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【ニューヨーク高橋弘司】イラク統治をめぐる国連安保理決議案は16日、全会一致で採択されたが、米国は9月3日に決議案の原案を示して以来、修正を繰り返し計五つの決議案を提示、これに対し、仏、独、露、シリアが四つの対抗案を示すなど激しい外交戦が展開された。だが、決議採決直前、棄権が濃厚とみられたシリアを含め4カ国は“総崩れ”となり、米国はイラク人への主権移譲などの根幹部分で譲歩しないまま、国際的な「後ろ盾」を獲得した。44日間の攻防を振り返った。
米国の原案に不満を抱いた仏独両国は9月10日、最初の対抗案を提示。多国籍軍の指揮権を米軍に任せる代わりに、「早急にイラク人に主権を移譲するよう」要求、事実上、米英占領当局の終結を促した。これを受け、米国は10月1日、イラク統治評議会が主権回復へのタイムテーブルを提示するなどを骨子とする修正決議案を出した。
だが、イラクの治安悪化に危機感を募らせたアナン国連事務総長は同月2日、米国案に対し「私が勧めたものとは明らかに違う」と異例の批判を展開。国連高官は翌3日、記者を急きょ集め、アナン発言について背景説明を行い、「米英占領当局が駐留する限り、イラクの政治的移行措置を担うことになる」と指摘、国連は補完的な役割なら拒否する姿勢を明確にした。
アナン氏の「反乱」を機に、安保理内のムードは一変、決議採択は困難な見通しとなった。
攻防が再び激化したのは13日。米国はイラク人への早期主権移譲にこだわる各国を説得する「切り札」として、統治評議会が12月15日までに新憲法起草などの日程を安保理に提示するとした再修正案を明らかにした。
これに対し、仏独露3カ国は14日午前、「米英占領当局は国連事務総長らと協力し、イラク人への主権移譲に向けた特定の日程を示す」などの文言修正を含んだ対抗案を示した。
これを受け、米国は同日深夜、再々修正案を提示。だが、根幹部分に変更はなく、仏独からは再び不満の声が漏れた。ここで米国はまだ採択に最低限必要な9カ国の賛成票を得ていたにすぎなかった模様だ。
当初、15日に設定された決議採決は急きょ、翌16日に延期された。「(各国の)首都の間で協議が続いている」と王・中国国連大使が首脳レベルの協議となっていることを示唆した。一方、パウエル米国務長官はロシア、フランスなど安保理の8カ国外相に懸命の電話攻勢。国連消息筋は「標的はロシアだった」と明かす。採択当日の16日、仏、独、露3首脳の電話会談で、プーチン露大統領が賛成に転じる意向を示したことで流れは決まったとみられる。
シリアまでが賛成に回ったことについて、アラブ筋は「対イスラエル紛争では強硬だが、米国に盾突くつもりはない」と話す。テロ支援などの疑いをかけられ、イラクの「次の標的」となるとの強い懸念が背景にあるという。
[毎日新聞10月17日] ( 2003-10-17-11:07 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20031017k0000e030020000c.html