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「日銀ウオッチ」G7と金融政策(上)プラザ合意の歴史は繰り返すか (ブルームバーグ)
http://news.www.infoseek.co.jp/business/story.html?q=04bloombergto6890529&cat=10
【記者:日高正裕】 2月4日(ブルームバーグ):米フロリダ州のボカラトンで今週末67日、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開かれる。G7を控え、財務省は1ドル=105円の防衛線を死守しようと円売りドル買い介入を繰り返し、日本銀行も先月、当座預金残高目標を引き上げ、量的緩和の拡大に踏み切った。G7と金融政策の歴史を振り返りながら、G7後の展望を2回にわたって探った。
G7はもともと、1973年の第1次石油ショックをきっかけに日、米、英、独、仏の5カ国(G5)の首脳が集まり、対応を協議した先進国首脳会議(サミット)が始まりだ。その後、首脳たちとは別に5カ国の蔵相と中央銀行総裁が毎年3回集まり、経済・金融情勢を話し合うようになったのがG5で、86年からはイタリア、カナダが加わって今のG7になった。
その歴史のなかで最も記憶に残るのは、85年9月のプラザ合意だろう。ニューヨークのプラザホテルで開かれたG7で、ドル高是正に向けた合意が成立。円相場は当時の同230円から、1年後には同160円に急騰した。円高不況に対応するため、日銀は86年1月から87年2月までの間に、公定歩合を計5回、2.5%引き下げた。最後に利下げをしたのは、プラザ合意をきっかけに行き過ぎたドル安を是正するため、「為替相場の安定」が打ち出されたルーブル合意の当日だった。
円高阻止が「日本の国是」に
当時、円高阻止とそのための国際協調が「日本の国是」となるなか、大蔵省(現財務省)が財政再建¥で自らの手を縛っていたこともあり、金融政策を為替相場に割り当てる世論が形成された。日銀が89年¥5月に金融引き締めに転じるまでの2年3カ月、当時としては過去最低水準だった2.5%の低金利が継¥続。その長期化がバブル経済を生み、バブル崩壊とともに90年代以降の長期停滞が始まった。
そして時は移り、昨年9月のドバイG7。声明に「為替相場のさらなる柔軟性が望ましい」という文言が入ったのをきっかけに、円高が加速。財務省は昨年1年で20兆円という空前規模の介入を行い、今年も1カ月7兆円と過去最高ペースで介入を続けている。日銀も昨年10月、当預残高目標の上限を2兆円引き上げたのに続き、今年1月に目標を30-35兆円に引き上げ、側面支援を行った。
バブルを生んだ80年代後半の金融政策への反省から、日銀は「円高のことは十分念頭に置いているが、それだけに直結して政策を決めるわけではない」(昨年10月の追加措置決定後の福井俊彦総裁会見)という姿勢を取ってきた。しかし、今年1月の追加緩和は、日銀の想定通りに景気が回復するなかでの唐突な決定だっただけに、G7を前にした円高対策、という見方が有力だ。この決定には賛否両論あるが、円高対策で行われた、という見方については双方とも一致している。
「さらなる柔軟性」の行方
事実、ある日銀幹部は、福井総裁の思いを慮れば、と前置きしたうえで、こう語る。ドバイG7では、日本などアジア諸国の為替介入をけん制するため「柔軟性」が声明に入ったが、日本が引き続き大規模介入で円高を食い止めているあおりを受け、ユーロの対ドル相場は大きく上昇している。欧州勢はこれに不満を募らせており、批判の矛先が再び日本に向かう恐れがある。G7後に円高が加速すれば、日銀への圧力が高まるのは目に見えているので、先手を取った――。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「米財務省は、日銀の量的緩和強化を高く評価しているようだ。日銀がG7前に動いたことで、円高阻止を目論む日本の立場がやや強化されたのは事実だろう。しかし、ブッシュ政権内での財務省の地位の低下は周知の事実だ。ブッシュ政権はまだドル安放置のデメリットを実感しておらず、為替政策の変更には気乗り薄だろう」と話す。
市場が注目しているのは、ドバイG7でドル安の流れを決定的にした「さらなる柔軟性が望ましい」という文言の行方だ。日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは「全体が抜け落ちる可能性は低くいが、『さらなる』を削除するなど微調整で決着する公算が大きいだろう。しかし、その程度の声明では市場の失望感が高まりやすく、ドル安の流れが変化するとは考え難い」と言う。
日米欧の不協和音で円高加速も
米国経済は7-9月の高成長(前期比年率8.2%)から減速したとはいえ、10-12月も同4.0%と引き続き高い成長を維持している。株式市場も堅調で、財政赤字をファイナンスできる限り、今のドル安は居心地が良い。「11月に大統領選挙を控えていることもあり、ドル安を反転させるような声明文の大幅変更はないだろう」(東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト)という見方が根強い。
モルガン・スタンレー証券の佐藤健裕エコノミストは「通貨調整による対外不均衡是正を目指す米国に対して、日本と欧州が市場の安定優先を求めて対立する見込みだが、大量介入でドル下落を防御する日本の姿勢に欧州は批判的で、日本と欧州も一枚岩ではなさそうだ」と指摘。たとえ、為替市場の安定を志向するトーンに声明が変更されたとしても「その後の要人発言などから、通貨当局間の不協和音が表面化する可能性もあり、今後の展開は予断を許さない」と言う。
JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は「G7後も財務省の大量介入が続くとみられるが、それでも米国の双子の赤字を背景としたドル安の流れを止めることはできない。同105円は通過点で、年末には同95円に向かう可能性が高い」とみる。そうなった時、為替相場への直接的な関与というパンドラの箱を再び開けてしまった日銀は、円高阻止のために何を求められることになるのだろう。
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[ 2004年2月4日7時30分 ]