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報告者:東京財団 シニアー・リサーチ・フェロー 佐々木 良昭
イスラエルがシリアに対し空爆を行った。その理由はシリア国内にイスラエルに敵対するパレスチナのテロリスト訓練基地があるからだということだ。 イスラエルの今回の行動に対しては種々の意見が既に出ている。その際たるものは、アラファト議長をいま殺害あるいは追放することが国際政治の上であまりにもリスクが大きすぎるという判断から、イスラエルはリスクの少ないシリア攻撃を選択したというものだ。
シリアとイスラエルとの間には大分前から化学兵器やミサイルで緊張した関係があったし、レバノンのヘズブラによるイスラエルに対する攻撃は、レバノン人自らのイスラエルに対する領土奪還闘争であると同時に、一面においてシリアの代理戦争であったことは誰しもが認めるところであろう。
イスラエルがシリアに攻撃したことで懸念しなければならないのは、この攻撃が口火となってイスラエル・シリア間に武力紛争が勃発しないか、ということだ。イスラエルが戦争拡大の口火を切っても、一般的にはアメリカがアフガニスタンの戦後処理に手間取り、アフガニスタンが泥沼化していることや、イラクの戦後処理が同様に泥沼化しているために、アメリカがシリアとの間で新たな戦端を開くことはあるまいといと見る人が多い。
しかし、アメリカはいま戦争のアウト・ソーシングを始めていることも事実だ。この方式で行くならば、アメリカは幾らでも新たな戦争が可能だということになる。つまり、一旦戦争が終結してしまえば、その後の戦後統治と治安維持は諸外国の軍隊に任せるということだ。イラクの場合もアフガニスタンの場合も、アメリカ軍の駐留に加え外国軍の参加がある。
同時に、アメリカは外国の資金を戦後処理に充てるという手法を取り出している。つまりイラク、アフガニスタンの戦後復興や戦後処理、治安維持の費用を外国に負担させるということだ。 この戦争のアウト・ソーシングが軌道に乗れば、アメリカは何処でも何時でも戦争を始められるということになる。そして日本を始めとする西側先進諸国と国連は、アメリカの戦争アウト・ソーシングに積極的に協力することになる。
しかし、この方式も何時の日にか無理が出てこよう。そして必ずや戦争より平和、軍事力よりは平和的な手段が世界の中心になってこよう。そのときに評価されるであろう方式が日本型であることを願う。[2003年10月06日]
http://www.tkfd.or.jp/news/today/1_20031006_1.shtml