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報告者:東京財団 シニアー・リサーチ・フェロー 佐々木 良昭
「米軍の墓荒らし」 2003年10月10日
アルコドスというアラブの新聞に、バアス党を創設したミシェール・アフラク氏の墓が米軍によって取り払われた、というニュースが伝えられた。日本人にはバアス党もミシェール・アフラク氏の名前もなじみが無かろう。
しかし、アラブ人にとってこの二つの固有名詞は非常に身近なものなのだ。ミシェール・アフラクはレバノンで生まれたキリスト教徒で、彼はアラブ世界が宗教で分けられ、対立している情況を是正しなければ、全てが進まないと考え、非宗教的政治思想バアスを考案した人物だ。
このミシェール・アフラクの思想はレバノン、シリアで広がり、シリアでは政権政党の思想基盤になった。しかしミシェール・アフラク氏はその後、シリア国内では歓迎されない存在になり、新たなバアス思想の根拠地を、イラクに移している。
イラクのサッダーム・フセイン大統領がバアス党員であることから、イラク戦争を前後し、バアス党なる政党が独裁的であり、血塗られたイメージで伝わっているが、バアス党そのものは決してそうした性格を持つものではない。
サッダーム・フセイン大統領体制がアメリカの攻撃により打倒された後、イラク人の何人かが語ったのは「バアス党の思想に何ら問題はない。アラブ世界で誕生した理想的な政治思想のひとつだ。」ということだ。「しかし、サッダーム・フセイン大統領がこのバアス党を牛耳るようになってから、バアス党はおかしくなったのだ。サッダーム・フセイン大統領が打倒されたいま、バアス党の価値が再評価されるべきだ。」と語る者が少なくなかった。
アラブが独立していくなかで、あるいは独立後に幾つかの政治思想が生まれたが、そのなかで最も広範に渡ってアラブ人に支持され、影響を与えたものがエジプトの故ナセル大統領の唱えたアラブ社会主義、ミシェ―ル・アフラクのバアス主義、そしてハサン・バンナーによって唱えられたムスリム同胞団運動だった。その意味でバアス主義に対するアラブ・インテリの評価は非常に高い。
そのミシェール・アフラクの墓をアメリカ軍が荒らすということは、どのような意図によったものなのか常識では考えられない。そうでなくとも蛮行が目立つアメリカ軍が、ミシェール・アフラクの墓までも荒らすという行為は、アラブの知性に対する冒?であろう。
その反応が今後どのようにイラクや他のアラブ社会から出てくるのか、少なくとも好意的な反応が生まれることはありえない。
http://www.tkfd.or.jp/news/today/1_20031010_1.shtml
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Re: 傷害罪と銃刀法違反を犯しても佐々木良昭拓大元教授なら書類送検だけだって
http://www.asyura.com/sora/nihon1/msg/401.html