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総選挙結果から見えるもの
公明票の行方
先週号は、今回の総選挙の結果を俯瞰的に分析した。しかし投票の傾向をもっと詳細、かつ客観的に分析するには、新聞に掲載されている程度のデータでは不十分である。是非入手したいのが、新聞社などがが行なっている出口調査のデータである。中でも各政党支持者の投票行動を示すデータが重要である。しかしこの数字は簡単には手に入らない。少なくとも各社は出口調査を行なっているのであるから、新聞社はデータを持っていると思われる。
しかしこのデータは一部を除き、なかなか公開しないらしい。総選挙の結果の詳細データをCD・ROMにして売っている新聞社はあるが、どうも出口調査のデータはこれには含まれていないと聞く。たしかに出口調査はアンケート調査であり、データとしての信頼性は必ずしも完璧ではない。また組織的に出口調査に協力しないところもあるらしい。
ところで今回の選挙では、公明票の行方が当落を決めていたケースが多くあったと言われている。これが本当なのか確かめる必要がある。したがってこの出口調査の結果にどうしても関心が行く。もっとも新聞も注目の高い一部の選挙区については、出口調査結果を新聞で公開している。しかし新聞で分る情報は限られている。筆者達も色々手をつくしてデータを集めてみた。公明票の行方については、新聞やインターネットで公開されているものを探したが、30強の選挙区の情報を集めるのが精一杯であった。
全体で、公明票が自民党の候補者に、前回より多く流れたことは事実である。実際、今回の選挙では、公明党から推薦を受けた候補者も多かった。現実に公明票によって自民党はボロ負けを回避できたのである。
ただし注目点は二つある。特定の自民党の候補者への公明票が前回に比べ、極端に減ったケースがあったかどうかである。もう一つは、派閥によって投票行動が大きく異なっていたかどうかである。筆者の感想は、30強とサンプル数が少ないので、はっきりとしたことは言えないが、少しはそのようなことがあったかもしれないと言う程度である。
たしかに派閥の中で森派だけが大きく議席数を増やした。しかしこれが全部公明票のお陰と言うことはない。驚くことに森派の候補者でも、公明票がほとんど入っていない者もある程度いた。反対に森派以外の候補で、かなり多くの公明票を獲得しているケースもある。中には公明党とはそりの合わないと思われていた候補者にも、ある程度の票が入っている場合もある。どうも森派の躍進は、新人の獲得数が群を抜いていたことが主因と考える。
同じように推薦した自民党候補であっても、公明票の投票には段階があるようである。公明票のほとんどを獲得しているケースがある一方、ある程度の公明票を獲得した推薦候補がいる。ここで考えなければならない公明票の特徴がある。公明票の1票は、実際には2票の意味がある。自分に入らない票は、棄権ではなく、対立候補に入る可能性が強いのである。
公明票の9割獲得する場合と7割の場合ではかなり話が違う。9割と7割の差の2割で大きな違いが生じるである。選挙区の公明票が3万票とすれば、2割なら6千票と言うことになるが、この6千票が対立候補に回った場合、1万2千票もの違いになる。このように同じように選挙協力が行なわれたとしても、協力の度合が当落に大きな影響がある。
自民党の候補者によって公明票の存在は大きい。プラスにもなるが、マイナスにもなる。また複雑なことに、公明票が入ることによって、保守票が逃げるケースもある。しかし今日、自民党は、公明党との関係をあいまいなままに事を進めている。出口調査は決して正確なデータではないが、選挙の傾向を知るには便利であり、その分析結果は重要である。自民党は、このままの状態で公明票に依存を深めても良いものか、慎重に検討すべきである。今後の公明党との選挙協力のあり方を詰める必要がある。そのためにも全国の出口調査をなんとか入手し、これを分析してみることが大事である。
民主党と自由党の合併効果
公明票とともに、今回の選挙結果を左右したのが、民主党と自由党の合併効果である。たしかに新民主党は、投票率が下がったにもかかわらず票を伸ばした。しかし前回の民主党と自由党の合計と比べるとたいした伸びではない。つまり合併による新民主党への期待票の上積みは限られていた。たしかに小選挙区選挙では、これまで共産党や社民党に流れていた自民党への批難票がまとまって新民主党に集まった。そのため共産、社民は大きく議席を減らし、この程度の民主の議席増では与野党逆転からは遠い。
有権者も、過去の新党ブームに幻滅を感じており、政党の再編と言っても簡単には踊らない。公明党の方針が変わらない限り、始めから今回の選挙で政権交代が起る可能性などはなかったのである。むしろ合併効果が見込まれる時期に選挙が行なわれたことが、新民主党にとって幸運であった。鮮度が落ちる半年後だったら、今回の選挙結果ほど議席を伸ばせたかどうか疑問である。
個々の選挙区の様子を見ると、今回の選挙の特徴がよく分る。民主党で強かったのは、自由党出身の候補者であった。自分の持ち票にプラスして民主党の票が上積みされたからである。具体的には労働組合などの票がプラスとなった。また自由党出身の候補者は、小泉政権への批難的な保守層を取込むことにも成功している。
反対に旧民主党系の候補者には、自由党の票があまり入っていない印象であった。特に地方では、あいかわらず民主党は伸びない状態を続けている。このように民主党と自由党の合併は、自由党救済の色合いが強い。
選挙が終わり、選挙の現場にいた国会議員の意見を聞く機会があった。「裏切りと密約の選挙」と評していた。政策なんかどうでも良いと言う選挙だったのである。小選挙区においては、かなり考えの隔たりのある者同士が手を組まなければ当選できない。これではどれだけ政策を訴えていても意味がない。有権者の立場からも、誰が一番自分の考えに近いか選択できない。したがって有権者はますます政治や選挙に興味を失っており、小選挙区制が始まって、投票率は10%くらい低くなっている。
この国会議員も、「中選挙区制に戻すべきだ。これはかなりの自民党議員が思っていることであり、誰かが言い出すのを待っている。」と言っていた。たしかに今日の小選挙区制に比例制をプラスした選挙制度は中途半端である。とても政策を競う選挙になっていない。これで3回同じ選挙制度で選挙を行なったのであるから、欠点も分ってきたと思われる。
20日に六本木の居酒屋で「第2会目の亀井静香勝手連のオフ会(亀井静香勝手連のホームページ亀井静香勝手連のホームページhttp://www.nb-j.co.jp/katteren)」を開いた。亀井さんは別の会合を途中で抜出し、これに参加してもらった。さらに参議院議員の桜井新さんもオフ会に参加された。亀井さんには、前回のオフ会では25分くらいだったが、今回は40分以上付合ってもらった。今回は、参加メンバーからの質問にも結構答えてもらい、一段と「オフ会」らしくなった。
亀井さんは、総選挙を「いや、政策なんかどっかに吹っ飛んだ選挙だった。誰と誰が手を組むとか組まないとかが当落を決していた」と評していた。そもそも自民党の総裁選頃からの様子を見ていても、国民の生活や将来なんてまるで関係がないと言う人々が政治の主導権を握っているのである。このことは自民党だけではなく、民主党にも言えるのでである。これらの人々は、目先の事しか関心がない。まさに政治をパワーゲームとしてしか見ない。これらの人々は、世の中がどんどん悪くなっても全く意に介さないのである。
これから「イラクへの自衛隊派遣」「道路公団の民営化」「年金法の改正」と一波乱ありそうである。しかしどう言う訳か景気問題は話題に登らない。政府の公式見解は「着実に景気は回復している」となっている。ところが今年度の公共事業予算は前倒しで既に使ってしまっているという話を聞く。筆者は、公共工事の請負額の推移が前年比で相当大きなマイナスなので、この話が信じられないような気がする。
たしかに政権は、総裁選や総選挙を有利に闘うため、景気を良くしておく必要がある。したがって公共工事の前倒し執行は考えられるスト−リではある。しかしそれが統計には反映されていないような気がする。しかしもしもう予算がなくなったという話が本当なら大変なことである。小泉政権は補正予算を組まない方針であるから、この話が本当なら年明けあたりから、経済はかなり落込む可能性がある。
たしかに竹中大臣が就任してから、政府の発表する経済数値は信用ができなくなった。予想よりずっと日本の景気が良くなったと言うのだから、税収が増えていなければおかしい。少なくとも所得税は増えているはずである。まさか歳入欠陥分を補うための補正予算なんてないと思われるが。
来週は、最近流布されている経済に関するおかしな話を取上げたい。
http://www.adpweb.com/eco/index.html