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(回答先: 「敗戦責任」とは何か [戦争屋は嫌いださんに] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 10 月 24 日 22:14:10)
あっしらさん
貴殿のポイントはよくわかりました。私は貴殿の「敗戦責任」という言葉は戦争に負けたからこそ責任を問われるので、勝っていれば責任は問われなかったはずだ、という趣旨の責任と解釈していました。基本的に同じことをいっていると思います。
ただし、よしんば当時の日本の大陸侵攻策を帝国主義競争下の不可避的選択として是とした上でも、民間人の虐殺はやはり到底受け入れることはできません。これは超法規的な観点からも、(実は日本の敗戦時にはニュルンベルグ裁判で判例ができていたが)やはり人類に対する犯罪として処断されるべきものです。
英米の軍隊は少なくとも第二次大戦時点では民間人の大量殺戮は行っていない。(ドイツ・日本の無差別爆撃・原爆投下はあるが、非侵略国に対して行ったわけではなく、一種の報復という形だった関係で自他ともに罪の意識が希薄となっている。ドイツ空軍もロンドンに最初に無差別爆撃を仕掛けたし、日本も戦争初期に南京・上海などに無差別爆撃を行っている。また捕虜を万単位で死なせている)。とはいえ大規模な都市絨毯爆撃・原爆投下は無論決して許されることではありませんが。(さらにアメリカは後にベトナムで、皇軍どころではない非人道的な虐殺・化学兵器を使用したが、責任者はもちろん人類に対する犯罪のかどで極刑に処せられるべきものです)
貴殿の「さらに言えば、“一億総懺悔”ではなく国家指導層やマスコミの責任は特段だが、国民にもそれなりに責任があるという話にもなるかもしれません。」
については若干同意しかねる部分があります。国民を教育・教宣によって戦争政策漬けで洗脳し、200万以上の死者を出した一義的責任はやはり、当時の支配層にあった。それからはっきり言って軍部と癒着して戦争を仕掛けた、三井・三菱・住友などの財閥(特に三井が中心的な勢力だった)の責任も問われるべきです。(私の大学時代の恩師は個人的体験として、当時三井物産に勤務中、海軍軍令部に大きな風呂敷包みを届けるよう命令され、タクシーの中でこっそり開けたところ、現在の金で億単位の現金が入っていた話をしてくれたことがある。また「この戦争は三井が起こした。」ということを当の三井物産の幹部が言っていたそうである。戦略レベルの計画立案には常に商社が絡んでいたのである。)
例えば開戦直後インドネシアのパレンバンに海軍空挺隊が落下傘攻撃を仕掛け、占領しましたが、侵攻前の作戦企画立案には三井・三菱の社員が関与し、占領後パレンパンの油田利権を与えられ、経営したのも三井・三菱です。一言でいえば彼らは一般国民である兵隊の命を犠牲しながら、資産を無償で獲得し収益を上げていたわけです。今回のイラク侵略も本質的には全く同じことです。戦争とは暴力による政治・経済行為で、近代では常に大財閥の利権が絡んでいるのです。こういった戦争受益者・利得者、ならびに天皇をはじめとする統治機構内部にいた人間の責任と、厳しい検閲下でろくに情報も与えられず、公正な教育の機会も与えられなかった大衆が、戦争政策に迎合したからといってその責任を一緒に論ずることはできません。(日本人がファシズムに対して脆弱な文化的土壌をもっていることは、別問題として常に問題意識を持つ必要があるが。) 要は統治する側には統治される側よりはるかに大きな責任が伴う(Nobles Oblige)ということです。
これは外国の財閥についても同じですが、彼らが収益目的で戦争を始めるのなら(無論末端の国民にも某かの環流・恩恵はあるかもしれないが、たった一つしかない生命を失うリスクがあるのは庶民である)、彼らが自前で傭兵を養成して、傭兵同士で戦争させればいいのです。私は世の中は次第にこの傾向に向かうと見ています。英国などは徴兵制は廃止され、専らSASのような少数のエリート部隊の活躍への依存度が高くなっています。こうしたエリート部隊はもともと冒険・スリル志向で、退役後は要人警護から企業のコンサルタントまで高収入の転職が可能となるので、一般人と違って命のリスクを冒す価値があるわけです。
100万歩譲って、今回のイラク侵略を是としたとしても、理論的には本当の受益者である米英の石油産業・兵器産業が侵略のコストを負担すべきです。いわんや日本が負担するなどとんでもない!彼らが傭兵を自前でやとって好きなだけ戦争すればいいのです。無関係な一般市民を巻き込むべきではありません。ただ傭兵であろうが、正規軍であろうが侵略されるイラク側ではやはり無辜の市民が殺戮されるわけで、現実問題としては無論到底認めるわけにはいきませんが。