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【ワシントン佐藤千矢子】イラクで日本人外交官2人が殺害された事件は1日、米国でも大きな反響を呼んだ。背景には、旧フセイン政権の残存勢力などが、米軍が率いる「連合」に亀裂を生じさせようとしており、日本は動揺しているのではないかとの見方がある。ブッシュ政権は同日、日本政府が「テロに屈しない」「自衛隊派遣計画に変更はない」と表明したことを高く評価することで、日本が消極姿勢に転じないよう暗に圧力をかけるとともに、国際社会に結束を強調して見せたが、その裏では懸念も漏れた。
「アスナールは確かに率直に支持を表明していたが、コイズミと韓国はさらに躊躇(ちゅうちょ)して派兵を延期するのではないか」。1日、ミシガン州の遊説先に向かう大統領専用機内で、ホワイトハウスのマクレラン大統領報道官に、同行の米記者団からこんな質問が飛んだ。
スペインのアスナール首相のイラク復興への支持は、スペイン情報機関員7人が殺害されても揺がないかもしれないが、日韓両国は動揺し、イラクへの自衛隊派遣を延期するのではないか―質問はそんな米国内の懸念を反映したものだ。
マクレラン報道官は「彼ら(日韓両国)はイラクへの関与は変わらず維持すると表明している」と日韓両国のイラク関与政策は不変だと説明した。
一方、米FOXテレビは同日、毎日新聞の世論調査で自衛隊派遣への反対・慎重論が8割強に達したことを紹介しながら「日本は米国を見捨てるだろうか」との疑問を投げかけた。
日本の動揺がことさらに強調されるのは、11月12日にイラク南部ナシリヤでイタリア警察軍司令部が自爆テロに襲われた際、福田康夫官房長官が自衛隊派遣の先送りを示唆するような発言をしたことが大きく報道され、「テロリストに日本は脅せば効果的とのメッセージを与えてしまった」(日米政府筋)からだ。米ブッシュ政権はこれに不満を抱いている。
外交官2人の殺害事件を受けて、ブッシュ大統領が小泉純一郎首相に弔意を表す書簡を送ったのをはじめ、ブッシュ政権高官は1日までに日本政府に対してさまざまなルートで弔意を表明した。「自衛隊派遣計画への影響を心配しているのは間違いないが、さすがに米側の誰も、派遣は大丈夫かとは聞かなかった」(日米政府筋)というが、変わりに手厚い弔意の表明と、日本政府の方針は不変だと強調することで、日本にクギを刺したとも言える。
国務省高官や国防総省報道担当からは1日「(日本以上に)もっと多くの米国人が標的になっている」「米国人も同じ犠牲を払っており、そうした犠牲が最終的にテロとの戦いを通じてアジア・太平洋地域の安全にもつながる」との本音も漏れた。
またバグダッドを訪問していた民主党のヒラリー・クリントン、ジャック・リード両上院議員は1日、ワシントン市内で会見。リード氏は「反乱兵は、諸外国を米国支援から引き上げさせようとの戦略を立て、ソフト・ターゲットを襲撃している。各国指導者は最後まで頑張る決意を表明しているが、心配なのは日韓の世論が圧力をかけ、関与を制限したり、遅らせることだ」と日韓両国の世論の動向に懸念を表明した。ヒラリーさんは「国連の権限や国際的正当性がなければ、国際部隊を維持することはできなくなる」と述べて、国連の役割拡大が解決策につながるとの考えを示した。
[毎日新聞12月2日] ( 2003-12-02-13:24 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20031202k0000e030065000c.html