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「選択」 ２００３年１2月号【巻頭インタビュー】
フレーズだけの総理よ、恥を知れ
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1942年、岩手県生まれ。慶応大学経済学部卒。69年衆院議員に初当選。自治相、内閣官房副長官、自民党幹事長、新生党代表幹事などを歴任。95年新進党党首、98年自由党党首を経て、2003年10月、民主党に合流。総選挙後、現職に就任。
小沢一郎 (民主党代表代行)
---マスコミは総選挙での民主党の躍進をもて囃していますが。
小沢 政権選択の選挙と訴えて取れなかったんだから、負けは負けです。
---敗北の原因は？
小沢 民主党の反省点としてはマニフェスト(政権公約)を訴えながら、曖昧さが残り、そこを突かれた。自民党は落第なのに、国民から民主党も同類と見られちゃった。もっとスカッとする骨太の政策で勝負すべきだった。もう一つは、議員個人の日常活動の不足。国民の側についていえば、どうせ自民党が勝って、政権交代は起こらない。だから、有権者は投票所へ向かわず、投票率(五九・八％)が伸びなかった。それでも政権交代への橋頭堡は築けた。
---後藤田正晴さんは、比例区勝利を「小沢効果」だと。
小沢 追い風を受けながら、自民党に勝てなかったのは運動の差だ。相手は権力を握っている強みがあるが、日常的な運動量で勝敗は決まる。
---民主党はゴッタ煮政党と揶揄されてきました。合流しての感想は？
小沢 理念も哲学も自民党こそゴッタ煮だ。民主党の方が建前も方向性も一致している。ただ、権力を握って政治をやった人が少なく、経験不足だ。
---「三角大福中」の時代に比べ、政治家が小粒になった。小泉首相の「ワンフレーズ・ポリティクス」だけで二年半余りやってきたが……。
小沢 (自民党は)最後の崖っぷち。政権を離れたら、ばらばらになる。
---菅代表は政調会長タイプ。トップリーダーとしての資質は？
小沢 今までだって政治家個人の資質なんか問われなかった。ともかく総理が務まったじゃないですか (笑)。いままさに、動乱のマグマが高まっている。噴火はしていない。旧体制をいかに壊すか、だ。トップリーダーに百パーセントの資質を問うのは、無理な話だろう。
---「腐った家は建て替える」「戦後体制の一新」の持論は変わらない？
小沢 変わりませんね。まず、倒幕が先だ。徳川幕府が倒れて文明開化が来た。党の理念とか、主張よりもね。民主党の方向性は一致していますよ。いまみたいに無責任で、いい加減な政治では、うまくいくはずがない！
---「純ちゃんと叫んだわたしが馬鹿だった」という川柳(朝日新聞)があった。小泉首相の一番の問題点は。
小沢 フレーズだけで、中身なし。他人任せで、責任を持った決断をしない。本質は自民党政治そのもの。国民は半ばわかっているけど、言葉に幻惑される。さすがに目が覚めてきた。かつての総理は、能力はともかく、恥を知っていた。日本人のモラルとして、小泉さんは恥を知るべきだ。「末法の世」の総理には相応しいかな(笑)。
---公明党と組む選択肢は？
小沢 ない。公明党・創価学会の力を借りる必要はない。なぜなら、次の総選挙で民主党は単独で政権を取れるくらい議席を伸ばすから。
---それにしても、公明党・創価学会グループは連立政権の「下駄の雪」から「下駄の鼻緒」になった。
小沢 小選挙区は自民党に、比例区は公明党に、なんてバカなことを言ってる。でも、民主党も四十議席増えた、勝ったなんて、いい気になっていたらおしまいだ。国民の意識は変わり、底流が動き出した。
ここ数年が山。時間がないんです。私の政治生命とかではなく、日本の運命がかかっている。
〈インタビュアー 国正武重〉
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。