現在地 HOME > 掲示板 > 戦争42 > 992.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: 米国防長官、パール氏の疑惑解消=前国防政策委員長のネオコン実力者(時事通信) 投稿者 シジミ 日時 2003 年 11 月 17 日 20:13:13)
戦争で儲けるのはだれ?
高成田 享
タカナリタ・トオル
経済部記者、ワシントン特派員、アメリカ総局長などを経て、論説委員。
|バックナンバー| 穴吹史士のキャスターClick |
イラク戦争は、フセイン政権が事実上、崩壊したことで、フセイン後の体制をどうするかという点に焦点が移っている。ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ボブ・ハーバート氏は「戦利品」と題するコラムで、戦後復興に期待する米国ビジネス界の話を書いている。
このコラムで最初に取り上げられたのは、ジョージ・シュルツ元国務長官で、世界最大のゼネコンともいえるベクテル・グループに天下り、会長などを務め、現在も役員をしている人物。
彼が顧問をしている「イラク解放委員会」という民間組織はブッシュ政権と近いうえ、フセイン後のイラク復興にも深くかかわっているという。
次に名前の挙がったのが海兵隊出身で、ベクテルの副社長であるジャック・シ−ハン氏。彼は国防総省の「国防政策諮問委員会」の委員。この委員会は非公開になっているが、政府を監視するNGOによると、この30人のメンバーのうち、少なくとも9人は、多額の国防予算を受注している企業に関係しているという。
ブッシュ政権に大きな影響力を持つ新保守主義者(ネオコン)の1人ともいわれ、「暗黒の王子」の異名を持つリチャード・パール氏は、最近までこの委員会の委員長だった。彼が顧問を務める企業で、経営が破綻したグローバル・クロッシングに便宜を図ろうとしたという疑惑が浮上し、委員長を辞任したものの、依然として委員の職には就いているという。
さらに、この委員会には、元CIA長官で、パラディン・キャピタル・グループというベンチャーキャピタルの代表でもあるジェームズ・ウールジー氏も参画しているという。
コラムニストのハーバート氏は、諮問委員会の委員などを紹介したあとで、「イラク戦争は、アイゼンハワー大統領が離任演説で警告した『産軍複合体』の影響力が依然としてある明確な事例となった」と指摘した。
イラクの戦後復興は、1000億ドルともいわれる巨大プロジェクトだけに、こうしたうごめきが米業界のなかから出てくるのは当然ともいえる。しかし、「イラク解放」を掲げる組織の裏に、米国の巨大ビジネスがあり、それが政権と密着しているという構図は、この戦争の「本質」を垣間見たようで、空恐ろしい気分になってくる。
イラクに新しい政府ができるまでの「つなぎ」と位置づけられているイラク暫定統治機構で、米国がこの戦争に加わった米英などが主導権を持つことを主張しているのに対して、フランスやドイツ、ロシアなどが国連主導を求めている。
この争いは、新しい政府の正当性をめぐる論議でもあるのだろうが、暫定機構が復興ビジネスの発注者になることを考えれば、復興ビジネスの利権争いとも映る。
しかも、イラクの場合、戦後復興の焦点は石油である。サウジに次ぐ埋蔵量を持つイラクの油田を、だれが管理・運営するかによって、大きな利権が動く。ここでも、フランスやロシアと米英の思惑が衝突している。
イラク戦争の戦闘が比較的に短期間で終わりかけているなかで、「この戦争は正しかった」という論議が米英だけでなく、世界に起きている。しかし、戦争の勝利は、戦争を正当化するものではない。
この戦争によって、フセイン政権という国民を抑圧してきた政権は倒れたが、その間にイラク国民が払った犠牲は、あまりにも大きい。この戦争を評価するのは、米英ではなく、イラク国民だと思う。
米英が利権あさりのような態度で、戦後復興に乗り出すなら、イラク国民の怒りは、国民を窮地に追いやったフセイン政権よりも、米英に向かうだろう。
http://www.asahi.com/column/aic/Mon/d_drag/20030414.html