現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ33 > 199.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(2004/1/11)
新聞の経営基盤は想像以上にもろい
業界底辺からジャーナリズムを問う
新聞販売の問題について発言を続けてきたサワダオサム・黒藪哲哉の両氏による「新聞社の欺瞞商法」(リム出版新社)が公刊された。新聞の発行本社による押し紙と新聞販売店の折込広告の関係について鋭い分析を加えている。
新聞販売の問題は、古くて新しい問題である。販売拡張に伴う豪華な景品、無代紙(1年間の購読を契約すると3ヶ月分を無料とすることなど)、配達されない新聞である押し紙、新聞に折り込まれない折込広告等昔から問題とされてきた。
資料編に収録されているのが、1980年の国会質問と言うのではいささか古いと言うのが気になるが、実態は、現在でも変わらないと言うのであれば、一読の価値はある。
京都に住む会社員の中城さんは近所にある新聞販売店のバイクの発着する音など早朝の騒音に悩まされていた。注意をして見ていると、早朝、新聞販売店から大量の梱包された紙の束がトラックに積み込まれていく。ある日、中城さんはそれが折込広告であることに気づいた。新聞販売店に持ち込まれた折込広告が、新聞に折り込まれないまま古紙業者によって回収されていく現実に気が付いたのである。これが実態である。
折込広告は、広告主から新聞販売店に持ち込まれる。代金は、一枚につき、幾らと単価が決められ、枚数は、その販売店に発行本社から納品される新聞の部数によって決まる。しかしながら、実際は納品された新聞が全部配達されるとは限らない。10%、20%の新聞が配達されないまま、古紙回収業者によって回収されていくのである。これが「押し紙」である。「押し紙」分の折込広告も広告主に請求されているのであり、これは明らかな詐欺行為である。これが新聞販売の業界では公然の秘密とされているのである。
本書は、これらの実態を告発している。20年以上前から「押し紙裁判」を始め新聞販売の問題に関与してきた私としては,相も変わらず繰り返される実態はいささかうんざりの気分である。新聞に記事を書いている記者はこれらの事実をどこまで知っているのであろうか。ジーナリストとしては、新聞販売の実態も是非知って置くべきとして本書を推薦する。ジャーナリストの勇気が求められている。
(弁護士 森 卓爾)
(発行:リム出版社 定価:1600円+税)
http://www.jcj.gr.jp/bookrevi.html#20040111