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イラク支援金と自衛隊派遣
10月17日のブッシュ訪日にタイミングを合わせて、小泉首相は対イラク無償援助15億ドルと自衛隊の(事実上)年内派遣を決定した。国連安全保障理事会が16日「イラクへの多国籍軍派遣と復興に関する決議」を満場一致で採択したことで、小泉首相はほっとしたのであった。小泉首相は今回の安保理決議のおかげで、実際は「アメリカ一辺倒」の所産(5月の訪米時)である今回のイラク支援を、国際協調のためと言い逃れることが出来たからだ。世界中の反対を押し切り、国連を無視して行われた米英のイラク先制攻撃を支持し、米軍占領下に置かれているイラクに自衛隊を派遣することを国際貢献だなどと言ったら(日本は別だが)世界中から非難されるところだった。
現在のイラクはアメリカの軍事占領下(日本の敗戦時と同じ)にあり、日本のGHQ(連合国総指令部)に当たるCPA(連合国暫定局―米国防総省管理下)がイラクの主権を握っている。新決議案では、イラク人による新政権が出来たらCPAは主権を移譲すると決めているが移譲の時期は決めていない。また主権移譲の過程で国連事務総長の権限を一部強化している。フランス、ドイツ、ロシアが新決議案に賛成したのは、やがてイラクの主権がイラク国民に移管される方向性と、完全にアメリカの統制下にあるCPAに僅かでも国連の発言権が認められたからである。
だからフランス、ドイツ、ロシア共々「何時新政府に主権が移譲されるかが明確にならないうちは資金や軍事援助は行わない」とはっきり声明している。小泉外交は国連中心主義と言い、今回のイラク支援も国際貢献と言うが、小泉首相は国連無視の米英イラク先制攻撃を支持して世界中のひんしゅくを買ったのだから明らかに国連無視外交。小泉首相は今回の安保理決議を歓迎しているが、米英を除く常任理事国は「アメリカの軍事占領下にある現状でイラクの復興支援をすれば米英と同じイラクの侵略国になってしまう。
従ってイラクの主権が米国の軍事政権からイラク国民による新政権への移譲が明確になるまで一切経済援助も軍事援助も行わない」と決めている。今の時点での小泉イラク支援15億ドルと自衛隊派遣は、日本が米英とともにイラクの侵略国になり、世界に日本が対イラク侵略責任を買って出たことになる愚策。今イラクに自衛隊を派遣することは、自衛隊がどんな任務を帯びていようとも、アメリカの敵の敵になることだからテロリストの標的になるのは当然。さらにテレ朝で前々回報道した通り、自衛隊にはテロからの攻撃だけでなく劣化ウラン災害が待っている。それでも自衛隊を出すのは何故かと言うと、それは小泉首相が訪米した際(5月)ブッシュに年内派遣を約束していたからだ。
小泉訪米の時点では、フランス、ドイツ、ロシア等はイラクがアメリカのペンタゴン主導のCPAが主権を握っている限り一切支援は出来ないという立場であったから、アメリカは日本に執拗に自衛隊派遣と千億円単位(ビリオン)の援助を要求していた。アメリカはイラク援助修正案が安保理で審議される前に小泉首相から大口無償援助と自衛隊派遣の合意を取り付け欧州同盟国に圧力を掛ける狙いがあった。実際小泉首相はいち早く日本の支援内容を発表したためブッシュの思惑通り、安保理でアメリカの修正案が満場一致で採決された。
これでアメリカはアメリカの国連無視の先制攻撃・イラク侵略を国連の場に持ち込むことに成功し、かろうじて国際孤立を修復したのであった。ブッシュはお礼として小泉首相に「日本の自主的判断による暖かい支援に感謝する」と、とってつけたお世辞を言って「借りを返した」のである。
小泉首相のような口先だけではなく、やれば出来た自主外交とはどういうことかを説明しておこう。アメリカが政治的に日本の資金援助と自衛隊派遣を絶対に必要としていたのだから、日本はこれを政治カードとして使えばよかったのである。つまりアメリカにCPAから新政権への主権移譲の時期を明確するよう迫る。またCPAに国連事務総長の拒否権を求める。アメリカが日本の要求に応じなければ、日本はフランス、ドイツ、ロシアに加担してアメリカ案を葬る手に出る。アメリカはもうこれ以上国際孤立は出来ないから主権移譲の目標時期くらいは明示しただろう。こうした自主的政治判断の発想も無く、「新政権までの間イラクの苦境を放置していいのか」などと与党は言う。今日のイラクの状態は、世界(日本は例外)の反対を押し切って先制攻撃した英米の責任で、反対したフランス等国際社会の責任ではない。もっとも日本は世界に先駆けて米英の「理由無き先制攻撃」を無思慮・無責任に支持したのだから、イラクの現状に責任がある。だから日本はその責めを免れるためにも前述のように日本カードを使って、アメリカが主権を独占しているCPAに国連の楔を打つべきだったのである。
「ゴマカシから始まって誤魔化しで終わる」ことしか出来ない小泉政権が世界から認められる日は当分来ない。
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何故ビン・ラーディンは日本をテロの
ターゲットと宣言したか
田原総一郎氏はサンデー・プロジェクトで、「人の命は地球より重い」が従来の日本の政治哲学だったのが、今回のように「犠牲を承知で自衛隊を派遣することになった」のは「新たな政治哲学」が生まれた為なのか、と与党に質問していた。与党も野党もぽかんと口を開けて「何のことだかわからない」様子だった。日本の政治家に歴史感覚と感性のかけらも無いのは田原さん先刻承知のはずなのに。
小泉イラク支援内容の発表と同時にビン・ラーディンは日本を名指しでテロのターゲットにするとアナウンスした。何故かわかっているのだろうか。二つ理由がある。サダム・フセインと彼を支援するビン・ラーディン、さらにはイスラムの心にすれば、日本が米英のイラク先制攻撃を支持し、今またアメリカの軍事侵略下のイラクに自衛隊を派遣すれば、自衛隊はアメリカ軍と同じく対イラク、対イスラム世界の侵略軍になってしまうからである。さらに国際法の見地からの理由がある。1974年12月の「侵略の定義」を決めた国連決議によると「アメリカが日本にある米軍基地からイラクを軍事侵略した場合は日本もアメリカ同様に対イラク侵略国になる」と規定されているからである。
与党は、日本はアメリカとの同盟関係が大事だと強調するが、一体何のための同盟関係だと思っているのだろうか。日米同盟で日本がプラスになっていることは日本全土を世界最強の米軍に軍事占領されているため、皮肉なことに、もうこれ以上何処からも占領されないという安全を確保していること。そのために膨大な侵略代金をアメリカに支払っている。この異常な事実の他になにか日米同盟のメリットがあるだろうか。
http://www.chokugen.com/opinion/frame_new.htm