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【転載】
神浦元彰（軍事アナリスト)の「Ｊ−ＲＣＯＭ」
〜激動する世界の最新軍事情報を発信〜
http://www.kamiura.com/new.html
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■タイトル
自衛隊のイラク派遣 砂塵、酷暑対策急ぐ 襲撃対応の訓練も
(読売 １１月７日 朝刊）
■要約
自衛隊の石川統幕議長は６日、砂塵の舞う現地の厳しい環境に
対応する為、砂塵防止ゴーグルをつけた視野が狭い状況での訓
練など、早期に行う必要性があると強調した。
また隊員が襲撃を受けた場合、武器使用基準に基いた行動を繰
り返し確認する訓練を急ぐ方針。
一方、C-130輸送機３機を派遣する航空自衛隊は、津曲空幕長
が１０月２０日から３日間、空自の連絡調整官を派遣するカタ
ールを訪れ、空自機運用の理解を同国軍幹部に求めた。
空自トップが受け入れ国の事前訪問は異例のこと。
■コメント
自衛隊の悪い習慣のひとつが基礎訓練を重視し、応用訓練に十
分な時間や経費を費やさないことである。
これは自衛隊独特の厳しい安全基準や、狭く限定された演習場(
訓練場）という問題もあるが、今まで実戦の経験がなかったせ
いでもある。
例えば市街戦を想定すると、ひとつの建物を使い、基本的なパ
ターンを繰り返し叩き込む。
だから実戦で同じような市街戦に対応できても、砂漠や迷路な
どの接近戦には対応できることにはならない。
ちょうど米軍が戦車や航空機を相手の戦闘には強いが、イラク
の市街戦やゲリラやテロに弱いのと同じである。
今から武器使用基準に合った基礎訓練を繰り返さなくていい。
それよりも３０例ぐらいの応用訓練を行い、あらゆる戦闘形態
に対応できるよう実践的な訓練を行うべきである。それもテロ
やゲリラを相手の戦闘である。
まず奇襲を受けることから戦闘が始まる。ゲリラの奇襲を防ぐ
には、その兆候を早く見抜き、先制的に攻撃することでゲリラ
の攻撃を封じることができる。
絶対に武器使用基準が自衛隊員を守ってくれない。武器使用基
準は政治家や防衛官僚の命を守るだけである。
ところで空自の幕僚長が中東に行ったということは、陸自の幕
僚長もイラクに行かないわけにはいかない。旭川の本隊がイラ
クに到着する前にも、陸幕長のイラクへの事前訪問はまず決定
したとみていい。
石破は逃げた。
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▼ぼくが言うまでもないが、
「石破は逃げた」
の一言に、神浦氏の万感がこもっている。
銃を握るのは、石破ではない。
▼「最終的に、誰が、その手に銃を握るのか――？」
この単純で強い問いが、徹底的に問われないニッポンの悲劇を
背負って、自衛隊員はイラクに行く。すべての言論は、この一
点をかきくらませるために吐かれているように思えることがあ
る。自衛隊論議の最大の盲点ではないか。
日本社会の防衛論議の拙劣さを覚知させてくれたがゆえに、ぼ
くは神浦氏の言論を最大限に評価する。
いったい誰が血を流すのか。あなたは、どこまでも「ただ乗り
」ですまそうとするか。
守ろうとする国民からは圧倒的な無関心と少数の反対の声を浴
びせられ、歓迎されざる国に――死者が出ることを覚悟せざる
をえない情況に――、丸腰で乗り込まざるをえない男たちがい
る。
この一事に、送り込む側が徹底的に鈍感であること。
――短絡的な問いを発しよう。イラクに派遣される自衛隊員た
ちを主人公にして、「プロジェクトＸ」がつくれるだろうか？
２００４年の彼らの振る舞いに、中島みゆきの歌は美しく響く
だろうか？ ――これが、戦後民主主義の怠惰のツケであり、
アメリカの戦後統治の勝利なのか。しかしそうであったとして
、自衛隊員にツケを払わせる道理は微塵もない。
そしてぼくは、「国を売っている」行為を自覚しつつ、しかも
なおアメリカに阿り続ける国賊の存在に、骨髄からの怒りを覚
える。
「才ある畜生」を前にして、人間の条件は決して才ではないこ
とをあらためて自覚するのだ。
前にも書いたかも知れないが、ぼくの友人が、自衛隊にいる。
結婚して、そんなに間がない。
だから、ぼくにとって自衛隊イラク派遣は他人事ではないのだ
。現状で、派遣される可能性はほとんどないが、それでも他人
事ではない。
――そう、【じゃあ所詮、私事にすぎない】と思った人がいる
かも知れないね。
でも、私事だから執着が残る。横目で通り過ぎられない。
「無慈悲な世論ごときに、かけがえのない――本当にかけがえ
のない友を殺されたくない」というぼくの意見は、感情的に過
ぎるか。
「小泉首相は、息子と一緒にイラクに行け」というぼくの意見
は、偏見に満ちているか。
「ここで義と議を尽くさなければ、日本の進路には論理も倫理
も絶え果てる」というぼくの考えは、書生論か。
ぼくは、ぼくの友の死体の上に、臭い足であぐらをかきたくな
い。それだけを考えて、しばしば思考が途絶える。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。