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【バグダッド小倉孝保、竹之内満】日本人外交官ら3人がイラク北部ティクリート付近で殺害された事件は、高度の射撃訓練を受けた狙撃手が一帯で外国人を標的とする攻撃を活発化させている現状を浮き彫りにした。襲撃グループとしてはフセイン元大統領の信奉者のほか、成功報酬目当ての「職業狙撃手」が暗躍しているとの見方も浮上している。
現場を管轄するチグリス警察署によると、今回の襲撃で犯人グループは自動小銃を使用。少なくとも計25発を発射。うち10発前後が車体を貫通し、3人に致命傷を負わせている。現場では事件当時、90年式の日本製セダンと98年式の米国製四輪駆動車が目撃されているが、犯人グループがどちらの車を使っていたかは絞り切れていないという。
これに対して、日本人外交官が乗っていた車は特別仕様の「ランド・クルーザー」。車重が増えすぎて走行速度が低下しない程度にガラスや車体を防弾仕様にするなど、防御力を強化した車で、紛争地の在外公館を中心に配備されている。
関係筋によると車体は、自動小銃による攻撃ではよほどの至近距離か、狭い範囲に絞って連射しないと貫通しない。しかも、車は時速150キロ以上での高速走行が可能だ。安全確保のため事件当時も高速走行中だったとすれば、犯人グループは猛スピードで追いつき、併走しながら狭い範囲に確実に弾を当てていることになる。高度な狙撃技術を持つプロ集団の犯行の可能性が強い。
また、日本人外交官殺害事件のほか、周辺地域で先月末、似た手口で韓国人会社員、コロンビア人が射殺されており、ティクリート一帯を中心に外国人を狙った狙撃手が活動を始めた可能性が高い。
外交筋などによると、高度の技術を身に付けた狙撃手としては▽フセイン政権の復活を期待する政治的思想を持った旧フセイン軍兵士▽外国人襲撃による成功報酬が目的の「職業狙撃手」――が考えられる。
ティクリートはフセイン元大統領の出身地で、旧政権時代は都市整備が進み、住民の多くが政府幹部に取り立てられるなど優遇されてきた。このため、他都市と違いフセイン政権復活を夢見る住民が多く、無報酬でも占領政策への敵対活動に身を投じる者も多い。旧政権下で軍の射撃訓練を受けた者もおり、こうした親フセイン兵が無差別狙撃を行っている可能性がある。
一方、旧軍の中流以上の幹部はバース党幹部であることを理由に旧フセイン政権崩壊後は、政府機関への復職を禁止されている。こうした中流幹部の中には、旧政権に対する忠誠心はないものの、家族を養うため成功報酬目当てに狙撃技術を使う者がいるという。報酬は旧フセイン政権の隠れ資金などが利用されている可能性がある。
[毎日新聞12月2日] ( 2003-12-02-18:41 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20031203k0000m030032000c.html