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http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20031114k0000m030106000c.html
【ナシリヤ(イラク南部)大木俊治】ガラス窓が砕け、爆発した車の破片が飛び散った。12日のイタリア軍警察本部を狙った自爆テロ事件の現場では、今も多くの人が興奮覚めやらぬ表情で事件の模様を語った。
イラク軍警察本部が駐留する建物は、元ナシリヤ商工会議所で、市内の高級住宅街の一角。イタリア軍は市内から離れたキャンプを基地とするが、これとは別の軍警察は市の中心部に本部を置いていた。現場は橋を渡りきった直後の交差点の一角にあり、正面は目抜き通りに面している。通行止めなどの措置は取られておらず、タンクローリーは、裏口からわずか約10メートルの地点に設けられたバリケードに近づくまでチェックポイントなどはなかった。
ナシリヤ警察署の警察官、ハリド・ナムルムさん(45)によると、イタリア軍警察はイラク警察と合同で、市内のパトロールやチェックポイントでの警備、犯罪者の追跡など治安維持活動にあたっていた。友好的でイラク警察や住民の間でも評判が良く「これまで何も問題が起きたことはない」という。
近くに住むユセフ・ハラフさん(30)も「戦争直後にやってきた米海兵隊は粗暴だったがイタリア人はとても友好的だった。事件の後、我々はみんなで駆けつけイタリア人をイラク人と同じように救助した」と話す。爆発で近くの住宅も壊され、通行中の市民も多く巻き添えになった。
同署のジャバル署長も「ナシリヤではこれまで治安は落ち着いており、事件は全く予期していなかった」と語る。犯人像については捜査中だが、タンクローリーを使った自爆テロはバグダッドの国連イラク事務所襲撃やサウジアラビア・リヤドの事件とも共通しているため、今回も国際テロ組織「アルカイダ」の関与を疑っているという。
「攻撃対象を南部に移す」との声明が流れたが、イタリア軍警察本部については「すでに十分な防護措置を取っている」と判断、特別な措置は取らなかったという。
一方、弁護士のスレマン・ハッサンさん(27)は、司法関係者から聞いた話として「テロリストが市内に潜入したとの情報が3日前にあった。以来、米・イタリア軍と警察は厳重警戒体制を敷き、テロリスト捜査を強化。目抜き通りにはイタリア兵が立つようになった。しかし米軍は事件直前の12日未明に警戒解除を関係者に通告した」とし、警戒の緩みが事件の背景にあると指摘する。しかし、ジャバル署長は「警戒解除」については全面否定している。
【ナシリヤ(イラク南部)大木俊治】イタリア軍警察本部を狙った自爆テロ事件で多数の死傷者が出たイラク南部ナシリヤは、事件から一夜明けた13日も強い衝撃と深い悲しみに包まれていた。旧政権崩壊から7カ月の間、平穏が続いたが、数日前にテロ予告の情報があり、警戒を強めていた直後だっただけに、多くの関係者がショックを受けている。
事件のあったイタリア軍警察本部の周囲は、事件直後から封鎖された。13日も、銃を構えたイタリア兵が装甲車の上から警戒し、上空をイタリア軍とみられるヘリが旋回するなど、張り詰めた空気が漂う。近くの住民や子供たちが集まるのを、警備のイラク警察官が何度も厳しい表情で追い払っていた。
ナシリヤ警察のジャセム・ジャバル署長(40)によると、5日前に「攻撃対象をイラク南部に移す」とのウサマ・ビンラディン氏によるとされる声明が報道で流れ、イタリア軍警察と協議して市内パトロールやチェックポイントでの検査態勢を強めたばかりだった。
同署や目撃者の証言によると、事件が起きたのは12日午前10時40分ごろ。イタリア軍警察の駐留本部前に通じる橋を渡って接近してきた大型タンクローリーが突然本部手前で左折し、裏手通用口に向け猛スピードで突っ込んだ。ナンバープレートはついていなかった。
タンクローリーには2人の男が乗っており、助手席にいた色黒で長いあごひげの男が窓から身を乗り出し、カラシニコフ銃のような銃を乱射し始め、イタリア軍警察も応酬した。この間、タンクローリーは通用口前を三重に囲んでいた鉄線や土のうのバリケードを突き崩しながら進み、最後のバリケード手前で爆発したという。7面につづく
[毎日新聞11月13日] ( 2003-11-13-21:23 )