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中東・アジア従属化オセロ理論
http://www.asyura2.com/0311/war42/msg/1219.html
投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 11 月 22 日 00:29:28:oswAM6lqBSCW6

(回答先: イスラエルが2003年度防衛輸出高トップへ「トルコとインド向け突出」/米国はタイに新鋭ミサイルを供給 投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 11 月 21 日 23:58:49)

イスラエルが2003年度防衛輸出高トップへ「トルコとインド向け突出」
/米国はタイに新鋭ミサイルを供給
http://www.asyura2.com/0311/war42/msg/1210.html
についての感想として:

中東とアジアを改造しようというイスラエルと米国の長期戦略は確かに存在するようだ(政権交代などによってその進行ぐあいに変化が生じることもあるようだが)。その非常に有害な実態が最近ますます明らかになって来ている気がする。御しやすい国を優遇して資金援助・武器供与などを行ない、同盟国として帰順させて行く。「核・大量破壊兵器不拡散」「中東民主化ドミノ理論」などのうわべの大義はまったく嘘であるどころか、その逆のことを強力に推進している。つまり新鋭兵器の差別的輸出と、独裁的で服従的な(目指すは傀儡か)同盟政権の養成である。

彼らは広大な中東・アジア地域全体を様々な意味で支配するために、各地域の隣国同士の対立を煽り(または自ら対立の種を蒔いて)、地図を見ればよく分かるようにほぼ1つ置きの国々を味方陣営に引きずり込み、その合間の国々との敵対関係を強めるという戦略を実行しようとしている。それによって各地域は不安定になり、武器購入・基地提供・駐留合意などが得られ、この地域に影響力を維持し、事が起これば軍事介入できる。そして敵対国を常時に牽制し、いざ潰そうと思えばターゲットの国をそのエリアの両側から軍事侵攻で挟み撃ちに。そして遠くの従属国には戦費負担と戦闘・治安維持要員派遣、という按配になっている。

アフガニスタンを落とした米国は、イラク侵略の際にクウェートとトルコに部隊を集結させ南北両面からイラクを挟み撃ちにしようとした(実際トルコからは実現せず、北部クルド地区からになったが)。もし次にシリアに侵攻するとなれば、米軍統治下のイラクとトルコ(あるいは露骨にイスラエル?)から挟み撃ち、イラクとアフガニスタンでイランを挟み撃ちなど、戦略的に非常にやり易くなる。インドに関しては、アフガニスタンとインドでパキスタンを挟み撃ちということも無くもないが、中東全体をイスラエルとインド、つまりイスラム地域をユダヤとヒンドゥーで挟み込む戦略なのである。

この戦略を「中東民主化ドミノ理論」にちなんで、ここでは「中東・アジア従属化オセロ理論」と呼ぶことにしよう。つまり「敵か味方か」の二色に色分けして、味方の色の駒で敵の色の駒を挟んでひっくり返し、支配地を広げてゆくゲームである。「隷属化リバーシ理論」などでも良いがゴロが悪い。

さて「従属化オセロ理論」は東南アジアにも拡がっている。最近、米国が仏教国タイに以前にも増して軍事支援を行なっている。中国とマレーシアのロケットが「切迫した脅威」だととして、米国はタイに中距離空対空ミサイルを供与した。タイについてはまだ周辺国との関係悪化の様子は見られないが、現在イラクに派兵している。ミャンマー軍事政権はどちらかというとマレーシア寄りか。またイスラエルはインドネシアにも兵器供給をちらつかせている。もともとスハルト時代からのインドネシア軍部と米軍との密接な関係や「イスラム過激派」の撲滅作戦などでの協力は、ほとんどフィリピン同様である。マレーシアのマハティール引退前の演説には、こうした問題の根深さが背景としてにじみ出ている気がする。以下はアメリカと東南アジアの軍事的関係についての記事です。
Solid in Support of the U.S. ...So Far
http://www.csis.org/pacfor/cc/0103Qus_asean.html

イスラエルについて考えると、このような戦略はやはりもとを辿ればパレスチナ問題に行き着く。パレスチナ問題を思い通りに進めるには、イラク、シリア、イランなどの弱体化や混乱が戦略的に有利な環境をもたらす。彼らは常に地図と睨めっこして戦略を立てきた。そしてたぶん戦略は一つではなく、幾通りもの仮定のシナリオがあって、中には和平による領土の安定を目指したケースのものもあるだろう。逆にパレスチナ完全制圧というシナリオもあるに違いない。場合によっては中東・中央アジア全域支配という現代のアレクサンダー大王を気取るシナリオが作成されているかも知れない。イラクに関するイスラエルの戦略としては1980年代にすでに民族・宗派によるイラクの分割案が論文として発表されている。
Behind the Scenes of the Iraq War
http://www.asyura.com/0304/war32/msg/876.html

「あらゆる場合を想定して戦略を立てる」ことの恐ろしさは、政治体制などの条件が揃えば、不覚にも最悪のシナリオを実行に移してしまうということである。つまり戦略が主体者を罠に誘導し、周囲をも大破壊を巻き込む。そして机上での軍事戦略は結果的に勝利できないことのほうが多い。政治環境・経済そして人心を往々にして考慮に入れていないからである。人間は生きて行く上で戦略的思考は必要であるが、相手が人間だからこそ100%数学的で冷徹な戦略に凝り固まるならば、必ず誤算が生じる。そういった人間性を過小評価した結果、「戦略バカ」は戦争に敗北する。しかしそのあと彼らを吊るし上げて責任を追及しても、その間に生じたとてつもない犠牲を、彼らはとうてい償えるものではない。

イスラエルと米国の中東戦略に大きな鍵を握っているもうひとつの要因はロシアだろう。中央アジア旧ソ連系のイスラム諸国に今もなお影響力をもち、チェチェン問題、ユダヤ人移民、イランの核開発問題、中央アジア地域のパイプライン敷設などで米国やイスラエルとは利害が複雑に絡み合う。イスラエルのシャロン首相はどこを訪問しても様々な憶測を呼ぶが、今月ロシアを訪問したことで、どのような会談が行なわれたのか関心を呼んでいる。プーチンは国内のユダヤ系勢力の伸長を警戒し、相変わらず軍事的にも中東に睨みを利かせている。ロシアの小型化核爆弾の実用化や周辺国への軍事支援はアメリカやイスラエルの戦略を牽制し、これからも利害関係の駆け引きが続くだろう。

アフガニスタンとイラクでの抵抗活動によって「中東オセロ理論」はひとまず頓挫したように見える。イラクでの米軍の死傷者増大でブッシュ政権に国内外からの批判が集まり、来年の大統領選挙での再選も危ぶまれている。その影響もあり、イスラエル国内でもシャロン政権発足後の強硬路線への疑問と明らかな犠牲者増大によって支持が下がりはじめた。インドではパキスタンとの緊張関係の高まりにより、生物化学兵器によるテロ攻撃を受けた場合に限り核兵器による先制攻撃を容認よるよう法改正(または改悪)までしたが、イラクへの派兵は行なわない方針をみると、まだパワーバランスを考慮する冷静さをもっているとみてよいのだろうか。いずれにしても隣国との紛争や対立を解決できない地域は、いつの時代も部外者的な覇権主義勢力に付け込まれ、武器商人を送り込まれるというよい見本である。

先ごろ(20日)トルコで今月2度目の大規模爆弾テロが起こったというニュースがあった。アルカイーダが電話で犯行声明を伝えてきたという。前回は5日前(15日)にユダヤ教礼拝所近くの爆発で25人が死亡したが、今回は英国領事館と英国系銀行が狙われ、それ以上の死傷者が出た。そのころブッシュ大統領はイギリスを訪問していて15万人の抗議デモに遭い、イラク戦争での最大のパートナーであるイギリスの世論がもう持たない情況に追い込まれていた。ブッシュとブレアは共同記者会見で、トルコの英国系施設への爆弾テロをうけて「だからテロとの戦いを続けなければならないのだ」と発言した。批判の嵐にさらされていた彼らにとって何とよいタイミングでテロが発生することか!

しかもトルコの首相がイラクなどへの派兵に前向きなわりに、同じイスラム教徒としてのトルコ国民や議員たちにはいくぶん慎重さが見られる。世論に変化を促し、中東戦略に今後もトルコ全体を協力的な状態に導くには、軍事援助もさることながら、国内でセンセーショナルな事件が起こることが最も効果的かも知れない。それを踏まえた場合、トルコで起きた爆弾事件を、単にイスラム過激派のユダヤ教徒に対する迫害や、イギリスに対するブッシュ訪問時期に合わせた流血のメッセージと見るか、それともイスラエルや米国陣営の「謀略」と見るか。

トルコのクルド人武装組織がユダヤ教礼拝所やイギリス領事館を今ごろ襲うとは考えにくい。イラク戦争に反対する「イスラム過激派」の犯行という考えについても、15万人の反戦デモが発生している最中に流血のメッセージを送るのは逆効果ではないのか?苦境のブッシュやブレアに再び対テロ戦争の口実を与えることは明らかではないのか?そして場所はなぜトルコなのか?なぜ9.11以降は米国本土で爆弾テロが起こらないのか?その気になれば爆弾テロなどどこでも簡単に起こせるはずである。ひとつの爆弾テロに捉われずに、近年起こった親米国での多くの爆弾事件を、その場所とタイミングから、誰が得するかを総合的に考えると、多くの場合アラブではなく、どこかの「戦略バカ」または「陰謀バカ」の方だと思えてならない。

それについては、「実行犯」などが逮捕されても鵜呑みにすべきではない。以前に起こったサウジアラビアでの爆弾テロはCIAとつながりのあるフィリピン人のエージェントによるものだという以下のような情報もある。
CIA may be behind Saudi bombing: Ka Roger
http://www.sunstar.com.ph/static/bag/2003/05/16/news/cia.may.be.behind.saudi.bombing.ka.roger.html
CIAは世界各地に支部を持ち、各国の秘密組織にも援助と引き換えに仕事を代行させる。また一般の民間人を拉致してテロ容疑者に仕立て上げることもする。それら無実の容疑者はよほど幸運でない限り、監禁されたまま闇に葬り去られるだろう。以下は運良くカナダ政府に救出された無実のテロ容疑者のケースである。
Deported Terror Suspect Details Torture in Syria
http://www.asyura2.com/0311/war42/msg/212.html

「中東・アジア従属化オセロ理論」によって主としてイスラム世界が狙い撃ちにされている情況で、侵略者への抵抗戦線を陰から支援すること以外に、イスラム教徒たちの間では、このように外部から付け込まれやすいイスラム世界の体質を指摘し、内部に目を向け、もっと根本的な問題を反省する動きが出てきている。近代化に遅れた原因や宗派と部族による不和、指導者層の腐敗や堕落など。これらはイスラムだけの問題ではなく、特に隣国との対立や内戦などは他の地域でも常に起こりうる、または現に起こっている。これは人類史的な研究命題であると同時に、世界全体が市民レベルで考え直すべきテーマだと思えるのである。

というわけで思いついたままのなぐり書きになりましたが、イスラム世界の覚醒と変革の呼びかけに関しては、イスラム系サイトの記事を見つけましたので、この次に訳文を阿修羅サイトへ投稿したいと思います。とりあえずURLだけ貼っておきます。
Dear Rulers of the Muslim World
http://www.khilafah.com/home/category.php?DocumentID=8618&TagID=1

 
関連

シリア空爆と“A Clean Break” −イスラエルの軍事戦略(1)−
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/syria.1.html
イスラエルの新たな核兵器戦略 −イスラエルの軍事戦略(2)−
http://www.asyura2.com/0311/war41/msg/725.html
投稿者 DOMOTO 日時 2003 年 10 月 23 日 20:44:54:VRQtq/0DZtRLQ

インドはシオニスト勢力の一翼として核搭載衛星の配備を行うようです
http://www.asyura2.com/biz0310/war40/msg/440.html
投稿者 HAARP 日時 2003 年 10 月 10 日 04:29:56:oQGUNb5q8hjD.

プーチンがホドルコフスキーを逮捕したのは何故か?
http://www.asyura2.com/0311/war42/msg/813.html
投稿者 戦争屋は嫌いだ 日時 2003 年 11 月 17 日 08:16:53:d/vusjnSYDx0.

謀略に注意!事件発生と同時に歴史の前例を想い起こさねばまた騙される。
http://www.asyura2.com/0311/war42/msg/1184.html
投稿者 木村愛二 日時 2003 年 11 月 21 日 18:03:54:CjMHiEP28ibKM

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