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最近の欧米関係でちょっと気になる情報:「大西洋同盟」は日程表にあがっているか?
今年に入ってからのスペイン首相アスナールの言動を追っかけていたのですが、その際、EUとアメリカの関係でちょっと引っかかるところがありました。テーマとしては戦争版よりも空耳版のほうがふさわしそうですので、こちらで投稿します。
まず、1月14日のエル・パイスの記事で、これは『イベリア半島「百鬼昼行図」:その6』の中でも取り上げたことですが、必要な点だけをかいつまんで書いてみます。
「アスナール、ヨーロッパとアメリカの間に自由経済地域を提案」
(2004年1月14日:エル・パイス) ワシントン
http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?xref=20040114elpepinac_9&type=Tes&anchor=elpepiesp
『アスナールは、昨日(1月13日)ワシントンでEUとアメリカの間に、2015年をメドにして、自由経済地域を作る計画を提案した。首相はアメリカへの公式訪問の初日に、通商部での朝食会に企業の代表者を招いた。スペイン経済の良好さを強調した後、大西洋をはさむ二つの巨大な経済圏の統一を提唱した。春に行われる欧米首脳会議の際に、欧米間の貿易・通商と制度上の障壁を10年間で撤廃するプランを練る目的で、「高級経済閣僚委員会」を作ろうというものである。
アスナールが上げた目標は2015年実施だが、その前に、情報通信とデジタルエコノミー、航空輸送、金融、および競争ルールの法制化、の4つの部門で、2010年には結論を得たい、としている。』
この記事には、スペイン経済の「売り込み(かなりの大言壮語だが)」や、キューバのカストロ政権が早く終わることを希望する、といった内政干渉発言もありましたが、その点は割愛します。(キューバに関しては別の意味で気になります。アメリカと組んで転覆工作でもやるのでしょうか。)
次に、エル・パイス2月4日付の記事ですが、アスナールは上と同様の提案を今度はEUのプロディにもおこなったのですが・・・。
「アスナール、プロディに欧米委員会を提唱」
(2004年2月4日:エル・パイス) ブリュッセル
http://www.elpais.es/articuloCompleto.html?xref=20040204elpepiint_11&type=Tes&anchor=elpepiint
『アスナールは1月26日に手紙で、EU委員長のプロディに、2015年に二つの巨大経済圏の間で通商・貿易障壁を取り除くために「相互通商高級委員会」の設立を提案した。その前の2010年には、情報通信と電商業引、航空輸送、金融、および競争ルールの法制化、の4部門で障壁を撤廃する、というのだ。そして次の欧米首脳会議でこの委員会の創設に動くことを期待する、と言った。
しかしEU委員会は関心を示さずに、「もうすでに、そのような障壁を取り除くために適切な業務がなされているので、新たな官僚組織は作る必要が無い」と発表した。新聞によると、Positive Agenda【「積極計画」と訳すべきか?】(アスナールは手紙でこれを指して欧米首脳会議で見直すように言った)、Frits Bolkestein委員会(金融業務についての交渉)、Pascal Lamy(貿易)、Loyola de Palacio(航空輸送)、Mario Monti(競争ルール)がワシントンと接触を保っている。』
この記事の中の「Positive Agenda」なのですが、どうも実態がよく分かりません。EU内の組織や動きでもないようですが、EABC(European-America Business Council)のホームページの行動日程の中に次のような記事がありました。
February 3, 2004
EABC Forum - Washington
Breakfast Roundtable Discussion with Dirk Bruinsma, Director General for Foreign Economic Relations, Ministry for Economic Affairs, The Netherlands
"Trans-Atlantic Trade: Working Together on a Positive Agenda"
Time: 8:15am-9:45am
Location: The Army and Navy Club, 901 17th Street, NW, 2nd Floor, Washington DC
European-American Business Council "Promoting Trans-Atlantic Growth"
http://www.eabc.org/EABC%20Update/update/update020204.htm
「a」がついているところ見ると「Positive Agenda」は団体名ではなく何かの一般的な運動の呼び名かも知れませんが、ご存知の方がいらっしゃればご教授ください。
ともかく、アスナールはアスナールで、欧米の間で自国の『売り込み』に必死でなのでしょうが、結局スゲなく扱われているようです。彼としては、アメリカでおこなった「提案」の「自由経済地域」なるものをスペインに作ることを意図しているのでしょうが、そううまくいくかどうか。
欧州委員会が言うように、以前から欧米間で貿易障壁を取り除いていくための動きが進行していて、それを知っているアスナールはスペインを何とかその中心部に持っていこうとしているようです。スペインとしては中南米利権が絡みますから、その中でちょっとでもよいポジションを獲得しておきたいのでしょう。もしこのような重大な「提案」が、すでに既定の方針として進行しているものではなく、単にスペインの首相程度の男の脳みそだけからひねり出されたものならば、アメリカもヨーロッパも決して許さないでしょう。
やはり欧米はしっかり結び付けられているように思います。イラク戦争をめぐっての「欧米対立」など、要するに茶番でしかないのでしょう。アスナールが言うように2015年になるのかどうかは分かりませんが、別に彼が言わなくても、すでに欧米間では「大西洋同盟」が日程表にちゃんと上げられているような気がします。皆さんはどのようにお考えでしょうか。