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12月4日付・読売社説(1)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20031203ig90.htm
[在外米軍再編]「アジアでは抑止力堅持が前提だ」
ブッシュ米大統領が、世界規模で進める在外米軍の再編について、米議会や同盟国との協議を本格化する、と表明した。
米同時テロ事件後の、新しい形の脅威に対応して、配備態勢を見直す、というのが、その理由だ。
在外米軍の再編は、同盟国の安全保障に重大な影響を及ぼす。米国は同盟国と十分かつ慎重に協議を進め、安全保障の維持、強化につなげるべきだ。
冷戦終結後の世界で、米国は、欧州に十万人、アジアに十万人の米軍を配備して、地域の安定と国際的な安全保障秩序を維持してきた。
米軍の再編方針は、そうした前方展開態勢の変更を意味する。迅速な展開を可能にするよう、基地や兵力配置が世界的規模で改編される。「数」ではなく「能力」に焦点があてられる。在外米軍の縮小につながる可能性もある。
アジアでの再編は、アジアの安保環境が欧州とは異なる、という現実を踏まえる必要がある。
冷戦期に、西欧は、北大西洋条約機構(NATO)という集団安全保障の枠組みで安定を維持してきた。冷戦後、ソ連という潜在的脅威は消えた。米軍縮小や基地移転は容易だ。七万規模の在独米軍は、ポーランドなど東欧諸国の基地への移転や、兵力削減も検討されている。
一方、アジアには集団安保の枠組みは存在しない。冷戦後も、朝鮮半島や台湾海峡、インドとパキスタンなど、紛争の火種が残っている。アジアでは米軍の抑止力堅持が不可欠だ。
日本にとって深刻な脅威は、核やミサイルの開発を続ける北朝鮮だ。北朝鮮はソウルを「火の海」にする、という威嚇的態勢を緩めていない。
北東アジアの安全保障の観点から、日本が注視すべきは、在韓米軍、在日米軍の再編の行方だ。
在韓米軍の再編をめぐっては、前線の米軍部隊を、段階的に後方移転することで、米韓は合意した。兵器新鋭化などで抑止力は保持するとしている。
半島情勢の今後の推移を見ながら、慎重に進めるべきだ。
在日米軍は、地域全体の安保を担う役割を果たしている。基地の大半が置かれた沖縄の過剰な負担軽減への配慮が必要だが、再編で地域全体の抑止力が低下することがあってはならない。
ラムズフェルド米国防長官は、「四―六年」をかけて再編を実現する、としている。日本は、再編協議にあたって、同盟国として、地域の安保環境の変化を見据えながら、日本の安全保障構想を構築していく必要がある。
(2003/12/4/01:13 読売新聞 無断転載禁止)