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(回答先: ロシア:投資家の事務所を当局が占拠 ユコス事件と関連か【毎日新聞】 投稿者 荷電粒子 日時 2003 年 11 月 07 日 21:42:07)
★ 昨6日ロシアで国権で占拠された、ソロス氏の「開かれた社会」の解説(抜粋):
このようにソロス財団は,「開かれた社会」[★1]の理念を実現することを目的としているが,なかでもとりわけ重視しているのは,知的・文化的な面における援助である.例えばハンガリーにおける「作家助成プログラム」は,作家の自由な活動に道を開き,共産主義者作家同盟に取って代わる最初の組織を生み出すことになった.あるいはまた現代美術館のネットワーク作りやインターネット上のアートに対する支援も大きな成功を収めている.もちろんソロスは,援助に際して慎重に戦略を練っている.共産党のイデオロギーに抵触するプロジェクトには,彼らが認めざるをえないほかのプロジェクトを抱き合わせ,愛国的な文化プログラムや広く社会的利益をもたらすようなプログラムを同時に実施したりもした.
http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic031/html/165.html
ロシアでは,ソロスの支援は国の教育体制を根底から揺るがせた.すなわち,マルクス=レーニン主義に基づく教科書を一掃し,省庁の全面的な協力を得て,新たに1000冊の教科書を作製したのである.また,学校の校長を再教育したり,革新的な学校に助成金を出したり,経済学に新しいカリキュラムを導入したり,ジュニア・アチーヴメント・テストのスポンサーになったりもした.ロシアに対するソロスの寄付は,当初は500万ドル,1993年には5億ドルにのぼり,その額はすでに,多くの西側政府の援助額を上回っている.しかしこれほど巨額な資金を取り扱うプログラムの現地担当者たちは,あまりにも大きな誘惑に抵抗できず,ロシアにおける慈善事業の運営は腐敗した.ソロスはロシアの政治的革命に寄与しようと試みたわけだが,膨大な資金をうまく使えずに苦労しているようだ.ソロスにとってお金を使うことは,お金を稼ぐことよりも難しい所以である.
http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic031/html/166.html
現在,ソロスの慈善事業は,年間3億5000万ドルにのぼり,世界40か国を網羅するネットワークで,約1300人のスタッフが働いている.慈善事業のコンセプトは,「開かれた社会」を啓蒙し,これを実践することにある.クロアチアのトゥジマン大統領は,「開かれた社会」を「危険な新イデオロギー」と呼んだが,ソロスの狙いはまさに,この新しいイデオロギーを布教することにある.「私たちに必要なのは批判的思考法であり,平和に共生するための機関と,意見や利害の異なる人々が共生できるようなルール,そしてきちんとした権力の譲渡を保証する民主政府,フィードバックをもたらし,誤りが訂正される市場経済,さらにマイノリティの保護およびマイノリティの意見の尊重」である.これに対して「閉じた社会」では,個人は集団に服従し,社会は国家に支配され,国家は一つの教義を真理として,絶対的な権力構造を打ち立てる.ソロスは「閉じた社会」に対して別の選択肢を用意し,批判的な思想を芽吹かせることによって,単一のドグマをもつ体制を内部から無力化しようと企てる.「開かれた社会」とは,単一の教義が相対化される社会にほかならない.
もっともソロスにとって,「閉じた社会」を「開かれた社会」にするためには,慈善事業よりも投資のほうがはるかに有効な手段のようだ.東欧諸国に影響力をもちたいと思うならば,投資をちらつかせたほうがずっと効果的である.例えばルーマニアでは,政府は当初,財団に敵意を抱いていた.しかしソロスがポンド危機で活躍してからは,財団の運営はやりやすくなったという.ソロスは現在,東欧諸国に対して自己資金全1000億ドルの1−2%,すなわち10−20億ドルを投資している.ソロスはこれまで,西側で儲け,東側で慈善事業をしてきたが,最近では東欧諸国も投資のターゲットとしており,「悪徳資本家」としての半身を現わしはじめている.ソロスの使命は「開かれた社会」の理念を実現することであるから,そのためには醒めた現実主義の立場に立って,投資による権力行使もよしとするのだろう.
http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic031/html/166.html
★1
「開かれた社会」とは,責任を引き受ける個人を陶冶するために批判的討議や合理的反省を重んじ,漸次的に社会を改良していくことを目指す社会である.これに対して「閉じた社会」とは,部族社会・呪術社会・集団主義社会を指す.そこには個人の発意や独立はなく,したがって反省意識を高めることはかえって社会を不安定なものにする.
http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic031/html/160_175op.html#01