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たった今BBC2で「Kennedy 40(ケネディ暗殺から40年)」を見たところであるが、番組内容のあまりのズサンさ、というよりは背後に潜む意図的かつ悪質なプロパガンダに慄然とした。陰謀など存在せずオズワルドの犯行だと言っているのである。CGを使ってそれらしく例の教科書倉庫ビルからの弾丸がケネディの背中から首に抜け、さらにコナリー知事の背中に当たったことだけを強調し、だからオズワルドの犯行に間違いないと言っているのだが、致命傷になった頭部への銃弾にはほとんど何も言及していない。これも後方からの銃弾だったとすると、何故ケネディの脳髄と頭蓋骨の一部が後ろのボンネットに飛散したのか、これが真実ならニュートンの法則を覆すような大発見であるが、この点は説明なし。こんな子供だましのペテンを放送するところまでBBCが堕落したことには、唖然というよりは戦慄を覚えた。おおかたあのチンパン=パパがケネディ暗殺の仕掛け人だったという風説、(というよりほとんど事実と思われるが)を一掃しようとしたネオコンのプロパガンダであろう。
こんな番組を放送するのは視聴者の9割以上は、当時地方検事だったJim Garrisonが書いた本(“On the Trail of the Assassin”、ケビン・コスナー主演「JFK」の原作)も読んだことはなく、関心もないとみてナメているのであろう。まさにヒトラー・ゲッベルスのドグマ「大衆はウソでも百回繰り返せば真実だと思うようになる」「大衆は女と同じで、大嘘であればあるほど信用する」を地で行くものだ。テロ・ネオコン絡みの大手メディア報道は基本的に全てプロパガンダだという前提で見ることが必須となってしまった。もっともこの分野に関しては阿修羅を見ていれば新聞を(インターネットで)見る必要は最早ないのだが。
それにしても「ファシズムの時代はおしなべて文化水準が低下する(戦争屋語録:誰か言ったっけ?)」と思うのだが、それは真実を追求することが許されなくなって、権力に都合のいいような文化活動だけが奨励されることから、文化の担い手たるさまざまなメディアの制作者において精神的退廃を招き、これがすべてに波及するからである。この論理が正しければこれからの文化状況は、昭和初期のようなエログロナンセンスにたどり着くであろう(すでにたどり着いてるか?)
いずれにせよ今のハリウッドでは「JFK」のような映画を制作することは最早不可能であろう。
(ハッキリ言ってケビン・コスナーは大根役者だが、脚本はしっかりしていた)