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レオンス・アギール
フィレンツェでの第一回会合から一年後、第二回ヨーロッパ社会フォーラムは十一月十三日から十五日までパリ、ならびにかつて「赤いベルト」(訳注:パリに近接した労働者居住区で共産党の拠点)だった三つの都市、サンドニ、ボビニ、イブリで開催される。
このイベントは、社会的諸権利のヨーロッパのためのキャンペーンと動員を通じて、新自由主義的ヨーロッパに反対し、社会運動とグローバルな正義を求める運動に新たな前進を可能にするものである。それはもう一つのヨーロッパの展望、すなわち労働者と民衆の社会的・民主的ヨーロッパに信頼性を与えるものになるだろう。
フィレンツェは何を切り開いたのか
あれからまだ一年もたたないが、フィレンツェで開催された第一回ヨーロッパ社会フォーラムを想起しよう。
二日半にわたる熱烈な討論には数万人の活動家が参加した。そのほとんどはきわめて若い、さまざまな政治的色合いを持った「グローバルな正義」運動の活動家、労働組合員、フェミニスト、エコロジストだったが、そのすべてが、資本主義的グローバリゼーションが人間にとって破滅的であり、もう一つの世界は可能であるということを深く確信していた。そして土曜日の午後には、アメリカがイラクに対して開始しようとしていた帝国の戦争に反対する百万人のデモがフィレンツェの街頭を埋めつくした。
社会運動の会議から戦争に反対するアピールが発せられ、それは二月十五日の全ヨーロッパにわたるデモをもたらした。それはポルトアレグレにリレーされ、世界社会フォーラムの枠組みを通じて、このアピールはかつて地球規模で組織されたもののうちで最大の反戦デモを導いた。
「グローバルな正義の運動はイタリア・ルネッサンスの発祥地の一つを略奪しようとしている」、と数週間にわたって予告してきたベルルスコーニと彼の政府は、はねつけられてしまった。このデモは、一年前のジェノバのG8反対デモを特徴づけた激しい暴力と混乱がデモ隊によるものではなく、「秩序の勢力」の責任によるものだということをはっきりと示した。
それ以外の重大な敗者は社会自由主義潮流だった。欧州労組連合(ETUC)と社会民主主義諸党の指導者たちは、彼らの方針の大部分が討論の中で拒絶されたのを見ることになった。ラディカル潮流を周辺化し、社会運動、ラディカル左翼政治組織に反対しようとした彼らの目論見は、嘆かわしい失敗に終わった。このヨーロッパ社会フォーラムで現れたものは、二つの左翼、一つの社会自由主義、そして市場経済と利潤極大化の追求という至上命令を拒否するその他の人びとであった。政治組織と社会運動の双方にわたって、この亀裂が走った。
その後、積み重ねられた運動の前進
パリのヨーロッパ社会フォーラムは、この力学を増幅させるという大きな希望を持っている。そしてそれは可能である。フィレンツェ以来、イラクでの戦争に反対する巨大なデモ、緊縮政策、社会的諸権利とりわけ年金、社会福祉、公共サービスへの攻撃に反対するいくつかの国での動員、時にはゼネストにもなったストライキが行われてきた。フランスでは数週間にわたるストライキによって全国の教育がマヒ状態におちいった。
グローバルな正義を求める運動について言えば、アンネマスとジュネーブでの反G8デモや、世界貿易機関(WTO)に反対するラルザックでの二十万人以上を結集した巨大な集会によって、その活力が示された。
それに加えて、九月のカンクンでのWTO会議が合意に達しなかったことが挙げられる。これらすべての諸要素が、第二回ヨーロッパ社会フォーラムを大きな反響を呼び起こすイベントに仕立てあげているのだ。フィレンツェと同様に今回のヨーロッパ社会フォーラムは、資本主義の正当性への批判、そして欧州連合とさまざまな欧州諸国を支配する人びとへの反対を後押しするものになるだろう。
5日間のフォーラムの5つの軸
ヨーロッパ社会フォーラムでの六十の講演と二百五十のセミナーは、新自由主義政治のすべての側面をカバーするものである。そこには大きく言って五つの軸が存在する。
a 戦争に反対。平和、公正、連帯、そして世界に開かれたヨーロッパを。
b 新自由主義反対、家父長制反対。社会的・民主主義的諸権利のヨーロッパを。
c 利潤の論理に反対。社会的に公正でエコロジー的に持続可能な社会を。食糧主権を。
d 商品化に反対。情報、文化、教育の面で民主主義的なヨーロッパを。
e レイシズム、外国人排斥と社会的排除に反対。諸権利の平等と諸文化の対話を。移民、難民、亡命を求める人びとを歓迎するヨーロッパを。
この五つの全般的な軸は、次に上げるような戦略的問題によって補足される。それはフェミニズムの社会運動への貢献、極右に対する闘い、次の社会フォーラムに向けた広がりと力学、資本主義的グローバリゼーションへの反撃の欧州中心主義的ビジョンを避けるために、世界に向けて開かれたものにすること、政党と社会運動との対立、さらに障害者の権利、子どもの権利、都市問題、民族問題、イスラムなど、一般的に過小評価されてきた一連の諸問題である。
この万華鏡は、資本主義的グローバリゼーションの諸結果に反対するさまざまな抵抗と動員に一貫性を与えることを可能にし、こうしたさまざまな複数主義的抵抗は、資本主義に対する一貫性を持ったオルタナティブな構想の下に統一する可能性を持つ場合にのみ勝利できることを示しうる。
十一月十二日の水曜日には、女性の権利のためのヨーロッパ集会が開催される。それはヨーロッパ社会フォーラムの公式行事ではないが、その目的に完全に適合したものである。このイニシアティブの目標は、女性の抑圧に関連した諸問題を強調し、この抑圧を強化する新自由主義政策を批判し、女性とフェミニスト組織の闘争を発展させ、こうした諸課題をヨーロッパ社会フォーラムが全体として取り上げるよう保証することにある。
大規模なものになることが約束されている土曜日(十一月十五日)の街頭デモは、以下の諸要求を基礎にしたものである。すなわち公共サービス・社会福祉・年金の防衛、あらゆる差別の拒否、レイオフ禁止、戦争反対、人間の活動の商品化反対、地球の破壊反対である。
最後に社会運動の全体会議が、この五日間にわたる動員をしめくくる。新欧州憲法を立ち上げ、欧州連合を拡大し、社会的諸権利と公共サービスへの攻撃を深化させる二〇〇四年は重要な年になるだろう。この会合が、全欧州規模での動員の支点を構成する社会的諸権利防衛の呼びかけを発することができれば、それはきわめて重要で有益なものとなるだろう。
戦争に反対する動員の継続に関して言えば、この集会が議題に乗せるべき二つの重要なイベントが提起されている。第一はクリスマスと新年の間に、「戦争とすべての占領に反対し、パレスチナ人民の権利を防衛する」組織が、パレスチナ、イラク、クルディスタンを横断するキャラバンを行うことである。さらにアメリカの二百組織によって、イラクへの侵略の開始を心に刻み込み、占領をやめるよう求めるために、二〇〇四年三月二十日にデモを行うアピールがなされている。
「もう一つの世界」への希望を
ヨーロッパにおける資本主義的グローバリゼーションに対するオルタナティブな反撃を討論すること、あらゆる分野で全ヨーロッパのネットワークを確立・強化すること、この半世紀に勝ち取られたすべての社会的諸権利を一掃する目的を持った新自由主義的攻撃に反対する大陸規模の動員を支えること――これがわれわれの目標である。
国際主義は数十年間にわたって嘲笑され、存在してこなかった。世界社会フォーラムと各大陸の社会フォーラムは、この状況を克服する他に代えがたい枠組みを提供している。それは、労働運動が社会運動とともに、もう一つの世界というこの大きな希望に真の信頼性を与えるために、必要な結集を作りだすことを可能にしている。われわれはあらゆる形態の抑圧が追放される搾取なき世界、富が自由な時間によって測定される世界、エコロジー的均衡が尊重される世界を望んでいる。
第二回ヨーロッパ社会フォーラムはこうした方向へのステップとなりうる。それは失敗してはならないイベントなのだ!
(レオンス・アギールは革命的共産主義者同盟〔LCR、第四インターナショナル・フランス支部〕政治局員)
(「インターナショナルビューポイント」03年11月号)
http://www.jrcl.net/web/frame03121e.html