークだった90年度も6%。2カ月前に、それを上回る活気に包まれていたと思う人は極めて少ないだろう。
この謎について、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「実質成長率よりも、企業や家計の実感により近い名目成長率を重視すべきだ」と指摘する。本来、名目は「見かけ」で、物価上昇分を差し引いた実質が「実感」なのだが、それはインフレを前提にした話。物価や所得の下落が続くデフレ下では実質の方が“上げ底”される。10〜12月の成長率も7%でなく、名目の2.6%が実感により近いと言える。
それでも実感に遠いと思う人も多い。債務が少ない一部企業やそこに勤めて給与が少しずつでも増えている従業員、資産の多い富裕層らは、物価下落の恩恵に浴し、実感をひそかにおう歌しているが、借金を多く抱えて返済負担に苦しみ、売上高(賃金)が落ち込む企業(個人)の感覚は「マイナス成長」だろう。(毎日新聞)
[2月19日6時43分更新]
◆ニュースと感想 (2月24日b) 「名目成長率と実質成長率の乖離」について。
実質成長率が7%だという統計データを見て、「景気は回復しつつある」なんて認識している人がけっこういるようなので、それが誤認だという決定的な反証を示しておく。
そのことを示すには、過去の事実を見ればよい。名目成長率と実質成長率に乖離が見られた時期は、過去にもあった。それは 1999年から 2001年にかけての2〜3年間だ。このころ、GDPデフレータ(物価上昇率のようなもの)は、戦後最悪の水準であり、マイナス2%程度であった。ただし、名目成長率は、ゼロ近辺をうろうろしていた。若干のプラスになることもあり、若干のマイナスになることもあった。で、実質成長率は、両者の差し引きであるから、プラス2%程度をうろうろしていた。(ただ、2000年の半ばには、名目成長率はかなり高めであり、実質成長率もかなり高めであった。このことが結果的に、夏の「ゼロ金利解除」を促した。ただし、これは、別の話。)
ともあれ、 1999年から 2001年にかけては、名目成長率はゼロ近辺であったが、物価上昇率は2%程度のマイナスであり、そのせいで、実質成長率は2%程度のプラスだった。
では、この時期、景気は回復過程にあったのか? 物価が下落して、企業の倒産も労働者の失業も、非常に高水準であった。こういう経済状況を、「景気回復状態」と呼べるのだろうか? もちろん、否である。
とすれば、同様のことは、今現在についても当てはまる。たとえ輸出のおかげで名目成長率がプラスであるとしても、「物価がどんどん下落して、失業率もあいかわらず高水準のままで、所得も消費も低迷している」という悲惨な状況は、決して「景気回復」とは言えないのだ。(一部の輸出企業だけは悲惨ではないが。)
とにかく、「物価が下落すればするほど、景気は良くなっていることになる」という主張は、荒唐無稽と言うしかないのだ。
[ 付記 ]
このような現象(物価上昇率がマイナスで、名目成長率がプラス)の、本質は何か? 妥当なものとして考えられるのは、「労働分配率の低下」である。
労働分配率が低下すれば、賃金水準の低下によって、「物価下落」と「労働時間増加による所得維持」が同時に可能だ。企業の業績は回復するし、生産性は向上するし、企業にとってはいいことずくめだ。ただし、その半面では、労働者が泣く。マクロ的には、所得増加がないから、消費主導による本格的景気回復が不可能となる。
これが本質だ。だから、日本経済は、正しい道を歩んでいるのではなく、間違った道を歩んでいるのである。正しくは、「企業利益を正しく労働者に配分して、消費主導の景気回復の道を取ること」である。この場合は、内需拡大にともない、物価が上昇し、賃金も上昇し、金利もゼロを上回り、微弱なインフレとなる。つまり、デフレを脱出して、正常な経済となる。
現実には、そうなってはいない。「物価上昇率がマイナスであることを喜ぶ」という倒錯的な状況である。
(私のコメント)
新聞記事などをよく読めば年率GDP7%の高成長とと言う記事の中身で、名目は年率2,6%であることは触れていますが、デフレ経済でGDPを実質で言うことはほとんど無意味だ。それは名目GDPの伸びが0%で、デフレーターが10%だったら10%の高度成長と言えるだろうか。そもそも政府の官庁がどのようにGDPを計算しているのか、非常に怪しい。
例えばマンションや住宅販売もGDPに含まれているはずですが、土地の値段が五分の一から十分の一に落ち込んだことにより、かつての億ションは半分以下の値段で売られている。販売戸数がさほど増えていないから金額はかなり落ち込んでいるはずだがGDPには反映されていない。生産工場はどんどん海外へ移転しているのもGDPに反映していない。
だから本当にGDPが500兆円もあるのか不思議でならないのですが、官庁がどのように計算しているのか内訳はまるで分からない。GDPの計算根拠なり内訳を官庁はなぜ発表しないのか。これだけ日本経済の不振が続き物価の下落が起きていればGDPが500兆円のままというのはおかしい。副島隆彦氏が「堕ちよ日本経済」と言う本の中で次のように書いている。
◆正しい日本のGDPはいくらなのか?
再度繰り返すが、この表からわかるとおり、現在、アメリヵのGDPは、八・二兆ドルである。アメリカ合衆国が世界GDPの二七%の比率(シェア)を持つ。それに対して、日本のGDPは、現在三・八兆ドルである。これを、一ドル=一〇七円で計算すると、ちようど四〇〇兆円になる。日本のGDPは、いまや四〇〇兆円しかないのである。私たちは、この冷酷な事実を直視すべきである。
これが、四年前の一九九六年では、アメリカは七・一兆ドルで、世界GDPの二六%だった。このとき日本は、四・九七兆ドル(五〇〇兆円)で、実に、世界GDPの一八%だった。いま(一九九九年度)は、三・八兆ドルで、たった四年間で、なんと四〇〇兆円で一二・七%にまで落ちている。わずかこの四年で何が起こったのか。
私の概算では、ここ三年間、毎年三〇兆円ずっの赤字国債を発行し続げたのだから、「三〇兆円X三」の三年分で、約一〇〇兆円が財政赤字として増えている。だから、日本のGDPは、九七年まで、五〇〇兆円だったのが、いまは、四〇〇兆円(三・八兆ドル)にまで大幅に減少したのだとでも考えたげれぱ、っじっまが合わない。
ところが、管轄(掌)庁である経済企画庁による統計数字の発表を見ると、日本のGDPは、二〇〇〇年の今でも相変わらず五〇〇兆円のままである。より正確には、四九〇兆円と、わずか一〇兆円減っただげである。
経企庁は、ヨーロッバが中心の国際金融機関である0ECD(経済協力開発機構)に、日本の金融統計数値を報告する義務を負っている。経企庁が日本の金融統計を握っている役所である。もっとうがった見方をすれぱ、0ECDの目本支杜が、経企庁なのだ。経企庁は、IMF(アメリカ中心)の統計数字よりも、OECDに忠誠を誓っている。
しかし、別の統計では、これが四五〇兆円に減っている。本当の日本のGDPは、一体、いくらなのか。真実はさらに下落している。私の実感では、この四年間で、GDPは四〇〇兆円にまで落ちているはずである。目本のGDP(国内総生産)は、確実に落ちつづけているのである。OECDの発表している数字からは、日本のGDPは三・八兆ドルである。こっちが真実だ。三・八兆ドルは、今の為替相場の一ドル=一〇七円で換算すれぱ、まさしく四〇〇兆円である。(P61−P63)
このように専門家でも分からない数字を根拠にゼロコンマ以下の数字に一喜一憂しているが、分母が20%も狂っているのにどうしてこれが問題にならないのだろう。500兆円が400兆円にも落ち込んでいるとすれば大変なデフレ経済に日本が落ち込んでいることになるが、日本の官庁は大本営発表を続けているのだ。
これぐらいGDPが落ち込んでいれば企業も給与を引き下げ、従業員のリストラもしなければとてもやっていけないことが分かる。税収もピーク時の60兆円から現在は40兆円に落ちている。GDPが500兆円のままならばこんなに税収が落ち込むことは少しおかしい。やはりGDPの数字は大本営発表だ。
だから実質7%の経済成長も大本営発表であり、名目GDPも国民の給与水準も落ち続けているのかもしれない。私自身だってバブルの崩壊で多くの資産を処分して収入源も大幅に減ってしまった。それに対して景気の良いのは一時のIT産業であり、自動車のような輸出産業の一部に過ぎない。
だからデフレ経済の時に実質何%という数字自体無意味だし、デフレの時は名目で見ないと経済の実態を反映しない。ところがテレビのニュースでは7%成長の数字だけが叫ばれている。確かにデジタル家電はヒット商品が出て景気がいいはずなのに、秋葉原の電気街は閉店が相次いでいる。どうも実感と数字とが合わないのはなぜなのだろう。