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円、ドル、元、の通貨三国志 --- 日本、「圧力」より「協調」を(『株式日記と経済展望』より)
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投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 2 月 12 日 11:32:22:Sn9PPGX/.xYlo
 

円、ドル、元、の通貨三国志 --- 日本、「圧力」より「協調」を

2004年2月11日 水曜日


◆「短期間内での人民元切り上げはない」 「人民網日本語版」2004年2月10日

中国人民銀行(中央銀行)は9日、「人民元が5%程度切り上げられる可能性がある」とする一部メディアの報道を否定した。

一部メディアは先週末、「人民元が5%程度切り上げられる可能性がある。中国人民銀行が人民元レートの調整を決定すれば、来月にも実行段階に入るだろう」と報じていた。中国人民銀行の責任者は9日、これに対し「中国人民銀行は、人民元が切り上がるとの見方を一切表明しておらず、報道は正確ではなく、根拠もない。人民元を切り上げるかどうかは、中国経済の具体的な状況に基づいて決定する必要がある。今のところレート調整について公表できる情報はない」と述べた。

一方、国家外匯管理局のスポークスマンも、今後短期間内におけるレート調整計画の存在を否定し、「こうした問題は根拠なしに憶測すべきではない。外匯管理局は、レート決定メカニズムの改革について、以前からずっと検討を進めている」と表明した。(編集MR)


◆人民元問題、米中妥協が浮上 沈 才彬 2003年11月19日《日本工業新聞》


中国の人民元問題は米大統領選挙の争点の1つともなっており、ブッシュ政権は米産業界と労働組合の圧力を背景に、中国に元の切り上げを求めている。人民元問題をめぐる米中交渉の行方は、元切り上げかどうかを左右し、日本企業の対中ビジネスにも大きな影響を及ぼしかねない。

◆経済攻防の前哨戦


  元の切り上げ問題をめぐり、中国と日米欧先進国の間に激しい論争が展開され、世界に注目されている。この問題を見る時、二つの視点が必要と思われる。

  一つ目は、通貨攻防戦は経済攻防戦の前哨戦であるという視点である。

  近年、中国経済は台頭し、急速に日米欧先進諸国にキャッチアップしている。世界第六位とランクされている中国の経済規模は、2006年までにフランスとイギリスを追い越し世界第四位となるのは確実な情勢となっている。さらに2010年までにドイツを、2020年までに日本を、2050年前後に米国を凌ぐ世界最大の経済パワ−になる可能性が高い。

  中国の凄まじい攻勢に対し、日米欧は守りの姿勢で応戦せざるを得ない。人民元切り上げ問題での日米欧の攻勢は、経済防衛戦の側面を否定できない。ある意味で、通貨攻防戦は経済攻防戦の前哨戦とも言える。

  二つ目は、中国経済は新たな転換期に入りつつあるという視点である。世界貿易機関(WTO)加盟後、中国経済が世界経済に溶け込む中、日米欧先進国との金融面のギャップ、知的財産権保護面のギャップ、法律面のギャップが際立ち、さまざまな国際摩擦が起きている。人民元切り上げ問題をめぐるチャイナ・バッシング(中国叩き)は、正に金融面のギャップに起因するものであり、中国が直面する新たな挑戦と試練にほかならない。

  言うまでもなく、人民元をめぐる国際紛争の解消は、中国の為替制度と金融システムの改革、資本市場の整備を通じて、金融面のギャップを解消するしか方法がない。中国は元切り上げ問題での「外圧」を生かし、国内改革を加速し、この転換期を乗り切らなければならない。 

◆対中制裁はあるか


  元の過小評価および元対ドルの実質固定相場を背景に、日米など外国政府は人民元批判を強めている。狭まりつつある人民元包囲網のうち、中国側が最も懸念しているのは米国政府の出方である。米国内では来年秋の大統領選挙をにらんで、人民元の為替問題を政治的に利用するチャイナ・バッシング(中国叩き)の動きが広がっているからである。

  冷戦終結から今までの経験によれば、米国大統領選挙の年、または大統領選挙戦開始の年に、中国は例外なく選挙の争点として批判の的になる。しかし、選挙が終わると、新しく誕生した政権は例外なく中国との関係修復に動き出す。これは米国の政治ゲ−ムである。今回の大統領選挙では、人民元問題が争点となり、中国をスケ−プゴ−トにする政治ゲ−ムが再現する可能性が高い。

  それでは大統領選挙を控えたブッシュ政権は、雇用問題における米産業界や労働組合の反発を和らげるために、元切り上げ圧力を行動として示さなければならない場合、どんなシナリオが予想されるか。

  米国側は一千三十億ドルにのぼる対中貿易赤字を有力カ−ドとして、次の二つの対中制裁措置が考えられる。一つは中国の繊維製品や家電製品などを対象とする小範囲アンチ・ダンピング措置の発動である。その可能性は高いが、影響が限定的なものにとどまる。二つ目は広範囲の対中制裁措置の発動である。例えば、中国輸入品に対し一律に高関税率を課すなど。可能性としては極めて低いが、万が一起きた場合、その影響が大きい。

  小範囲アンチ・ダンピング措置の場合、中国は反発をするが、報復措置の発動を多分見送ると思われる。しかし、広範囲の対中制裁措置の場合、中国側は当然報復に出る。どんな報復措置を取るか。1996年に起きた米中通商摩擦の事例を見よう。同年5月、当時のクリントン政権は海賊版CDによる知的所有権侵害を理由に、総額三十億ドルにのぼる対中制裁対象リスト(100%関税の賦課)を発表した。これを受け、中国政府は即日、米国の制裁を上回る報復措置をとり、米製品に100%の特別関税を課し、米企業の対中投資も規制する逆制裁リストを発表した。米中貿易戦争は一触即発という緊迫した状態となっていた。

  ところが、制裁発動予定のぎりぎりの段階で、米中双方が互いに妥協し、合意の成立によって制裁発動を回避した。相互妥協には様々な理由があるが、中国側が切り出した市場カ−ドは効果があったと見られる。制裁が発動すれば、ボ−イングのような米多国籍企業は中国市場から締め出される恐れがあるため、必死になって制裁の発動に反対した経緯があった。

  今回、米国が人民元問題で対中制裁を発動すれば、中国側は再び市場カ−ドを切ることも予想される。米中貿易は日米貿易と違い、ブーメラン形態が主な特徴となっている。つまり、米国企業は中国に進出し、中国で生産した製品を米国に輸出するという構図である。ブーメラン貿易の主な担い手は、モトローラ、コダック、GM、ボーイングのような多国籍企業である。これらの多国籍企業は中国市場から莫大な利益を得ており、一千億ドルを超える対中貿易赤字の多くも、多国籍企業の対米輸出によるものとみられる。

  現在、米国内の中小企業は人民元切り上げを強く求めているが、多国籍企業は沈黙を保っている。元を切り上げれば、多国籍企業にとってコスト上昇が避けられず、不利益になるからである。米中制裁合戦の場合、米多国籍企業は再び立ち上がって制裁に反対する可能性が高い。

◆米製品増やし、元変動幅拡大か

  中国にとって最も有力なカ−ドは、やはり手中の米国債である。中国の報復措置として、最後の手段も米国債の売却である。

  2003年6月現在、中国が保有している米国債は一千二百二十五億ドルで、日本の四千四百十億ドル、英国の一千二百二十八億ドルに次ぐ規模。香港の持ち分を計上すれば、合計約二千億ドルにのぼる。仮に中国が米国債の売却という行動に出た場合、米長期金利の急騰と財政収支の悪化をもたらし、米経済を混乱に陥れることもできる。

  実際、中国は手中の米国債をカ−ドに使って米当局と交渉した前例がある。香港返還を控えた1997年5月、「金融サメ」と言われる米ヘッジファンドの雄・ジョ−ジ・ソロスは何度も香港ドル売り投機の動きを見せた。それをキャッチした香港の親中派有力財界人は朱鎔基副首相(当時)に「ソロス傘下のファンドが香港ドル売りを仕掛けている」との情報を伝えた。事態を深刻に受け止めた朱鎔基氏は、さっそく「香港ドルの防衛には米国債を売らざるを得ない」とのメッセ−ジを当時のル−ビン米財務長官に送った。

  朱鎔基のメッセ−ジは米国の急所を突いた格好となった。当時、中国と香港は合計二千億ドルの外貨準備を持ち、そのうちのかなりの部分を米国債で運用していた。売りに転じると米金利は上昇し、株式市場も混乱する恐れがある。財政赤字の穴埋めを外国に依存している泣き所を突き、朱鎔基は米政府に対し、香港ドル売りを断念するようソロスに働きかけてくれと迫った、という筋書きだった。

  米政府は実際に朱鎔基のメッセ−ジにどう対応したかがわからないが、その後、ソロスは香港ドル売り投機の動きを見せなかったのは確かである。今回の人民元切り上げ問題で、米国が対中制裁を発動した場合、中国側は米国債カ−ドを再び切ることが考えられないわけではない。(後略)


(私のコメント)
日本はアメリカと中国との間に挟まれた関係において、どのような戦略を練るかがこれからの課題になります。今までは日米関係だけを考えていれば日本の外交は問題がなかった。そこへ中国が登場してきたことにより日米中の三国関係で考えなければならなくなった。経済関係では日米貿易よりも日中貿易の方が大きくなっており、日米関係と日中関係を巧みに操る外交が求められます。

経済問題に関する限りアメリカに対して日中は共同戦線を組める可能性があります。85年のプラザ合意以降日本は為替で追いこめられて日本の輸出産業はダメージを負いましたが、生産拠点をアジアや中国に移転することで為替ダメージをかわす事に成功した。しかし生産の空洞化で日本はしわ寄せを受けて一部輸出産業以外は企業業績は低迷を続けている。

中国は改革開放で外国から資本と技術を受け入れて大発展を続けている。資本も技術もみんな外国企業が揃えてくれるのだから、発展途上国にとってこんな有り難いことはない。ついでに人材も育成してくれれば、発展途上国の政治家は何をしなくともいいのだから、日本などの技術や資本の輸出国は世界のどこからも引っ張りだこになっている。

中でも中国は地理的にも近く文化や人種なども共通しているから、日本企業は猫も杓子も中国へなびいている。中国の改革開放政策で一番メリットを受けているのが日本だ。しかし問題も多く金融や法律などの未整備部分でトラブルが多発している。このような部分は欧米と連帯して中国に圧力をかけ改善していけば良い。

80年代90年代の日米経済摩擦は日本が一方的に譲歩を強いられてきましたが、米中の経済摩擦はそれとは違って中国は正々堂々とアメリカとわたり合っている。アメリカが制裁を掛ければ中国も逆制裁を掛けて香港の通貨投機などを撃退することに成功した。日本の政治家も見習ってほしいものだが、なさけない。

通貨問題でもアメリカは中国に対しプラザ合意のような屈辱的な措置を呑むだろうか。中国はアメリカ国債をカードに脅しには屈しないだろう。日本のプラザ合意の失敗を見ているからだ。橋本龍太郎首相も一時アメリカ国債売却カードをちらつかせたことがあったが、逆に「売却しない」という誓約書を書かされ薮蛇になってしまった。日本の政治家が脅しに弱いことを米中の政治家は良く知っている。

80年代の頃とは金融為替情勢は大きく変わってきた結果、アメリカは今までのようなドル帝国主義を続けることは危険な情勢になってきた。通貨においてはユーロの登場であり、中国の元も地域通貨としての野心を見せてきている。アメリカがあまり阿漕なことをすれば、世界各国はドルを手放してユーロや円などに代えてしまうだろう。現にそうなりつつある。

アメリカがこのまま80年代頃のようにドル安容認姿勢をみせれば、最後までドルを支え続けた日本も見放してアメリカ経済は破綻するだろう。EUや中国だって日本を味方に引き入れてドルに対する共同戦線を組む体制もG7で見えてきている。80年代はアメリカは一方的にジャパンバッシング出来たが、今は日本を見方に引き止めないとアメリカは世界から孤立しつつある。

◆為替介入「最低限に」 スノー米財務長官

【ワシントン9日共同】スノー米財務長官は9日、外国為替市場への通貨当局の介入について「最低限にとどめるべきだ。だが、決してやるべきではない、とは言えない」と述べた。週末の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)出席の後、フロリダ州マイアミで同行記者団に語った。
 長官は「強いドルは米国の国益にかなっている」と、強いドル政策を維持するブッシュ政権の方針を示す一方、「通貨価値を決めるのは競争原理が働く市場だ」との見解もあらためて表明した。(共同通信)
[2月10日8時35分更新]

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