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【サマワ(イラク南部)福島良典】イラク南部の地方都市サマワでは、9日に派遣が閣議決定される自衛隊部隊を歓迎するムードが広がっている。アジアの技術大国・日本の豊かなイメージが大きく膨らんでいるためだ。自衛隊派遣が日本企業の進出を招き、雇用創出など生活改善につながるとの過剰な期待があり、現実の動きとはギャップも生じている。サマワ周辺の治安維持にあたるオランダ軍はテロリスト潜入を警戒し、サウジアラビア国境警戒のための増派を決定した。
「日本の部隊はいつ来るのか」。雑貨商が軒を連ねるサマワの商店街。日本人と分かると質問攻めに遭う。「日本の世論は派兵反対が多いというが、なぜなのか」といぶかる声も。アラビア語と日本語で書かれた「自衛隊歓迎」の横断幕が掲げられている。
南部ムサンナ県の県都であるサマワの人口は推定約60万人。イスラム教シーア派がその大半を占める。「旧フセイン政権はバグダッドなどに開発の重点を置き、南部はないがしろにされてきた」。市評議会のモフセン・アル・ダファイ議長(56)が説明する。上下水道整備から病院・学校の改修、工場移転、かんがい施設整備まで日本への要望は際限ない。
「日本は第二次大戦で占領の苦しみを知っている。イラクは中東の日本になりたい」とファリス・アジュミ副知事(45)は語る。かつて日本企業の働きぶりを目にし、感銘を受けたという。
期待の背景には推定約50%の高失業率がある。イラク軍解体で若者が失職し、戦後、難民が帰還したことが主な原因だ。サマワのオランダ軍事務所には8日、「市役所で清掃員募集」のテレビ告知を見た住民数十人が詰めかけた。「採用は来年から」との説明に元兵士のナジャ・ラヒムさん(20)は「来年まで待てない。日本の部隊か企業に雇ってもらいたい」と本音をのぞかせた。
ムサンナ県警本部のファデル・サバハ副本部長(46)は「ここでは連合軍への攻撃はあり得ない」と、「平和の町」を強調する。街で出会った自警団員のハイダル・アベドさん(35)は「日本人はおれたちが守る」と左胸に隠し持つ短銃を取り出して見せた。
しかし、「平和の町」といえども、外部からのテロリストの潜入を完全に防ぐ手だてはない。同県警は今秋、住民からの通報に基づき、エジプト人とサウジアラビア人各1人を逮捕した。サウジ人はパイプライン爆破を計画、爆弾を入手しようとしていた疑いが持たれているという。
サマワに駐留しているオランダ軍部隊のルーリ・バン・ベックホーベン広報担当将校(48)によると、対サウジ国境の偵察強化のため特殊部隊70人の増派を決めた。イラク地方自治体の再建支援にあたる英国人担当者は「サマワ住民は友好的だが、問題は外部勢力だ。100%の防御はない」と警告する。
[毎日新聞12月9日] ( 2003-12-09-13:25 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20031209k0000e030062001c.html