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自民党の脳死・生命倫理及び臓器移植調査会(会長=宮崎秀樹参院議員)は25日、臓器移植法の改正案をまとめた。臓器提供は年齢を問わず「本人の拒否の意思表示がなければ家族(遺族)の承諾のみで行いうる」とし、脳死判定をするかどうかについては「本人の書面による意思表示と家族の承諾を不要」とした。「本人の意思尊重」を基本的理念に掲げる現行法が、臓器提供や脳死判定の要件とする「書面による意思表示」を不要とする抜本的な改正内容で、議論を呼ぶのは必至だ。
改正案の要点は5点。
(1)は臓器提供に関する意思表示要件の改正で、(2)は脳死判定の意思表示の要件の改正。(3)に、現行の脳死判定基準が対象外とする6歳未満(生後12週以降)の小児脳死判定基準を設けることを挙げ、(4)として、臓器提供の意思の有無について運転免許証や医療保険の被保険者証などに記載できることを盛り込んだ。
さらに(5)に「親族への臓器の優先提供」を挙げ、今後詰めるという。
今回の改正案の検討は、現行法が97年10月の施行後、3年をめどに内容を見直すことになっていたのを受けたもので、子どもの脳死移植を認めるかどうかの議論から始まった。現行では、臓器提供の意思表示を有効とする年齢が15歳以上とされている。このため、とくに心臓の場合、臓器の大きさが合わないと移植できないため、子どもの脳死移植は事実上閉ざされていた。
改正案は、この子どもの脳死移植を行えるようにする内容だが、法律の根本を見直すものになった。調査会は、超党派による生命倫理研究議員連盟(会長=中山太郎衆院議員)と協議。今国会での提案を目指す。
現行法の施行以来、脳死判定は29例あり、28例で臓器提供が行われている。しかし、心臓移植を希望する子どもが基金を集めて海外で移植を受けるケースが後を絶たず、患者団体や移植を担当する医師らから法改正を求める声が上がっていた。
調査会内には「15歳未満に限って家族の承諾で臓器提供できる」とする案もあったが、患者団体や関係学会の医師らの声を受け、移植件数を増やすためにも、年齢を制限せずに家族の承諾だけで臓器提供を認めるべきだとした。
〈臓器移植法に詳しい中山研一・京都大名誉教授(刑法)の話〉
現行法をつくったときの過程をすべて否定するのはうなずけない。本人の自己決定権の尊重は現行法の基本原則であって、現実の必要性を理由に否定しようというのは安易すぎる。 (02/25 18:12)
http://www.asahi.com/science/update/0225/003.html