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どう裁くフセイン元大統領、紛糾は必至
【ワシントン=永田和男】米軍が拘束したフセイン元大統領(66)をどう裁くかの問題で、イラク統治評議会メンバーのムワッファク・ラビアイ氏は15日、AP通信に対し、「裁判は数週間で始まる」とし、有罪の場合は処刑されるとの見通しを語った。
同氏は、統治評議会が設置した「特別法廷」で元大統領を裁くとしたが、フセイン裁判の形態は、個人の罪を問うだけでなく、イラク政治や国際政治を左右する重大問題であるだけに、紛糾は必至だ。
■何の罪で■
米政府やイラク統治評議会は、〈1〉5万―10万人の反体制クルド人殺害の指示〈2〉3万―6万人のシーア派系住民の殺害の指示〈3〉イラン・イラク戦争での化学兵器使用〈4〉クウェート侵攻の指揮――など、各種の戦争犯罪が詳細に立証可能とし、「人道に対する罪」と「大量虐殺の罪」で訴追できると見ている。
■イラク国内法■
米政府はフセイン裁判について、公式な態度表明を控えてはいるが、イラク人による「法廷」で裁くのが最も適切だというのが、イラク戦争前からの立場だ。
米政府の「フセイン裁判」研究は、イラク戦争を控えた昨年秋の段階で始まっており、今夏には米連邦裁判所の判事経験者をイラクに派遣した。こうした米国の研究をふまえて、イラク統治評議会は先週、バース党が実権を握った1968年から、今年5月までの期間の犯罪を審理する「特別法廷」の設置を発表した。「特別法廷」が米政府の後押しを受けていることはほぼ間違いない。
だが「特別法廷」の問題点は、フセイン元大統領の戦争犯罪がイラク国内法だけでは到底裁ききれないことだ。
さらに現在の統治評議会が旧フセイン体制に反対していた人々で構成されることから、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は14日、「復しゅうの裁きととられないように、国際的な司法関係者を裁判に参加させるべきだ」と警告した。
また、主権移譲も来年6月まで達成されないイラクで、「特別法廷」を具体的に発足させるには今後、1年間は必要だという見方もある。外国人を含む判事をどう任命し、法体系を整備するのか、道筋は不透明だ。
■国際法廷■
戦争犯罪人を裁く法廷としては、国連安保理決議に基づき設置された国際刑事裁判所がある。また、昨年7月には、戦争犯罪を裁く世界初の常設裁判所「国際刑事裁判所」の設立条約が発効した。だが米政府は国際裁判所には一貫して懐疑的だ。最大の理由は、国際裁判所では、欧州諸国を中心に根強い反対がある死刑が適用されないことだ。また、常設裁判所に関しては、条約発効以前の犯罪を審理できないという問題もある。
■米国内は困難■
米軍は現在、フセイン元大統領の身柄を確保している。米国は1990年に中米パナマの元最高指導者、ノリエガ将軍を逮捕、連行して米国内で裁いたことがあるが、元大統領の罪状の広がりを考慮すると、米国で裁く可能性は薄い。
15日付ワシントン・ポスト紙によると、米政府はこの問題で一両日中に、統治評議会と具体的な協議に入る。また、同紙によると、特別法廷設置に当たっては米政府が「外国人判事を認めるのが有益だと指摘した」と語って、渋るイラク人側に外国人参加をのませたという。(読売新聞)
[12月16日0時0分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031215-00000114-yom-int