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日米両政府の欺まん
H15/10/30
イラク戦争とその後の占領に国民の厳しい目が向けられ始めているアメリカで、下院歳出委員会は二〇〇四会計年度補正予算案としてイラク駐留費などを含み八百七十億ドル(約九兆六千億円)を可決した。これによって二〇〇四年の財政赤字は五千三百五十億ドルに膨れ上がり、「衝撃と畏怖」作戦はイラクの国土だけでなくアメリカの財政にも惨憺(さんたん)たる状況をもたらした。またこれはアメリカの若者や乳幼児が、将来においてもイラク戦争の戦費を負担し続けなければならないということでもある。
イラク戦争でのうそ
イラク戦争を開始し、続けるためにブッシュ政権はいくつもの嘘(うそ)をついてきた。イラクがアルカイダと協力関係にあるということ。核兵器計画再開のためにイラクがアフリカからウラニウムを求めたということ。これらはイギリスの防衛諜報部員の報告により否定されている。湾岸戦争以来イラクは生物化学兵器を大量に温存しているという情報源はイラクの将校といわれる人物からの根拠のないものだったし、美談とされたジェシカ・リンチ上等兵の“救出”もイラク軍に攻撃され病院に収容されたのではなく、車輌事故によるもので、引き渡しの際も米特殊部隊はまったく抵抗にあうことなどなかった。そしてアメリカが危険にさらされているとして先制攻撃を正当化した大量破壊兵器はいまだ発見されてはいない。米英占領軍がイラク人から解放者として歓迎されているということも、ゲリラ攻撃により多数の米兵死傷者がでていることから事実を隠し続けることは難しくなっている。さらにUSA Today紙はイラク駐留米兵の自殺者が多いことから、米陸軍が精神医療チームを急派したと報道した。
戦争派遣は憲法違反
「フセイン政権打倒によって世界はより平和になった」と主張し続けるブッシュ大統領だが、それ自体が大きな嘘だということは誰の目にも明らかになっている。
二〇〇一年九月十一日にアメリカが受けた攻撃に端を発し、「テロとの戦い」という名のもとにイラク戦争を始めたが、アメリカへのテロの脅威は減ってはいない。それどころか米国内においては警察や消防、救急隊のために二億ドルの予算を増やすことも、米国境に検査官を千三百人増員するための予算一億二千五百万ドルも却下されている。(しかし同じ日、ブッシュ大統領はイラクの国境検査官を増員するために1億5千万ドルを要求した)
アメリカは自らが攻撃を始めたイラク戦争と九月十一日に受けたテロとの戦いという二つの戦争をしており、その支払いを日本が助けてくれることを期待している。米政府高官は「日本はATM(現金自動預払機)ではない、イラク復興に絡む財政的な負担は日本が自主的に判断すべきだ」といったが、日本政府は人も提供することでATM以上であることを示そうとしているのだ。
自衛隊派遣についてアーミテージ国務副長官が、日本政府はイラク復興支援から逃げるな、復興支援はお茶会への出席じゃないと言ったというが、そのとおりである。千人を超すアメリカ兵負傷者がでており、戦闘の激しかった三月〜四月よりそれ以降に戦傷者数が増加しているのは、占領軍に対するイラク人の抵抗を示している。イラクは戦場なのだ。お茶会に行くのは憲法違反ではないが、自衛隊を戦争に派遣することは憲法違反なのである。
ブッシュ大統領や小泉首相が攻撃を正当化し、国民を欺いてでも日本を巻き込もうとしているイラク戦争は、世界で最強の軍事力を持つ帝国が、国際法を無視して他国の主権を侵害しているものだという事実は変わらない。しかしアメリカはこれまで行ってきたようにこれからも事実を歪(わい)曲し続けるのだろう。
変えるのは有権者
ブッシュ政権の欺まんは日常的に行われている。米環境保護局が発行している報告書からは地球温暖化に関するデータが削除された。テロ攻撃を受けたマンハッタンの「グラウンド・ゼロ」の空気はダイオキシン、鉛、クロムといった化合物で健康に害を及ぼすという懸念に対しても「危険はない」という偽りの保証をした。
国民を守るはずの政府は、自分たちがやろうとしていることにあわせて事実を変えている。そして日本政府も、国際協調だとしてイラクへ自衛隊を派遣するという。それが憲法違反であり、イラクの人々にとっては米英占領軍と変わらないということは日本国民に正しく告げられることはない。日本政府もまた、自分たちがやろうとしていることにあわせて事実を変えているからである。
もしあなたが戦費を負担したり日本人の命を危険にさらすことに反対なら、または消費税を増税し国民の福祉を削減することにも反対なら、十一月九日の衆議院選挙で意思表示をするしかない。日本の政治を変えるのは政治家ではなく有権者が投じる一票であり、低い投票率を望みそれによって得をするのは現政権と政府にその政策を取らせている一部の人だけなのだということを有権者は気づくべきである。(アシスト代表取締役)
http://www.nnn.co.jp/essay/tisin/tisin0310.html#30