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[ビキニ事件半世紀]毎日・江崎ホットトーク 「死の灰」の恐怖、切々と/静岡 [毎日新聞]
http://www.asyura2.com/0401/bd33/msg/689.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 2 月 11 日 13:12:46:dfhdU2/i2Qkk2
 

 ◇ゆがめられた記録、漁師のプライド…

 ◇「私が話さないと」−−聴衆80人前に見崎さん講演

 「ビキニ半世紀。今、伝えたい」――。7日開かれた「毎日・江崎ホットトー
ク」(主催・毎日新聞静岡支局、江崎新聞店)で、第5福竜丸の元漁労長で焼津
市の見崎吉男さん(78)は、この50年の胸の内を明かした。間違って伝えら
れた記録、漁師のプライド。船の責任者として今も自責の念が残る。見崎さんは
持参した黒いファイルに目を落としながら、約80人の聴衆を前に、淡々と事件
を語り継いだ。

 福竜丸にかぶさるような光、それに続く轟音(ごうおん)。乗組員のむき出し
の顔へ容赦なくぶつかってくる「死の灰」。見崎さんは被ばくの瞬間の様子を、
身ぶり手ぶりを交えながら語った。

 「自分があわてふためいて、びくびくしていたらしょうがない」。動揺する乗
組員を落ち着かせるため、船をブイの周りを円を描くように航行させながら、乗
組員の様子に気を配った。見張りに飛行機や船に気をつけるように命令し、無線
で近海にいた船に連絡を取って様子を探らせた。船の最高責任者として、最善の
行動を取ったという自負を語った。

 ところが、一部の記録では「乗組員の体に異変が現れ、帰港を命じた」など、
危機感の薄い漁師として描かれた。「漁師はいいかげんな人間じゃ務まらない。
世間の偏見があり、正しく理解されていない」と漁師という職業への熱い思いを
語る。

 一方で、あの航海に対する自責の念は今も消えない。「あの航海は全部、私が
作ってしまった」。船は漁労長の命令で、どこへでも動く。3月1日は、帰港途
中に命じた漁場調査として最後の日だった。

 見崎さんは昨年から焼津市を中心に積極的に事件を話している。「一部始終を
見ていたのは私だけ。事実は私が話さないと分からない」という。

………………………………………………………………………………………………………
 ◆講演要旨
 ◇白い光、天空焦がす炎

 焼津に生まれ、漁師が好きでした。とくに遠洋がね。もっと全国を回って修業
したかったけれど、当時は戦争の名残で40、50代の漁師がおらず、「見崎、
第5福竜丸に乗ってみないか」と声がかかりました。夢をいっぱい描いて焼津を
出港しました。出港のときは、背中に鋼の棒が入るような感じです。漁労長の私
は最後に「頑張ってきます」とあいさつし、大勢の人の手を握り、熱い心を抱き
しめて乗り込みました。漁師はいいかげんな人間は務まりません。狭い船内で長
い期間、お互い協力していくんだから。

 1954年3月1日。真夜中にマーシャル諸島へ入りました。夜明け前に船の
位置を測った。それが午前3時50分。私はさそり座が好きでね。さそり座がキ
ラキラと水平線の斜め上空に輝いていました。観測を終え、ようしうまくいった
ぞと思った時、光が天に昇ってきたんですよ。白い光が一斉に前からも後ろから
も上がってくる。第5福竜丸にかぶさってくるように。恐怖を感じるものすごい
現象でした。ただ一人の目撃者です。最悪のシナリオが作られていったんですね。
あまりも突然です。天空を圧倒しました。最後は炎となって大空を焦がした。

 あと1時間でみんなを起こそうとしていた時だった。暑いところですから、窓
もドアも開けっ放し。みんな跳び起きて、操舵室に駆け上がってきた。一斉に私
をにらんでいるわけだよね、ものすごい目つきで。今起こったものすごい光はな
んだって。

 それから9分たたないうちに、ものすごい轟音がしたんですよ。今でも適切な
表現ができないぐらいの音。音で距離を計算してみると、そこはビキニ島。これ
はまずいなあと。一番でてきちゃ困る名前だった。戦争が終わって間もなく実験
場になったビキニ島は要注意なんですね。いい漁場があり、そこを調べたいと
思ったのが大失敗でした。無線局も海上保安庁も知らないって言うんで、これは
日本政府の責任だよね。アメリカは日本の政府に知らせてあるって言うんだもの。
これは政府からもきちんと答弁してもらいたい。

 船は調査の旗(ブイ)のそばで静かに漂っていました。私は「エンジンスタン
バイ。甲板長荒天の準備してくれよ」と言い、ゆっくりと旋回させました。かな
らずアメリカが来るぞと思い、船員たちを落ち着かせようとしました。

 本当なら日本に連絡しますが、必ず連絡が来ると思っていました。午前8時ご
ろ、風が出て雨が降ってきた。それにまざって白い何かが顔に当たった。貝でし
た。貝が空から降ってくる。ビキニ島だと思いました。ビキニはサンゴ礁の島で
すからね。島が爆発して飛んだものが福竜丸に降ってくる。ますますアメリカの
核実験だと思いました。

 甲板長からは「頭が痛い、メシを食いたくない乗組員がいる」と連絡を受け、
困ったと思いました。日本からも他の船からも連絡はなかった。真相の解明もで
きないまま、出口のないトンネルに入ったようで恐ろしかった。

 14日午前5時に焼津に帰り着きました。あの航海は全部、私が作ってしまっ
た。最悪の航海です。大きな志をもって焼津港を出港した第5福竜丸の乗組員に
申し訳なかったと思っています。青春をかけた若者たちは海から撤退しました。
傷ついた私たちを助けてくれたのは日本の人たちです。ある人は心血を注ぎ、あ
る人は骨身を削ってくれました。やがて再び故郷の大地に立つことができ、こん
な幸福な人生はありません。本当にありがとうございました。

[2004年2月8日 毎日新聞静岡版から]

http://groups.yahoo.co.jp/group/nomorewar/message/11914

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