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【北京・浦松丈二、伊藤一郎】中国遼寧省瀋陽市の瀋陽市中級人民法院(地裁)が今月上旬、覚せい剤1.25キロを中国から日本に運ぼうとして麻薬密輸罪で起訴された60歳代の日本人男性に対し、死刑判決を言い渡した。複数の関係者が13日、毎日新聞に明らかにした。男性は遼寧省高級人民法院(高裁)に控訴した。日本人が中国で、執行猶予の付かない死刑判決を受けるのは初めて。中国では外国人に死刑判決を言い渡す場合、最高人民法院(最高裁)の許可が必要だが、この男性の判決には最高裁の許可が出ているという。刑が確定し執行されれば、日本人が海外で刑法犯として死刑に処される初のケースとなる。
日本外務省邦人保護課によると、中国(香港を含む)で麻薬密輸容疑で刑事拘束(逮捕に相当)された日本人は一昨年はいなかったが、昨年は9件13人(女性1人を含む)と急増した。13人は退職者やホームレス、失業者らで、こうした人々を利用した中国からの覚せい剤密輸ネットワークがあるとみられる。死刑判決を言い渡された男性も日本国内で勤めていた職場を退職しており、日本国内で何者かに、数十万円の謝礼で中国から覚せい剤を日本に運ぶよう依頼されたという。
この男性を除く12人も、この男性と同量かそれ以上の覚せい剤約1〜7キロの密輸容疑で調べられているため、いずれも死刑を含む重罪に問われる恐れが出てきた。
関係者によると、死刑を言い渡された日本人男性は昨年7月、遼寧省の大連空港から覚せい剤を身につけて国際線の航空機に乗ろうとしたところを拘束され、逮捕・起訴された。男性は地裁の公判で、麻薬密輸の起訴事実を認めている。
瀋陽の日本総領事館は中国当局から男性拘束の通報を受け、領事館員を面会させた。昨年7月から今月上旬の判決までに計4回、判決後に1回、この男性と対応を話し合った。男性は家族や領事館員とも相談、費用が安い中国人の国選弁護士に弁護を依頼した。
中国刑法では麻薬の製造、運搬、販売にかかわった罪は麻薬の種類によっても異なるが、最低50グラムから死刑になる可能性がある。一昨年、覚せい剤を中国から密輸しようとした韓国人男性の死刑判決が高裁で確定し、執行されている。
中国では通常、地裁、高裁の2審制をとる。関係者によると、中国国内では01年7月に傷害致死罪で起訴された日本人男性が高裁で死刑(執行猶予2年)判決を言い渡された例がある。しかし、執行猶予付きの死刑判決では服役態度が良好と判断されれば無期懲役に減刑されるため、刑は執行されていない。
◇雇われの退職者やホームレス、重刑知らず密輸
【北京・浦松丈二】中国遼寧省の瀋陽市中級人民法院(地裁)が覚せい剤を日本に運ぼうとした日本人男性に死刑判決を言い渡したことが13日分かったが、背後には暴力団関係者の関与も疑われている。北朝鮮の工作船銃撃事件(01年)などで日本近海の海上警備が強化される中、雇い入れられた退職者やホームレスなどが空路、小口に分けて中国ルートで覚せい剤密輸にかかわる実態が浮き彫りになった。
外務省邦人保護課などによると、中国国内では昨年3月から11月にかけて瀋陽、大連(いずれも遼寧省)、上海市、広州(広東省)、香港の五つの空港から覚せい剤など約1〜7キロを密輸しようとして日本人13人(20歳代から60歳代)が現行犯で捕まった。13人は、いずれも首都圏などに住む退職者、失業者やホームレスら。日本領事の面会に「日本で知らない男から30万円で覚せい剤密輸を持ちかけられた」などと話しており、暴力団などの組織がかかわっている可能性がある。
関係者によると、死刑判決を言い渡された男性が運ぼうとしたのは覚せい剤1.25キロ。数百キロ単位の密輸が摘発されている海上の密輸ルートに比べて航空機による密輸は「小口」だが、運ぶ人数と回数を増やせば大量の密輸も可能だ。
しかし、北京の日本政府関係者は「中国国内の空港にある探知機は麻薬を隠しての『すり抜け』が極めて難しい。数十万円の報酬で引き受けたのは事情に疎いからだろう」と語る。
昨年拘束された日本人13人は中国への渡航歴はほとんどなく、麻薬関連犯罪の量刑が日本に比べて重い中国刑法の知識はなかったという。中国の裁判所が日本人男性に極刑を言い渡したのは、旅行者を装った「運び屋」の急増を懸念したためとみられる。13人のうち1人は覚せい剤約7キロを運ぼうとして香港で起訴され、懲役20年の実刑判決を受けた。また瀋陽で死刑判決を受けた60歳代の男性を除く11人は4人が公判中、7人は公判が始まっていない。
これまで中国国内で日本人が麻薬密輸容疑で刑事拘束された例は、99年と01年の2人だけ。99年は懲役20年、01年の場合は無期懲役が確定、現在も服役している。
中国入管当局は昨年秋から日本人が入国する査証(ビザ)を免除しており、渡航手続きが簡略化された。往来人数も300万人以上と年々増加している。北京の日本大使館関係者は「中国での麻薬犯罪の量刑は重い。麻薬だけでなく他人から頼まれた荷物の運搬には十分な注意が必要だ」と注意を促している。
外務省邦人保護課によると、これまで海外で日本人に対する死刑が実際に執行されたケースはない。大麻所持の罪を問われたフィリピンの裁判など数例で死刑判決が言い渡されたことがあるが、いずれも終身刑などに減刑されたという。
[毎日新聞2月14日] ( 2004-02-14-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20040214k0000m040134000c.html