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【ロンドン=林理佳】「パルテノン彫刻をアテネに返そう」――。ロンドンの大英博物館所蔵のギリシャ彫刻の返還を求めるキャンペーンが始まり、大論争に発展している。アテネで今夏オリンピックが開催されるのにちなんだキャンペーンで、学術関係者だけでなく、英国の国会議員や有名人も巻き込んでいる。対する博物館側は「彫刻は合法的に買い取ったもので、手放すいわれはない」と強固な姿勢を崩していない。
問題の彫刻はアテネのパルテノン神殿にあったもので、18世紀末にイスタンブールの英国大使だったエルギン卿が、当時ギリシャ一帯を統治していたオスマントルコの当局者からの許しを得て英国に持ち出したという。大英博物館は1816年に合法的に同彫刻を買い取ったとされる。
当時、パルテノン神殿は廃虚となっており、紀元前5世紀の原形をとどめた彫刻は全体の半分だけ残存している。大英博物館はそのうちの一部を所蔵しており、残りの大部分はアテネにあるほか、欧州の10の博物館に散らばっている。
今回、アテネに新しくアクロポリス博物館ができるのを機に、各方面の返還支持者が集まって「マーブルズ・リユナイテッド」という団体を結成。クリントン前米大統領やプーチン・ロシア大統領も支援者として名を連ねる。完全返還でなく、長期貸し出しという形を要求しており、「一連の彫刻がオリジナルの場所に統合されてこそ意味がある」と力を込める。
背後にあるのはオリンピック問題。ロンドンは2012年のオリンピック開催地に名乗りを上げている。返還を支持する国会議員などには「彫刻を返して今年のアテネ・オリンピックの成功に一役買うことで、ロンドンへの票を集めたい」という思惑がある。
一方、大英博物館やその支持者は「この彫刻がロンドンにあることで、ギリシャ彫刻がエジプト、アッシリア、ペルシャの影響を受けていることを、年間460万人にものぼる来館者が鑑賞することができる」と有利性を主張する。
もっとも、「一度こういった返還を認めると、各国から続々と同様の要求がきて、略奪品でいっぱいの大英博物館が空っぽになってしまう」というのが本心かもしれない。現状では論争は平行線で、まだまだ収拾しそうにない。
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/column/20040129e3m2900729.html