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米スパイ名漏えい、司法長官が捜査指揮を辞退
【ワシントン=永田和男】米ホワイトハウス高官が中央情報局(CIA)秘密工作員である女性の名前を違法に漏えいしたとの疑惑を捜査している司法省は30日、アシュクロフト司法長官が今後の捜査指揮から降りることを決めたと発表した。
同省は一方、シカゴ連邦地検検事正のパトリック・フィッツジェラルド氏を特別検察官に任命すると発表、漏えい事件の捜査は事実上、全面的に同検事正にゆだねられることになった。
30日記者会見したコミー司法副長官は、アシュクロフト長官が捜査の指揮から降りた詳しい理由は明らかにしなかった。だが、同長官はこれまで、民主党などの求めにも一貫して指揮権を手放すことを拒んできたことから、同長官のよく知る高位の人物が捜査対象に浮上してきたためとの見方も出ている。
ホワイトハウスのダフィ副報道官は30日、ブッシュ大統領が「この問題の徹底追及を望んでいる」と述べ、司法省が取った措置に歓迎の意を示した。
フィッツジェラルド検事正は最近もライアン前イリノイ州知事の汚職を摘発した敏腕検察官。司法省によると、同検事正は今後、漏えい事件の捜査方針に関しては司法長官を含めだれとも協議する義務を負わず、事実上の最高指揮権を握ることになる。
民主党は、司法省から完全に独立した捜査官の設置を求めてきており、急先ぽうだったチャールズ・シューマー上院議員も30日、「我々の要求にほぼ近い形になった」と、フィッツジェラルド氏による捜査に期待する考えを示した。
◆CIA工作員名漏えい問題=2003年7月、米紙の保守系コラムニストが、「政府高官の話」として、「元駐ガボン大使の妻はCIA工作員」と記事で暴露したのが発端。しかも、元大使がイラクの大量破壊兵器開発に疑問を呈する論陣を張っていた人物だったため問題が複雑化。ホワイトハウス高官が意趣返しに身分を明かしたとの疑惑がささやかれ、カール・ローブ大統領上級顧問やルイス・リビー副大統領補佐官らの関与も取りざたされている。
(2004/1/1/00:37 読売新聞 無断転載禁止