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増田俊男の時事直言!
233号 (2004年2月2日号)
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福井日銀総裁のごまかし
今後の世界経済を読む上で注目すべきはアメリカの対日マネー戦略(金融攻勢)である。昨年9月1日、スノー米財務長官が来日し、「為替動向を注視した柔軟な政策が望ましい」と言って政府・日銀の円高介入の行過ぎを指摘した。アメリカは、昨年の第3四半期に8%を超える高経済成長を達成し、設備投資も12.8%と高水準、その後もアメリカ経済は順調に成長を続けたが、長期金利の上昇で消費を支えてきた住宅産業の伸びが止まり消費にかげりが見えだした為、本年4月頃から需給ギャップが顕在化することがわかっていた。そこでスノー長官はこのリスク回避の為、更なる円高で日本からの輸入を押さえ、同時にアメリカ製品の輸出競争力を付けて需給ギャップを軽減する必要があった。だから、いざという時(本年4月頃)が来るまで暫時介入するよう、日本の過度な為替介入を牽制したのである。
アメリカのハバード前大統領経済諮問委員会委員長が突然1月第3週に来日し、首相官邸の記者会見で、「日銀はまだ金融緩和をする余裕がある」と言った。すると翌週1月20日、福井日銀総裁は金融政策決定会合後異例とも言える「追加金融緩和」を発表し、日銀当座預金の目標額を30兆円近くまで上げ、さらに4兆円を積み増した。福井総裁の説明は「デフレ克服に向けた政策スタンスを改めて明確に示し、今後の景気回復の動きをさらに確かなものとする」ことがその趣旨だったが、日銀は今年になって行われた月例報告の中で公式に「景気は緩やかな回復基調にある」との判断をしていたから、突然の追加金融緩和決定は不自然かつ矛盾するので、市場は福井総裁発言の解釈をめぐって混乱した結果上昇中の株価は急落した。福井総裁は単にアメリカの要望に従っただけで、今回の追加金融緩和は景気にもデフレにも関わり無かったのである。
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フロリダG7 (2月6日から) が転換期になる
今回の日銀の決定を、G7を視野においたものとする声もあるが、仮にそうであるならば、「来たるべき超円高時の介入資金をお見せしておきます」とアメリカに示したと解釈すればいい。
さらなる円高でアメリカの需給ギャップ解決に協力すると同時に、介入で得るドル(キャッシュ)でアメリカの国債を買うことによって拡大するアメリカの経常赤字の穴埋めをする。日本の財務省・日銀は総てアメリカの経済政策を支え赤字を補填する役目を担っているのである。今度のG7では、何時まで日本の金融政策はアメリカに追従しなくてはならないかが示されるだろう。これは1月28日のFOMC(連邦公開市場委員会)後グリーンスパンFRB議長が、今まで使ってきた「長期間の超金融緩和」を意味した“for a considerable period”(かなりの期間)の言葉を削除したことにヒントがある。為替の決定要因は金利だから、先行き金利を上げるかも知れないメッセージを市場に与えた意味は大きい。G7でドル安解消の努力をアメリカに求めようとする日欧に先手を打ったとも言えるが、4月ごろからの前述したアメリカの需給ギャップのリスク回避は決定的と判断し、アメリカ経済が年末に向けて好況へ向かう自信を示したものと受け止められる。アメリカ経済はこれまで、日本の断続的金融緩和と介入によって支えられてきたが、今後は日本の犠牲無しに市場の自律調整機能で成長を持続できる自信が出来たとのメッセージだと私は読む。従って、G7後短期間は超円高、以後ドル高と見る。円安幅には財務省の買戻しがあるので限定的だが、ユーロは(介入していないので)つるべ落としで下げるだろう。今後は為替から目が離せない。今後の私のメッセージに注目していただきたい。
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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h16/jiji040202_233.htm