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ＣＩＡｖｓフセイン…自白剤拷問か司法取引か --- 大量破壊兵器発見で攻防
しゃべろうか、しゃべるまいか…「考える人」。大量破壊兵器や過去の悪行でいっぱいになったフセインの頭の中を、ＣＩＡはどう覗くのか
【バグダッド２４日＝夕刊フジ特電】部下に命じた粛清ビデオで揺さぶり、心理ファイルまで使って尋問するＣＩＡ（米中央情報局）。イラクのフセイン元大統領（６６）は拘束当初、自己保身で部下の潜伏先も売ったが、大量破壊兵器追及の核心部分にはダンマリ。米側もイラク戦争の大義名分を立証するため、発見に躍起となる。拷問や自白剤の注射も辞さないというＣＩＡｖｓ司法取引で免責を狙うフセインのバトルは、熾烈を極める。
【貝になった独裁者】
フセインは１４日に北部ティクリート近郊の穴蔵で拘束された際、側近らの潜伏先を何の抵抗もなく米側に伝えた。
身柄収容先とされるバグダッド国際空港の拘置施設でも、ブレマー文民行政官らに「まるで救いを求めるような視線を送っていた」（サンチェス司令官）という。
ブッシュ米大統領の『極刑宣告』で、事態は一変した。「新たな情報を口にしていない」（米政府高官）という。
【ＣＩＡが尋問】
フセインが貝になったのは、ブッシュ大統領のＴＶ発言がきっかけ。
「やつは拷問者であり、殺人者だ。レイプ用の部屋も持っていた。最低の暴君であり、最も重い処罰に値する」（ブッシュ大統領）
ラムズフェルド米国防長官も「尋問はＣＩＡのテネット長官に任せた。尋問のプロだから」と発言。取り調べ方法が緊迫感を帯びてきた。
【最強の諜報機関】
ＣＩＡは世界最強の諜報機関である。膨大な尋問用ファイルと心理分析、ハイテク器材などを駆使して供述を引き出す。
当地の国防専門家は「尋問はポリグラフ（ウソ発見）を使い、慎重に進められているはず」との見方を明かす。
フセインの反応を観察しながら、供述の真偽を判断したり、質問の内容を替えたり、供述も誘導できるのだという。
【死刑確実】
多くの政敵粛清や、サリンなどによる１９８０年代のクルド人虐殺、クウェート侵攻…。
どんな罪で訴追されても、法改正で「死刑」が復活すれば、フセインはイラク国内での特別法廷で死刑が確実である。
【大量破壊兵器】
米英両国は、生物・化学兵器など大量破壊兵器の製造、隠匿を訴追材料にしたいのが本音。それがイラク戦争の「大義名分」であるからだ。
イラクは開戦前、大量破壊兵器の約９割を処分したが、残り約１割については処分したとの証拠を提示していない。
【時間との勝負】
フセインから隠し場所の供述が得られない場合、「国際世論の批判にさらされる」（国際ジャーナリスト）ため、時間との戦いになる。
「来年の大統領選でブッシュ再選も危うくなる。狡猾（こうかつ）なフセインを相手に、いつまでも悠長な尋問を続けるわけにはいかない」（米共和党関係者）
【拷問との報道も】
ＣＩＡの秘密尋問センターでは、国際テロ組織「アル・カイーダ」などのメンバーが協力を拒むと、フードやゴーグルをかぶらされ、何時間も立ちっぱなし。強烈なライトと大音響のノイズで睡眠を奪い、不自然な姿勢を強要するという。
「拘禁状態のなか、苦しくて全面自供に追い込まれたようだ」（西側のジャーナリスト）
【今後は？】
ＣＩＡは９０年の湾岸戦争前から、フセインの経歴や趣向、思考・心理分析を続けている。
ラムズフェルド長官の指摘する「取り敢えずの期間」が経過し、米国がフセインを「戦争捕虜」として扱わなくなった場合に、状況が一変するのは確実である。
【最後の手段は？】
現在、旧フセイン政権が政敵らに行った粛清や拷問ビデオをフセイン本人に見せ、精神的な揺さぶりもかけている。
「状況次第では、自白剤のチオペンタールナトリウムや麻酔薬・ラボナールを使用する可能性が高い」と指摘する専門家も少なくない。
いずれにせよ、フセインが大量破壊兵器の隠匿場所の口を割らない限り、ＣＩＡはあらゆる手段に訴え、追い詰めていくことになりそうだ。
ZAKZAK 2003/12/24
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。