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(回答先: イラク襲撃：電網公開なき日経朝刊記事には「米軍と警察の食い違い」「空白の5時間」 投稿者 木村愛二 日時 2003 年 12 月 02 日 08:44:52)
2003/12/02 日本経済新聞
http://www.nikkei.co.jp/
邦人外交官殺害、情報錯綜、政府いらだち、襲撃実態なお不明
イラクでの日本人外交官殺害事件は一日になっても襲撃に関する情報が錯綜
（さくそう）、政府の真相解明作業が手間取っている。米軍を主体とする連合国
暫定当局（ＣＰＡ）と現地警察の情報に食い違う点が多くみられるためで、外務
省は現地警察から情報を集め直すとともに米軍に正確な情報提供を求めている。
「そういうことは私には分からない。詳細は外務省の方で聞いてください」。
福田康夫官房長官は一日夕の記者会見で、殺害事件の事実関係に関して矢継ぎ早
に飛ぶ質問に「分からない」「外務省に聞いてほしい」を連発。その一時間後に
記者会見した竹内行夫外務次官は「事実関係はまだ不明なところが多くある。一
つの結論を導く状況ではない」と苦しげな表情で語った。
困 惑
情報収集に手間取る要因として、米軍情報の不正確さを指摘する声が多い。外
務省は当初、米軍情報として「日本人二人が死亡、運転手は意識不明の重傷」と
発表したが、現地の警察から「井ノ上正盛三等書記官と運転手は即死、奥克彦参
事官は病院で亡くなった」との情報が伝わると軌道修正。運転手の国籍も当初の
レバノンから後にイラクに修正された。
「正直言って当初、米軍筋から伝えられた内容と現地警備会社の努力によって
現地警察筋から聴取した内容にかなり食い違いがある」。一日、記者会見した逢
沢一郎外務副大臣は情報の混乱に困惑を隠さず「現地での正確な襲撃の状況がど
うであったか、米国に情報の正確な提供を要請している」と米軍への不満を漏ら
した。
特に食い違いがあるのが襲撃の状況だ。現地警察は「走行中に並走してきた車
から車体左側面に銃撃を受け、その衝撃で路肩に突っ込んだ」との見方を強めて
いる。米軍の報道担当者は「水や食料を買うため、食料品店に立ち寄ったところ
を銃撃された」と説明。全く異なる情報を前に外務省は事実関係を断定できない
ままでいる。
事件発生時刻に関しても謎が多い。米軍情報では、現地時間の二十九日午後五
時ごろに事件発生の通報が住民からあり、外務省も発生時刻は「午後五時以前」
としている。ただ目的地のティクリートまでは二時間余りの距離だ。奥参事官ら
は午前十時にバグダッドを出発しており、そこには「空白の五時間」が存在す
る。
「時間軸をどう整理するかも非常に大きな問題だ」。逢沢副大臣は記者会見で
こう述べ、「空白の五時間」の解明が真相究明のカギを握るとの認識を示した。
一日の自民党外交関係合同部会では堂道秀明中東アフリカ局長が「警察情報では
事件は午前十一時三十分に起こったとの情報もある」との見方を示すなど、情報
の確認を急いでいる。
事実関係がはっきりしなければ「テロか物取りか」といった事件の背後関係な
どの踏み込んだ分析は難しい。同日朝の外務省緊急対策本部会議でも犯人像や背
後関係などについては結論が出ないままに終わり、川口順子外相は夜のＮＨＫ番
組で「それぞれ矛盾するような報告があり、どちらが本当なのか」といら立ちを
見せた。
打 撃
「奥参事官がいれば、こんな混乱にならなかったのではないか」。迷走する真
相解明に、外務省内では現地で米軍などとの連絡調整を一手に引き受けていた奥
参事官を失った影響を指摘する声も漏れる。
与党からも外務省の情報収集能力を問う声が上がっており、自衛隊派遣が喫緊
の問題となっている中、現地とのパイプを早急につくり直すという課題が外務省
に重くのしかかってきている。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。