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理解できぬイラク派遣
H15/12/25
さまざまなメディアが取り上げている話題であろうから書くことを逡巡(しゅんじゅん)したが、今年最後のこのコラムでやはり書かずにはいられない。自衛隊のイラク派遣についてである。
米軍占領に対するイラク人の抵抗は内発的なものであり、フセイン元大統領が拘束されたからといって沈静化することは決してない。さらにその報道はすべて米政府からのもので、拘束された人物が本物か、拘束時の状況の真偽など、イラク侵略において最初からいくつもの嘘(うそ)をついてきた米政府の報告を私はすべて信じる気にはとてもなれない。
いずれにしても、侵略者であり占領者であるアメリカを自衛隊が支援すれば、必然的に日本はイラク人や他のアラブ人の敵となる。またこれは世界に対して日本人の道義(の欠如)を示すことにもなるだろう。
なぜ復興の支援か
第一に、アメリカがイラク攻撃を開始した理由は大量破壊兵器であって、フセインを捕らえることではなかったはずである。またフセインが圧制者だったとしても、その悪事を支援していたのはアメリカだった。イラン・イラク戦争では情報やクラスター爆弾などの兵器を提供してきた。レーガン政権はイラクが化学兵器を開発しイランに対して使用するのを黙認し続けてきた。
イラクで殺害された二人の外交官の葬儀で小泉首相は「お二人ともご家族の誇りであると同時に日本国、日本国民の誇りでもあります…これからも日本政府はあなたがたの遺志を受け継ぎ、国際社会と協力してイラクの復興に取り組んで参ります」と述べた。
なぜ復興に取り組まねばならないか。それはイラクが一九九一年の湾岸戦争、その後十年以上にわたる米英の経済封鎖で痛めつけられた上に、今回の爆撃で完全に破壊されたからである。自分が支援して行われた破壊行為を、国民の税金と生命を使って破壊者とともに復興することが日本の使命なのだという。
私はお二人の外交官は小泉首相の政策の犠牲者であり、自衛隊も小泉首相がブッシュ大統領にした約束を果たすためだけに送られると思っている。イラクを“武装解除”するために爆撃を開始し、巡航ミサイルや劣化ウラン弾といった大量破壊兵器でイラク国民の生命を奪ったアメリカに、日本はどこまでも追従するつもりなのだ。
5千5百億円拠出
ブッシュ大統領の来日時、小泉首相はイラク復興支援として三年で五千五百億円を国庫から拠出することを明言した。イギリスの拠出金が百億円、EU連合でも二百六十億円である。その一方で自民党は消費税率引き上げを本格検討すると発表、また財政縮小のために生活保護費を千六百八十一億円、児童扶養手当二百八十四億円その他合計で二千四百五十五億円の国庫負担を削減するという。
政府の政策をみると日本の目標は何なのだろうと考えさせられる。何を目指して国づくりをしていくかは国民にとってきわめて重要だ。なぜならどのような社会を目指すかで国がとるべき政策は変わってくる。今の日本は、最大多数の国民の幸福ではなく一部の人の利益のために施策がなされていることが鮮明に分かる。
政府の使命は可能な限り金もうけができるようにすることで、政治家が語るのは国民の幸福ではなく経済が中心だ。フセイン元大統領が拘束された翌日、私が聞いていたラジオのニュースはフセイン拘束によってニューヨークダウ平均が大きく上昇したことを報じていた。
金持ちが悪く貧乏が良いというのではない。しかし愛する家族のためにすべきことができないほどつらいことはない。だからこそ国の目標は多くの億万長者を出すことではなく、貧困にある人を一人でも多く救い上げることでなければならないと私は思う。生活保護費を削減しながらイラク復興に五千五百億円を出すことになぜ日本の国民が黙っているのか、私には理解できない。
すべてがアメリカ
日本の現状に不満なのは私だけではないようだ。先日フランスの新聞リベラシオンにノーベル文学賞を受けた大江健三郎氏の論文が掲載された。『私は怒っている』と題したそれを私は英語で読んだ。大江氏の怒りに私は同感である。私が日本に来た頃、日本にはヨーロッパの影響を強く受けた知識人が数多くいた。今の日本はアメリカしか見ていない。優秀な官僚はすべてアメリカへ留学し、宗主国の価値観を学び日本に戻ってそれを普及させる。日本がいくら人道支援といっても真っ先にアメリカ支援を打ち出した日本がイラク人にとっては占領軍と同じだということが、なぜ小泉首相には分からないのだろうか。
小泉首相は憲法前文を読み上げて自衛隊派遣を正当化した。憲法を引用するなら、「武力による威嚇または武力の行使は永久に放棄する」という第九条を引用して米軍支援は違憲とし、日本独自の貢献施策を打ち出して欲しかった。しかし残念ながら、彼の耳にはアメリカや財界の声しか聞こえず、大江氏や私のような声は決して届くことはないようだ。(アシスト代表取締役)
http://www.nnn.co.jp/essay/tisin/tisin0312.html#25