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ハリディヤの状況は一種の神経戦[イラク攻撃に関する全国会議員公開アンケート実行委員会]
http://www.asyura2.com/0311/war45/msg/140.html
投稿者 なるほど 日時 2003 年 12 月 21 日 17:41:22:dfhdU2/i2Qkk2

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2003年 12月21日 日曜日   □□□□ □■  

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 ☆★ 神経戦  ある部族長と米軍の対峙
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サダム後 After Saddam 
ザ・エイジ 12月20日 (英字報道から概要)
http://www.theage.com.au/articles/2003/12/19/1071337159588.html
   サダムの捕獲は、イラクにおけるゲリラ型消耗戦からアメリカ
を救出することはない−−Paul McGeough記者

 ハリディヤの状況は、一種の神経戦である。

 深さ3メートルの穴が自動車爆弾の爆発した痕跡を残している。バ
グダッドの西方にあるこの小さな街を横切るハイウェイの下に、部族
長ファナル・アル・ハルビの家がある。アメリカ軍は彼を容赦ない攻撃
を止めることも手助けすることもできる人物だと疑っている。

 先週の土曜日夜、サダム・フセイン逮捕のニュース速報が流れる
数時間前に、爆弾が破裂した。その夜、両陣営はそれぞれの計画を
秘密裏に遂行した。すなわち、アメリカ側はサダムが屈辱的な健康
チェックを受ける屈辱的なビデオを世界に流し、反米勢力は車を偽装
した。これもまた世界に報道されたが、ハリディヤ警察署を攻撃し、
23人のイラク人警察を殺すのに十分な破壊力だった。
 
 薄い壁で守られただけの警察署が標的にされたのは、反米分子が
アメリカ占領軍へのイラク警察の協力を非難しているためである。

 少なくとも最初は、それは期待された効果をあげた。警察官の怒り
は爆破した者にではなく、アメリカ軍に向かった。生き残った警察官
は、アメリカが十分に警察署を守らなかったと不満の声をあげた。彼
らはアメリカ軍の急襲作戦部隊に参加するのを渋っていたために解
雇の脅しにあっており、また地元住民たちは彼らをアメリカ軍の召使
いとして、つねづね蔑視していた。

 警察幹部のハリド・ハメドは、ニューヨークで勤務する警察官に比べ
ると死の危険は120倍以上だと強く感じており、「われわれのために
アメリカ軍がなしうる最良のことは、撤退することだ」と指摘する。

 二階建ての建物が名前だけの警察署である。ハリディヤ警察には
100人以上が配置されているが、制服を着用できるのはわずかに半
数だけで、武器は少数の者しか持たない。2台のパトカーは他の四つ
の警察署と共有して使っており、電話は1台しかない。

 他のゲリラ戦同様、イラクも消耗戦という局面に入った。アメリカ軍
は今では公然と、イスラエルが西岸地区やガザ回廊で実行する戦術
を採用し、ベトナム戦争での怪しげな戦術の一部を復活させている。
アメリカ軍への攻撃件数は減ったが治安状況は危機に満ちている。

 このことはアメリカがイラクを社会的・経済的混乱から脱出させるこ
とを不可能にし、混乱は日に日に多くのイラク人にサダム時代のイラ
クの秩序を求めさせる。この状態が長く続けば続くほど、アメリカ政府
にとっての危険が増大する。それは普通のイラク人を、反米分子を恐
れる状況から反米勢力に共鳴する状況へと変化させるのだ。

 それゆえに、神経質になったアメリカ軍は、部族長のファナルに関
心を示す。ラマディとファルージャのあいだに位置するスンニ派イスラ
ム教徒の居住地で部族長をしている一人として、ファナルが口にする
以上のことを知っていることは、ほとんど疑いない。アメリカ軍は彼を
いわば「起訴するにたる情報」と呼べるような潜在的な情報の保持者
と推定しているが、彼を拘束するのに十分な根拠を持っていない。
ユーフラテス川の堤防の上にある彼の住居には、過去2、3週間のう
ちに7回もアメリカ軍の戦車がやって来て、アメリカ兵が彼の家を捜
索してまわった。

 この部族長はイラクの富者の一人として評判が良く、かつてはさわ
やかな民族衣装を着て、旧政権のもっとも地位の高い人々と懇談し
たものである。1990年代初期に事業をめぐって不和になる前は、サ
ダムもしばしば彼の食卓の客人となった。われわれAGEの記者が
訪問したとき、彼はやつれていて、当惑した羊飼いのように、ハリディ
ヤを通るハイウェイの方を向いて腰を下ろしていた。

 「最初の数ヶ月、アメリカ軍との関係は友好的なものだったが、しか
し今では、彼らは私を怒らせようとしている」と彼は言った。彼はユー
フラテスの河床が黒く焼かれているのを指さし、橋の近くにあるアメリ
カ軍の観察所から彼を監視できるようにするためだと語った。

 「私はレジスタンスに参加してない。しかし、彼らこそがまさしく自国
を守ろうとしているのだ。これは解放ではなく占領である。サダムの
三度の戦争によって、国民はひじょうに疲弊している。アメリカ軍が私
を攻撃し続けると、今は問題を起こすなと言いきかせているが、やが
て私の部族が反発しやしないかと気がかりになっている。」

 サダムが逃亡しているとき、ファナルにとっての一つの厄介ごとは、
イラクの部族社会とそれがレジスタンスにどのように連携しているか
について、アメリカ軍がを示した新しい見解である。アメリカ軍諜報部
隊はサダムを信奉しているとみなした部族の9000人以上を追跡し、
4つの姓をもつ氏族を調べ上げて1200人以上を拘束した。
 
 証拠から連想されることは、地方ごとに大きな自治的組織が存在
し、多様な計画を持つ三つの競合するレジスタンス組織の間には若
干の摩擦もあるようだ。バース党の信奉者のなかには、サダム逮捕
の結末によって熱意の冷める者がいるかもしれない。しかし、イラク
の石油というアメリカが盗もうとしている巨大な天然資源を守る必要
を感じ、民族主義的な意識によって動機づけられた地方単位の数十
の地下組織も存在している。

 これらの諸グループに助言し訓練しているのは、サダム時代に十
分に訓練を積んだ軍隊経験者と粘り強い諜報機関員である。一部に
は作戦ごとに雇われた犯罪者もいるだろう。それからアメリカがアル
カイダ兵士と決めつける外国人戦士もいる。

 騒ぎが収まったサマッラでは、17日(水曜日)、地元住民ヒクマット・
アザウィが報道陣に話をした。「なんの証拠もないのに、アメリカ兵は
カギを壊し、ドアを破って入ってきては、家の中を捜索してまわる。そ
れはまるで、イスラエル兵のパレスチナ人への振る舞いそっくりだ」。

 ここ数週間のうちに、アメリカ軍はイラクの統治方法についてイスラ
エルに助言を求めたことを認めた。現在、いくつかのイラクの村落が
有刺鉄線で包囲され、アメリカ軍の発行した身分証を持つ者だけが
出入りを許されている。反米分子と疑われた者は親戚まで拘束され、
いくつかのケースでは、彼らの家も財産も破壊されているのだ。

 サダムの逮捕前に、イラク駐留米軍の最高司令官サンチェス中将
は、11月に81人の犠牲者がアメリカ軍に出たあと、いっそう強硬な
戦術に訴えたことに満足している、と述べた。

 アメリカ軍は、イラク軍と諜報機関の良好な分子を利用することなく
解体したことで幅広い非難を受けた。現在、アメリカ軍はサダム時代
の秘密警察ムハバラトの退職者に助けを求めている。また、新設す
るイラク軍に元イラク軍人から徴募しようとしている。

 ところが、訓練を受けていた新イラク軍の最初の大隊は、現役勤務
を始める数日前になって、三分の一が任務放棄するという意外な事
態となって、アメリカ軍は重大な機能障害をこうむった。

 警察官は街の運転手などから権威を認めてもらえず、形式主義的
な屈辱にあまんじている。幹部たちは賄賂を拒む運転手に偽の告発
をすると脅して非難されている。そしてガソリンを買う長い列への怒り
をなだめるために警察署に配置された警官は、しばしば、もっとも高
い値をつけた者に優先的に売りつけている。

 サダム逮捕はバグダッドのアメリカ人指導部にとっては明らかに朗
報だった。しかしそれは秘密部隊タスク・フォース121の存在にも衆
目を引きつけることになった。これは米国防総省の諜報機関とCIA、
そして逮捕専門部隊からなる混成部隊だ。アメリカに報告された情報
は、このタスクフォースがイラク戦争を裏でエスカレートさせた一員だ
としている。

 『ニューヨーカー』誌に「人狩りの先制攻撃」としてシーモア・ハーシュ
が書いた内容によると、この戦術はベトナム戦争時のフェニックス作
戦の記憶が呼び覚まされたという。当時、特殊部隊がベトナム人スパ
イと共同して、ベトコンへの同調者や協力者だと疑われた者を殺した
り逮捕したりした。5年間で消されたベトナム人は2万人ないし4万人
だと見積もられた。その作戦を指揮し後にCIAで働いたウィリアム・
E・コルビーは、戦後になって、「実行すべきでなかった多くのことが実
行された」と議会に証言した。

 電気、ガソリン、料理用のガスが適切かつ手頃な価格で供給される
のを長く待たされるという見通しに、現地では、怒りが沸騰する寸前
になっている。ブッシュが強調したように、アメリカが方針を変えないと
いうならば、イラク政府選出までのタイムテーブルでは、イラク人がイ
ラクを統治すると宣言できるまでに数年を必要とする。どちらが遅れ
ることがあっても、それはゲリラ戦に適した環境づくりとなる。

 部族長ファナルのところに戻ると、彼はこう言った。「私はアメリカ軍
にこの近所から立ち去るように言い渡した。もし私がムジャヒディン=
イスラム戦士の指導者だというなら、彼らはここから去ることはないだ
ろう。そして、彼らがこのようなことを続けていたら、さらに多くのアメリ
カ兵が死ぬことになるだろう」と。

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