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「独仏横暴」EU内に反発
財政赤字抑制 3年連続守らず
【ベルリン=宮明敬】戦後の欧州統合の機関車役を果たしてきたドイツ、フランス両国が、積み上げてきた統合の成果を破壊するような行為にでている。共通通貨のユーロの信用を守るための「安定・成長協定」のT骨抜きUだ。両国は、欧州連合{EU)二十五カ国体制に備えた新憲法の策定でも、他の加盟国の異議申し立てを認めない姿勢を続けているだけに、「大国の横暴」との批判や独仏不信がEU圏で高まるのは間違いない。
「安定協定」は、ユーロ圏十二カ国の各国の財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑えるというもの。景気回復策を優先する独仏両国は、2004年まで三年連続でこの協定に違反するのが確実になったため、EUは今月二十四、二十五日の財務相理事会で、両国に対する制裁手続きについて協議した。
EUの執行機関に相当する欧州委員会は制裁発動を控える条件として、ドイツに2004年度予算の六十億ユーロ(7700億円)削減を課すなど、両国にさらなる緊縮財政を求めたが、アイヘル独財務相は「景気回復の芽を摘んでしまう」と拒否。財政健全化に努めてきたオランダ、フィンランド、オーストリアなどは、「身勝手だ」とこれに反発したが、結局、独仏二大大国の結束とイタリアなどのドイツ支持で、両国は当面、制裁も大幅な予算削減も免れることになった。
その結末に、ソルベス欧州委員(スペイン出身、経済流通貨担当)は、「欧州にとっての敗北」と憤り、欧州中央銀行は「深く憂慮する」と、異例の声明を出した。
「安定協定」は1996年12月のEU首脳会議で、ドイツが強力な自国通貨マルクを放棄する代償として、他の加盟国の反対を抑えて強引に合意させた経緯がある。それだけに、ドイツの保守系野党や有力紙も今回の自国政府の対応を激しき非難した。
「国内の諸政策をEU基準に合わせなければならない将来の加盟国は、我が国の姿勢を手本にするだろう。いったん加盟してしまえば、押しつけには力で、抵抗すればいいんだと」。フランクフルター・アルゲマイネ紙はそう指摘し、拡大EUの無秩序を招きかねないと警告した。
「緊縮策はとれない」(アイヘル独財務相).。ドイツでは今も、石炭産業に多大な補助金がつぎ込まれ、失業を常態化させるような手厚い失業手当が支給されている。シュレーダー中道左派政権はこうした無駄を削り、競争原理が働く社会に変える構造改革を目指しているが、労働団体の反発と、野党の抵抗で、実質的改革は進んでいない。
2003/11/28 読売新聞朝刊