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報告者:東京財団 シニアー・リサーチ・フェロー 佐々木 良昭
最近、アメリカ兵の常識を超える蛮行が目立ってきている。蛮行といっても暴力沙汰というよりも、もっと単純なことだ。しかし、この単純な蛮行は非常に深い意味を持ち、イラク人のアメリカ兵に対する反発を強めている。
たとえば、既に報告したミシェール・アフラクの墓荒し事件だ。このミシェール・アフラクが名も無い人物であり、単なる墓荒しであれば特別大きな反発は生まないのだが、彼はイラクがこれまで国家のイデオロギーとしてきたアラブ・バアス党の創設者であるだけに、彼の墓を荒す行為に対するイラク人の怒りは非常に強いものだった。
その次に起こったのは、アメリカ兵による果樹の引き抜きなぎ倒し事件だった。アメリカ兵が果樹園のレモンの木やオレンジの木を引き抜きなぎ倒したというのだ。勿論、墓にも果樹にもアメリカ兵を襲う能力など無い。単なるイラク人に対する腹いせの嫌がらせに過ぎないことだ。しかし、イラク人の側からすれば、こうした行為は全くアメリカ人の感覚とは違う激しい怒りを呼び起こすのだ。
加えて、こんどは犬による持ち物検査という事件がおきている。イラク政府職員の女性のバッグを、アメリカ兵が犬に検査させるという暴挙に出たのだ。女性はそのバッグのなかにコーランが入っているから、止めてくれと懇願したが、アメリカ兵には聞き入れてもらえず、犬がバッグの中までなめ回すということになった。(イスラム教徒の多くは、犬を不浄な動物と考えていることから、犬を大事な持ち物に近づけたり、家のなかに連れ込むことを非常に嫌う人が多いのだ。)
これには他のイラク職員も怒り、アメリカ兵に対する非難の人垣が出来たが、それに対し、アメリカ兵はコーランを地面に叩きつけ、天井に向けて銃を発射しイラク職員たちを威嚇したというのだ。
こうした行為がどのような反応をイラク人のなかに生み出すかを、アメリカ兵が知らないとは考え難い。少なくともアメリカ兵の集団を率いる尉官クラスにはその程度の常識を教えていたと思われる。
アメリカ軍にもイラク派兵を前に、イラク国内でイラク人に対し、どう振舞うかのマニュアルが配られたはずだ。それにもかかわらずこうした行動をとったということは、アメリカ兵が相当精神的に疲れており、フラストレーションがたまっているとしか考えられない。
半年のはずの派兵が既に過ぎ、今なお帰国の目処が立たないなかで、アメリカ兵は相当神経をすり減らしているのであろう。このアメリカ兵の精神的限界をアメリカ政府が気づかず放置すれば、これからイラク国内でベトナム戦争時のソンミ村事件のようなことが起こる危険性が高まろう。
現在のアメリカ兵の状況は、これから日本が派遣する自衛隊員の場合にも同じようなことが起こりえよう。アメリカ兵の蛮行を、送り出される自衛隊員も送り出す側も悪しき前例として肝に銘じておくべきであろう。
http://www.tkfd.or.jp/news/today/1_20031023_1.shtml