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再放送分だが、今日未明(午前0時50分から2時過ぎまで)NHK衛星1で放送された「世界潮流2003:メディアはどこに向かうのか − イラク戦争とジャーナリズム −」のなかで、遺体映像や捕虜映像の放送をめぐってのやり取りがあった。
該当番組は、司会進行役をNHKアメリカ総局長藤沢秀敏氏がつとめ、英国BBCのシンプソン氏やアルジャジーラのシューリー氏と議論を進めるかたちで、別途、藤沢氏と米国ABCのコッペル氏のやり取りやコッペル氏の見解が録画映像で流れるというものだった。
いくつかのテーマが扱われるなかで、アルジャジーラがイラク戦争で米軍兵士の遺体や捕虜になった米軍兵士の映像を放送した問題が取り上げられていた。
放送したアルジャジーラとそれに激しく抗議した米国政府や英国政府のどちらに正当性があるのかという視点での論議である。
“大人同士で同業者同士”のやり取りなので激しいものではなかったが、NHK、BBC、ABCが揃って、遺体や捕虜の映像を流したアルジャジーラを非難する推移であった。
BBCのシンプソン氏は、「英国の文化として、戦争で負傷したり戦死した人たちの映像を見せることはよくないことだと強く考えられている」(趣旨)として、遺体映像の放送を好ましくないとした。
ABCのコッペル氏も、人権論やジュネーブ条約を持ち出して遺体や捕虜状況の映像を放送する非を唱えた。
NHKの藤沢氏は、「遺体映像や捕虜映像を流すことは基本的人権の侵害ではないか」とシューリー氏に問いかけ、「遺体を見せることで紛争の拡大につながってしまうのでは?」(趣旨)との見解も示した。
シェーリー氏は、「アラブでは現実は現実して受け入れるから遺体の映像を放送することを悪いとは考えていない」、「捕虜の映像も、辱めを受けている場面ではないからジュネーブ条約にも反しない」と放送の正当性を説明し、「しかし、遺体映像を放送したのは、アルジャジーラやアラブ系TV局だけではなく、米国も、ウダイ、クサイの二人の遺体を撮影させるためにメディアを招きいれ、遺体の写真を公開させたではないか」(趣旨)と反論していた。
★ NHKは、戦場取材を通じて撮影した兵士の遺体の映像であっても放送することを人権侵害と考え、放送に抗議した米英政府の立場を支持していると判断できる。
それなのに、NHKは、日本人外交官の遺体映像が公開された事実を問題視したり、しかるべき対応策を主張していない。
今回の「外交官殺害事件」では、米軍(CPA)支配下にあるイラクの病院に安置されている遺体が撮影され、英国系のロイターなどを通じて公開された。
外務省は、「日本人外交官遺体映像」を配信したロイターなどに抗議したようであるが、遺体安置室にメディアを入れて撮影を認めたと思われるCPA及び米国政府には抗議を行っていない。
アルジャジーラは戦闘現場に残されていた遺体を撮影して放送したのであるが、日本人外交官の遺体は、事件の犠牲者として米軍によって収容された後に何者かによって撮影され公開されたのである。
映像を公開したメディアもさることながら、二人の遺体が安置されている場所にメディアの入室を許可するのみならず、映像撮影を許可した米軍(CPA)の責任が問われなければならないはずである。
(民間メディアが撮影した映像ではなく、CPAが撮影した映像というのなら、それが流出して公開された責任が問われることになる)
米国政府は、戦場に横たわっている自国兵士の遺体が撮影され放送されることを人権侵害だと考え抗議するほど人権を尊重している。
(お茶を飲みながら尋問を受けている捕虜の映像が放送されたときにも声高に非難したほどである。それ以前に、イラク人捕虜の映像が米国系メディアで流されていたにもかかわらず)
そうであれば、外交官の遺体映像公開に重大な責任を有する米軍(CPA)=ブッシュ政権に正式に抗議を申し入れることはなんら“失礼”ではない。
正式な抗議を行わなければ、逆に、米軍(CPA)がとった対応を認めてしまうことになるだろう。