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【ワシントン=菱沼隆雄】来年11月の大統領選で再選を目指すブッシュ米大統領の支持率が上昇に転じ、大統領選での優勢を伝える声がでてきた。
背景にはイラク元大統領のサダム・フセインが拘束される一方、民主党の最有力候補が反戦姿勢を強く打ち出すリベラル派のディーン・バーモント州前知事という事情などがある。ただ、イラクの治安状況が大きな課題であることに変わりはなく、来年6月末までに予定されているイラク人への主権移譲という難題も待ち受けており、再選への流れが定まったとはまだ言えない。
23日に発表されたワシントン・ポスト紙とABCテレビの共同世論調査によると、ブッシュ大統領の支持率は59%に上昇し、米兵などへの襲撃が激化しはじめた8月以降では最高の数字を記録した。また、ギャラップ社が18日に公表した調査でも支持率は63%に達した。同社によると、フランクリン・ルーズベルト大統領以降、大統領選の前年末に行われた世論調査で、支持率が50%を超えながら再選を果たせなかったのはカーター大統領だけ。このため、「ブッシュ大統領再選の可能性は60%」(外交評議会のウォルター・ラッセル・ミード氏)とするなど、情勢はブッシュ有利に傾いているとの見方も強まっている。
来年の大統領選の焦点はイラクを中心とする安全保障問題と経済。今回、ブッシュ大統領の支持率を押し上げたのがフセイン拘束であることは間違いなく、ワシントン・ポストとABCの共同世論調査ではイラク政策への支持率も60%と、11月中旬の48%から大きく上昇した。
一方、この共同世論調査によると、民主党の候補では、ディーン氏が31%の支持を集め、10月中旬の15%からほぼ倍増。他の8候補は1けたの支持率にとどまっており、26日付のニューヨーク・タイムズ紙はブッシュ陣営もディーン氏に狙いを定めたと報じた。
しかし、ディーン氏の問題点は、ブッシュ大統領に勝てる候補であるか民主党内で疑問視されていることだ。実際、共同世論調査でも、現時点で大統領選が行われた場合、ブッシュ大統領に投票すると答えた人は55%で、ディーン氏の37%を大きく引き離している。
ただ、現状ではフセイン拘束が治安の安定につながっておらず、イラクでは依然として深刻な状況が続いている。また、イラク人への主権移譲は来年のイラク情勢の焦点だが、順調に進むと予想する向きは少なく、「夏になっても治安が混乱し、駐留米軍の削減計画に狂いが生じれば、厭戦(えんせん)気分が広がり、大統領選にも影響がでる」(外交筋)との指摘もある。
◆ブレア首相も「外交成果」アピール◆
【ロンドン=土生修一】世論や与党内から反発を受けながら、米国とともにイラク戦争を戦ったブレア英政権にとっても、フセイン拘束と、それに続いたリビアの大量破壊兵器放棄声明という朗報は「ブレア外交の成果」をアピールする好機となっている。
特にリビアの場合は、ブレア首相が大きな役割を果たした。リビア政府も、放棄声明で「英首相は、継続的に手紙や特使を通じて協力を要請してきた」とブレア氏の貢献に言及している。それだけに、英メディアは、保守系、リベラル系を問わず「英外交の大きな得点」と評価している。
しかし、「イラクとリビア」との関連については、意見が割れている。
首相周辺は「イラクへの武力行使がリビアの姿勢を変えた。首相の大勝利だ」(フーン国防相)と強調する。これに対し、与党・労働党内の反ブレア派は「大量破壊兵器を持たないイラクには戦争を仕掛け、持っているリビアには外交交渉で臨むのは、おかしな話だ」(クック元外相)と反発、イラク戦争の正当性については今後も問題視していく構えを崩していない。
(2003/12/27/22:21 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20031227id23.htm