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タリク・アリ(パキスタン人作家)の二冊の著書を読む。
投稿 平成16年02月29日00時34分
太田龍の時事寸評
平成十六年(二〇〇四年)二月二十八日(土)
(第八百六十八回)
http://www.pavc.ne.jp/~ryu/
○タリク・アリ著
「バビロンのブッシュ − イラクの再植民地化」
Bush In Babylon The Recolonisation of Iraq(二一四頁)
By TARIQ ALI(二〇〇三年)
○タリク・アリ著
「原理主義の衝突 − 十字軍、ジハド(聖戦)、そして近代」
The Clash of Fundamentatalisms,Crusades,Jihads,And Modernity
By TARIQ ALI(四二八頁) 二〇〇二年
ペーパーバック版 二〇〇三年
○タリク・アリ。
このひとは、ロンドン在住のパキスタン人著述家。
英国で発行されて居る「ニューレフトレビュー(新左翼評論)」誌の
編著者、とある。
○このひとつの名前は、英語世界では、非常に頻繁に目にするが、日本
では、多分、全く、知られて居ないのではなかろうか。
○「原理主義の衝突」、と言う著作の巻頭に、
「ザ・エコノミスト・ニュースペーパー」、一九九九年十月二十三日号
から、「アメリカの世界」、
と言う、英国ユーモア式世界地図が引用されてある。
○この世界地図では、
北米が大きく描かれて居る。
南米は、北米の二十分の一以下。
ユーラシア大陸とアフリカ大陸は、
小さな小さな南米大陸の少し右側に、
南米大陸の二倍くらいの(二倍以下)の大きさ
北米大陸の十分の一位以下ぐらいに描かれて居る。
○ここでは、日本列島は、良く良く見ても、ちょっと見えないぐらい
の点点である。
○「米軍は、国連加盟百八十九ヵ国のうち、百二十ヵ国に駐留して居る」
(「原理主義の衝突」、ペーパーバック版への序論、十三頁)。
○「バビロンのブッシュ」の著作序文は、二〇〇三年七月十五日付、
となるので、この本は、二〇〇三年三月、米英帝国主義の対イラク侵略
戦争開始後に書かれ、出版されたものであることが分る。
○タリク・アリは、
二〇〇一年一月以後の米英の対イラク戦争の目的を、
米英及びシオニストイスラエル帝国主義のイラク再植民地化にあり、
と定義する。
○そして、この対イラク侵略戦争は、
イラク人民と、アラブイスラム人民の抵抗によって、
必ずや、米英イスラエル帝国主義の敗北に終ると、著者は述べる。
○筆者は、タリク・アリとは、多くの点で、見解を異にするものの、
今、ここで、この本の内容を日本民族に広く、知らせることは、
有益である、と判断する。
○なお、「バビロンのブッシュ」の六〜十三頁に、シリアの著名な詩人、
故、ニザール・カッバーニー(Nizar Qabbani)の、一九九七年四月
十五日付けの長文の詩(アラビア語を英訳したもの)が収録されて
ある。
○我々にはテロリズムの故に弾劾されて居る。
......
......
我々はテロリズムの故に弾劾されて居る。
我々がイスラエルのブルドーザーによって、
我々の土地を盗まれ、
我々の歴史をふみにじられ、
我々のコーランをズタズタにされ、
我々の預言者の墓をアバかれる、
それらのことを、死を以て拒否するがために。
......
......
......
私はテロリズムと共にある。
新世界権力(ニューワールドオーダー)が私の子供たちを虐殺し、
そしてその死体を犬のエサとして放り投げることを止めない限り。
......
......
(了)
●[注]
○タリク・アリ、と言うパキスタン人作家は、一九七〇年以降、多くの
著作を英語で出版して居る。良くは知らないが、その立場は、ソ連
共産党その他の公式左翼に反対する、いわゆる欧米の新左翼的陣営
に重なる、アラブイスラムの反米共反シオニストイスラエル的陣営
に含まれるようである。
○「原理主義の衝突」の百十七頁〜百二十二頁に、
ニザール・カッバーニーの、アラブイスラム世界では有名な、一九六七年
対イスラエル戦争でのアラブの敗北の直後に書かれた、長文の詩
(Hawamish ala Defar al-Naksah)
の、英訳が収録されて居る。