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(回答先: 公明党―派遣へ背中を押すのか(朝日新聞・社説) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 12 月 05 日 21:09:46)
http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200312/05-1.html
小泉純一郎首相は自衛隊のイラク派遣を目指している。そのイラクで米英占領当局(CPA)による統治はイラク国民にどう受け止められているのか。
イラクの現状について、先月バグダッドを訪問したアーミテージ米国務副長官は「戦争状態に近い」と表現した。イラク駐留米軍のサンチェス司令官は「戦闘地域」と「非戦闘地域」の明確な区別は困難であるとの認識を示した。
米中央情報局(CIA)がホワイトハウスに提出した機密報告書は、米メディアによると、「イラク国民は占領軍に失望感を強めており、一般の住民が占領軍に対するゲリラ攻撃を支援している」という内容を含んでいるという。
英オックスフォード大学などが10月半ばから1カ月かけて行ったイラク国民の意識調査では、78.8%が「米英占領軍を信用しない」という結果が出た。一方で「この1年で最も良かったこと」の問いには「フセイン政権崩壊」という回答がトップだった。
フセイン政権が倒れたことは評価しつつも、それに代わって統治者となった米英占領軍への不信感を強めているというイラク国民。それは、占領体制に加担する人々への攻撃が急増していることと無関係ではないはずだ。
イラクでは旧フセイン政権の残存勢力だけでなく、占領統治が始まってからイラクに流入した国際テロ組織などさまざまな武装グループが活動している。占領軍への攻撃は実行者だけでできるわけではない。占領体制に不信を抱く人々の物理的、心情的な支援があることは容易に想像される。
今、イラクで急がれることは、イラク人自らが新生イラクを作るのだ、という国家再建の自覚を促す環境を整えることだ。7月にCPAが選んだイラク人の統治評議会が発足した。CPAも統治評議会も安保理決議で認知されてはいるが、イラク国民の心をつかんでいるとは言いがたい。統治評議会は米英軍の占領体制への奉仕者と映っているのではないか。
このことは自衛隊を派遣しようとしている小泉首相も十分に考慮すべきである。現状は、自衛隊派遣がイラク国民から占領体制への加担とみなされてはならない。
ブッシュ米政権は先月半ば、占領政策を転換した。新憲法制定、総選挙までは主権を手放さないという従来の主張を引っ込めて、来年6月末までに発足させる暫定政権に主権を移譲するというものだ。しかし、イラクで多数を占めるシーア派は暫定政権作りでのCPAの関与に反発するなど占領体制不信がここでも現れている。
主権移譲プロセスでは占領軍でなく、国連が主導的役割を発揮すべきだ。8月に占領体制の一翼として爆弾攻撃され、要員を引き揚げたが、国連が再び戻ってこられるための日本を含めた国際的な努力が求められる。軍事力だけでイラク国民の心はつかめない。国連が主役になることで、占領軍に不信を強める一般国民を反米攻撃を繰り返す武装勢力から引き離す余地も生まれるのではないか。
(毎日新聞 12-05-00:29)