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外交官殺害はやはりテロ、米側に二重スパイ? --- バース党“残党”の諜報員が待ち伏せ?
【ティクリート(イラク北部)4日=夕刊フジ特電】イラクで奥克彦参事官(45)ら外交官2人が凶弾に倒れた事件で、元大統領のフセイン(65)を支えたバース党の残党による反米テロとの見方が広がる。首都陥落と同時に、不気味な諜報(ちょうほう)組織は健在で、最強のゲリラ民兵組織「サダム・フェダイーン」と地下に潜り、「東京テロ」を予告する『狂気のテロリスト』ラディンと連携する。二重スパイも網羅し、今回は米軍情報が漏れた可能性が高い。アメーバ状に増殖する集団は「第2の悲劇」を生み出す危険性が高い。
【バース党】
「バース党を壊滅させなかったのが原因ともいえる」。大泉光一・日大国際関係学部教授(国際危機管理)は、米軍の作戦不備を指摘する。
奥参事官と井ノ上正盛書記官(30)は先月30日、米軍の計らいで復興会議に向かう際、情報漏れで北部ティクリート近郊のシモムで待ち伏せされ、バース党残党の標的になった可能性が高い。
バース党は、クーデターや要人暗殺と諜報、アクティブメジャーズ(積極工作)の裏作業を一手に担う鋼(はがね)のような組織である。
かつて政権から追われたこともあるが、フセインへの忠誠と強固な組織で首都のバグダッド陥落までイラク国民に恐怖政治を強いた。党員300万人にも上る諜報網は他の追随を許さない。
米英駐留軍や政府代表、報道機関は数千人規模で補助職員や通訳を雇っている。バース党の諜報員は特に語学力にたけていたため、相当数が入り込んでいるという。
【二重スパイも】
バグダッドで同29日、スペインの情報機関員ら7人が殺害された事件では、「スペインが雇ったスパイが二重スパイで、襲撃側に情報を流していた」との見方がスペイン国内で浮上する。
大泉教授は情報網を背景に、「(事前に)かなりの米軍と協力国の情報を持っていた可能性が高い」と分析する。
中東問題に詳しい高橋和夫・放送大助教授も「連合軍暫定当局(CPA)サイドの情報が漏れている可能性は否定できない」と解説する。
【単純な手口】
自動小銃などを武器にした銃撃による接近戦は、親フセイン派が頻繁に使う手口である。
イラク統治評議会の女性メンバーが自宅前で暗殺された事件では、イラク軍のスナイパー(狙撃手)が雇われている。
バグダッドを起点に、フセインの生地ティクリート、北西部のファルージャなどを結ぶ「スンニ・トライアングル(スンニ派三角地帯)」。
米軍への悪感情が強い三角地帯を拠点とするスンニ派は、フセイン復活ではなく、外国勢力の進出に反対するが、手榴(しゅりゅう)弾や戦車攻撃も仕掛ける。
「プラスチック爆弾のC4やTNT火薬など、大量かつ強力な軍用爆薬を使い、大規模な自爆テロを行うラディン傘下のアル・カイーダなどの国際テロ組織とは戦術が違う」(大泉教授)
ロケット弾も含め、銃撃戦に特化しつつあるテロの手口からも、奥参事官らの殺害はバース党の残党ら親フセイン派の犯行との見方が強い。
【テロ司令官は逃亡中】
地下に潜ったバース党の残党を率いているとみられるのが、旧フセイン政権の最高意思決定機関「革命指導評議会」(RCC)副議長のイザト・イブラヒムだ。
フセインの側近中の側近。米軍による指名手配者リストの6番目。
逃避行で余裕がないフセインと違い、米軍幹部は「イブラヒムが米兵殺害指令を出している多くの情報を得ている」と関与を断定する。
米軍は、イブラヒムの拘束や殺害につながる情報提供者に1000万ドル(約11億円)の懸賞金を出すと発表している。懸賞金はフセインと、暗殺されたウダイ、クサイ兄弟に次いで4人目。
アル・カイーダとの関係も指摘されるイラクのイスラム原理主義過激派「アンサール・イスラム」のメンバーも、イブラヒムのテロ関与を供述しているとされる。
【アメーバ】
このほかにもイラク国内には30−40のテロ集団が、アメーバのように集合離散を続けている。
クサイが指揮官だった特別共和国防衛軍、ウダイ率いる「サダム・フェダイーン」(サダムの戦士)などが出身母体の「イラクの抵抗と解放、イラク解放愛国戦線」。
旧政権の治安委員からなり、政権復活が目的の「ムハンマド軍」▽旧政権のバース党関係者や治安部隊が組織する「アウダ(回帰)党」▽旧イラク軍の共和国防衛隊幹部などがメンバーの「イラク解放国民戦線」…。
バグダッド陥落の際、西側が精鋭部隊とみていたメディナ機甲師団やバグダッド歩兵師団などの共和国防衛隊があえなく米英軍に敗れたり、投降したりした。その多くは逃げたとされる。
現在では「勢力温存が目的だったのではないか」(米軍関係筋)と指摘する見方が強い。
【役割分担】
イラク国内のテロ組織と国際テロ組織との連携も一層綿密となっている。
バース党出身のテロ組織や治安部隊員が国内で米軍や国連関係者、NGO(非政府組織)を狙い、アル・カイーダなどの国外組織がバース党からの資金をバックに国際的な大規模をテロを引き起こすといった構図だ。
【第2の悲劇も】
日本政府は奥参事官ら殺害という前代未聞のテロに激しく揺れ、「身近な恐怖」として受け入れざるを得なかった。
電力や水道支援の技術者や医師、看護師ら文民の年内派遣を断念するほか、自衛隊の本格的な年内派遣も事実上、困難になっている。
フセイン側はバグダッド陥落を「2度目の政権放逐期間」(中東筋)として復活に躍起。資金、意思、マンパワーとも衰える気配はない。
ラディンが予告した「東京の心臓部」テロも含め、今後も無差別テロは続発するとみられる。日本は再び、「テロの危機」にさらされている。
ZAKZAK 2003/12/04