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Brzezinski: America Lacks International Credibility
ズビグニューブレジンスキー
カーター政権
国家安全保障問題担当
大統領補佐官 「ブッシュ政権の最近の政策路線、政策の実行の仕方、政策を説明する際に使用されるボキャブラリー、テロという特定の問題にばかりこだわる姿勢は、アメリカが本来世界で果たすべき役割を大きく損なってしまっている」。カーター政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官、ズビグニュー・ブレジンスキーは、アメリカは国際社会での信頼を失い、孤立していると現状を批判し、現政権はこれまでの路線を改める必要があると語った。「われわれに同意しないのは、われわれに反対しているのと同じだ」という前提で行動するのをワシントンは止め、穏健な外交を心がけ、知的な政策決定を可能とする信頼できる情報収集の枠組みを確立すべきだと指摘した。
現在、ワシントンの戦略国際問題研究所の顧問を務め、新著「ザ・チョイス」を近く出版予定の同氏へのインタビューの一部(2003年11月17日)。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)
あなたは最近の演説で、「アメリカのパワーは歴史的にみても最高の極みに達しているものの、世界におけるアメリカの政治的立場は地に落ちている」と語っている。こうした矛盾はどうして起きたのか。
アフガニスタン、イラクでの勝利を経て、世界規模での軍事展開能力を持つ唯一の国がアメリカであることが実証された。軍事力を信頼できる形でグローバルに展開できる国は他にはない。しかし、世論調査、諸外国政府の反応、アメリカ人ジャーナリストの外国からの報道など、いかなる指標をもてしても、今日のアメリカは国際的な信頼を失っている。世界におけるアメリカの政治的な立場はこれまでになく低下している。イラクが大量破壊兵器(WMD)を保有していると詳細に説明し、(これまでのところWMDが発見されていないために)、世界の他の諸国がアメリカに寄せていた信頼が失われてしまった。これはアメリカの世界での役割を大きく損なう深刻な事態である。
アメリカは孤立している、ひとり浮いてしまっているともあなたは語っている。この問題に取り組むために、あなたならブッシュ政権にどう助言するか。
こうした不幸な状況を是正していくための措置は数多くある。大枠で、穏健さと超党派合意を旨とする外交政策へと立ち返ることが先決だ。現在のアメリカの外交政策は共和党内の極端な見解、つまりは、キリスト教原理主義といわゆるネオコンの戦略観に支配されている。
これに加えて、外国政府との協議を深める必要がある。「われわれに同意しないのは、われわれに反対しているのと同じだ」という前提でものを考え、行動するのをやめなければならない。これは、コンセンサスを作る可能性を排除する自己破滅的なアプローチだ。第三に、情報機関の質を高める必要がある。最悪のケースのシナリオを基盤とする決定ではなく、知的な政策決定を可能とする信頼できる情報を提供できるようにすべきだ。これが実現すれば、友好的な諸国をはじめとする他の諸国も、再びわれわれの判断と分析を信頼して、彼らの政策の基盤にするようになるだろう。
なぜ、アメリカの情報機関はうまく機能しなくなったのか。
私は情報機関の官僚・組織構造についての専門家ではないが、思いつくことを述べる。現在われわれが直面している脅威の性格がかつての脅威とは様変わりしていることが大きな理由だろう。かつては情報活動の対象が明確だった。相手は、全体主義の政権で、その脅威とは科学技術の進歩に基づく軍事力の拡大だった。
ソビエトのミサイルの脅威などのことか。
そうだ。こうした脅威の性格ゆえに、米中央情報局(CIA)も、ソビエトの脅威の性格と規模をうまく分析できるようになった。だが、今日われわれが直面しているのは、より多面的で曖昧な脅威であり、人的諜報の重要性がこれまでになく高まっている。われわれは、人的諜報のネットワークも、それに必要な文化もうまく築いてこなかった。情報分析がうまくいかなかった第二の理由としては、そこに政治的圧力が存在したことを指摘できるだろう。イラクの脅威の性格と規模について政策決定者はかなり危機感に満ちた見方をしていたし、この二年間にわたって、こうした見方を裏付けるような情報を求める政治的圧力があったのは間違いないと私は思う。
イラクについて、あなたはイラク人に直ちに主権を委譲すべきだと発言している。ブッシュ政権も、来年の六月までにイラク人による主権を回復させると最近表明した。状況が前進したと考えてよいか。
もちろん、前進とみなしてよいだろう。ただし、もっと早く主権をイラク人に委譲していれば、アメリカへの信頼も回復していただろうか。この面からいえば、すでにタイミングを失しているかもしれない。より早い段階でイラク人に主権を戻るように、私を含む、外部の専門家が現政権に提案したことがあるが、ブッシュ政権はこれを即座に拒絶した。
政府側が提案を拒絶した根拠は何だったのか。
アメリカの管理体制が弱まる、というのが政府側の言い分だった。
あなたは民主党支持者だが、超党派外交の必要性も長く主張している。特定の民主党大統領候補のキャンペーンに参加するつもりはあるか。
私は、国内政治をめぐっては常に民主党の立場を支持してきた。大統領次第で路線が変化する外交領域については、共和党の大統領候補を支持したこともある。つまり、一般的な立場としては超党派外交を支持しているが、特定の外交領域については、是々非々で判断している。共鳴できる見解を表明している民主党大統領候補もいるが、特定候補への私の立場を述べるのは控えたい。
私が最近世論の場で発言をしたのは、アメリカの世界における役割について純粋に心配しているからだ。現政権の最近の政策路線、政策の実行の仕方、政策を説明する際に使用されるボキャブラリー、テロという特定の問題にばかりこだわる姿勢は、アメリカが本来世界で果たすべき役割を大きく損なってしまっていると考えている。これは危険な兆候だ。・・・
*各月のCFR Interview, Report, Transcript, Q&Aの一部(全文)は、翌月号のフォーリン・アフェアーズ日本語版に掲載されます。全文を読みたい方は日本語版をご購読ください。
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