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『亜空間通信』715号(2003/12/28)
【奥大使惨殺事件は国連外交と米日軍事同盟の狭間に翻弄された若き血気の敗戦国日本外交官の悲劇】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
来春、1月30日、前レバノン大使の天木直人を講師にを迎えるワールド・フォーラム例会、特別講演に向けて、本通信の表題に掲げた100頁ほどの緊急出版を準備中の私は、その目玉にするに相応しい情報、記事を探索し、発掘していた。
私は、すでに何度か論じているが、奥大使は、敗戦国日本の外交官として、「国連重視」の立場を堅持しつつ、占領行政であり、軍政に他ならない「連合軍暫定当局」(CPA)に、小泉首相自らの呆れかえる「決断」で、違法を承知で送り込まれ、15億ドルの無償援助の使途決定の責任を負わされ、それを強引に奪い獲ろうとした「国連軽視」、いや、むしろ、今や「国連敵視」の米英イスラエル「暗殺集団」によって、惨殺されたと考えている。
その私の考えに、驚くほど、ぴったりの「回想記事」が、以下なのである。これ以上の論評は、今は、あえて加えない。
---------- 引用ここから ----------
http://www.mainichi.co.jp/eye/hassinbako/art/031202M165_0202101E10DF.html
[発信箱]奥参事官の遺志=与良正男
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イラクで殺害された奥克彦さんが外務省国連政策課長だったころ、何度か話をしたことがある。
クールなタイプが多い外務省の中で、奥さんは、なぜ国連改革と日本の常任理事国入りが国益にかなうのか熱っぽく説き、時に交渉の裏話も明かしてくれるような人だった。仕事に自信と誇りを持っていた。
外務省ホームページに掲載した彼の「イラク便り」を昨日読んだ。
テロの犠牲になった知人の国連職員の名刺を拾った彼は、その名刺が「『何をためらっているんだ』と語りかけてくる」と自らを鼓舞し、「犠牲になった尊い命から汲(く)み取るべきは、テロとの闘いに屈しないという強い決意では」と書いた。
涙がこみ上げてきた。
だが一方で、「ためらうな」の言葉が、「彼の遺志だ」という形で、自衛隊早期派遣の理由づけに体よく利用されないか、とも私は危惧(きぐ)する。
今回明白になったのは「非戦闘地域に自衛隊を派遣するのだから安全」という政府の説明が事実上破たんしたことだ。むしろ、小泉純一郎首相がすべきことは、「危険は承知」と正直に語ることだろう。そして「それでも自衛隊を派遣することが国益にかない、イラク国民も歓迎する」ときちんと説明ができるかどうか。できなければ計画を練り直すほかない。
奥さんは「テロは世界のどこでも起こりうるものです。テロリストの放逐は我々全員の課題なのです」とも書いている。
私たち国民は今、感情的な論議に陥るのを努めて抑えようとしている。首相もまず、国民と現実を共有する努力を。でないと、「次」には到底進めない。(政治部)
(毎日新聞2003年12月2日東京朝刊から)
以上。
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