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イラク:「もう、警察官は嫌だ」テロで重傷の訓練生 (毎日新聞)
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20031108k0000m030134000c.html
「どうして僕らが狙われたのか分からない。とても悲しいよ」。10月27日にバグダッドで起きたテロ事件で、警察署で勤務中に重傷を負った訓練生、モハマド・ジャシムさん(21)は、入院中のベッドで、顔を覆う包帯の下からうめくようにつぶやいた。【バグダッド大木俊治】
ジャシムさんは当時、バグダッド北部にあるアルシャーブ警察署の大通りに面した2階窓際で執務中だった。警察署を狙った自爆テロ犯の車が大通りで爆発し、爆風で左顔面の皮膚をそがれ、左目を失った。応急手術で命は取り留めたものの、容態が安定して皮膚の移植手術が受けられるまで3カ月かかると医者に言われた。左目を失ったことは、まだ本人には知らされていない。
大通りの警察署側はかつて、テロを警戒してコンクリートブロックと鉄条網で封鎖されていた。しかし、事件の3日前に米軍がコンクリートブロックを撤去、鉄条網も日中は解除するよう命令し、警備の米軍もいなくなった。警察官たちは反対したが、米軍指揮官は「あまり警戒が厳しいと市民が怖がるから」と撤去を強行した。
治安回復のアピールを狙った米軍のこの方針は裏目に出た。午前8時半、夜間用の鉄条網バリケードを解除した直後、自爆テロの車が突っ込んできた。
ジャシムさんはまだ警察幹部養成学校の生徒で正規の警察官ではない。交通警察官だった父親に憧れ、2年前に警察学校に入学。だが旧政権の崩壊に伴い、警察学校は米軍に接収され、現在は現場警察官の訓練に使われている。養成学校生は専ら「実地訓練」を受けているが、訓練生扱いなので無給だ。
父親のアブドルザフラさん(53)は「テロリストの正体が分からないので、誰に怒りをぶつけていいのか分からない。米軍を憎いとは思わない。今はイラクの治安を守るために必要なパートナーだ」と話す。「だが、どうして無理やりバリケードを撤去したのか。どうしても納得できない」
まだ痛みで時々意識が薄れるジャシムさんに「早く治してまた現場に戻ってください」と声をかけると、「もう警察官は嫌だ。何か別の仕事を探す」という答えが返って来た。見舞いに来ていた同級生のクサイ・マフムドさん(21)も「多くの仲間がもう警察官はやめようと思っている」と打ち明けた。
27日の事件では赤十字国際委員会の事務所と市内の4つの警察署が襲われ、35人が死亡、200人以上が負傷した。ジャシムさんは、前途を奪われた多くの犠牲者の1人に過ぎない。
[毎日新聞11月7日] ( 2003-11-07-23:44 )